『なんぞころびやおき』
(57)
峠杣一日・著
神山(かみやま)の山中で迷ひ子の様に泣き叫ぶ一人の男。
何処(いづこ)から来たのか全身真っ黒毛むくぢゃら、文字通り襤褸(ぼろ)を纏(まと)ったルンペン(浮浪者フラウシャ)で名を毛助(けすけ)と言った。
「わあゝゝゝゝっ!」
しゃがみ込む様に倒れ臥(ふ)した毛助(けすけ)、ぐんにゃりして動かなくなった。
はて、や、やゝ。
毛助(けすけ)の体からおどろゝゝゝしい黒雲が涌(わ)き立つと、はや面妖怪奇(めんえうくわいき)、塒(とぐろ)を巻く大蛇(だいじゃ)の姿を現すのであった。
![190523_180745.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20190523/18/cocochiyosa/dc/c2/j/t02200165_4128309614415011231.jpg?caw=800)
つゞく。