『なんぞころびやおき』
(43)
峠杣一日・著
でんゝゝぽっぽ、豆鼕列車(とうゝゝれっしゃ)のご一行(いっかう)。
大黒屋敷駅(だいこくやしきえき)の改札を出て、松並木を進む。
涌(わ)き立つ八重雲(やへぐも)の空へ、天(てん)を衝(つ)く階(きざはし)が誘(いざな)ふ。
すると、おゝ高いたか~い、此処は天空の見晴らし台。
黄金の宝船(くがねのたからぶね)の舳(へさき)、弥帆(やほ)の柱(はしら)である。
島根半島で言へば、出雲の日御碕(灯台)に当たる。
「良う来た、待って居(を)ったぞ」
杲々(かうゝゝ)とお天道様の様に眩(まばゆ)く姿を現したのは、黄金大黒天(わうごんだいこくてん)であった。
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つゞく。