『なんぞころびやおき』
(41)
峠杣一日・著
「わあい、がたんごとん、がたんごとん」
蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)、峠杣一日翁(たうげそまのいちにちをう)と螢火お総(ほたるびのおふさ)夫妻(ふさい)、それに四人の孫(まご)達は列車の車中にあった。
車窓に広がる宍道湖(しんぢこ)が、大きく伸びをするかの様に朝日に耀(かゞや)いてゐる。
車内に目をやると、はて豆ランプの灯された小さな神棚に豆鼕大明神(とうゝゝだいみゃうじん)の御札。
然(さ)うだ、此の列車は豆鼕翁(とうゝゝをう・豆仙人)が豆鼕変化(とうゝゝへんげ)した姿、豆鼕列車(とうゝゝれっしゃ)だったのだ。
「ほれ、しゅっゝゝゝぽっぽ~」
![190523_180745.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20190523/18/cocochiyosa/dc/c2/j/t02200165_4128309614415011231.jpg?caw=800)
つゞく。