『なんぞころびやおき』
(36)
峠杣一日・著
「豆鼕変化(とうゝゝへんげ)!」
「そいやっ!」
ごっこに夢中、元氣一杯に外を走り回る子供達。
蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)と豆鼕翁(とうゝゝをう)、峠杣の一日翁(たうげそまのいちにちをう)の三人が峠杣(たうげそま)屋敷の縁側(えんがは)に座して、お総(ふさ)が点(た)てた薄茶(うすちゃ)を啜(すゝ)ってゐる。
転何(ころびなんぞ)と一日翁(いちにちをう)の体験には似通(にかよ)った部分があり、殊(こと)にそれゞゝの夢の中で黄金大黒天(わうごんだいこくてん)に出合ってゐた。
また両者を引き合はせた豆鼕翁(とうゝゝをう)は、黄金大黒天の仲間である。
つゞく。