『なんぞころびやおき』
(34)
峠杣一日・著
ぽかあんと虹を眺める、お鈴(すゞ)と余一(よいち)に蓮権現転何(はちすごんげんころびなんぞ)。
わあいと子供達が駆け出した先に、蛍火(ほたるび)の乗り物が着陸。
おや、一日翁(いちにちをう)の掌(たなうら)には豆鼕翁(とうゝゝをう)(豆仙人マメセンニン)が乗ってゐる。
さうだ、月虹豆鉄砲(げっこうまめでっぱう)は彼が豆鼕変化(とうゝゝへんげ)した姿だったのである。
「はいゝゝ、みんな只今(たゞいま)さん」
孫達の頭を撫(な)でてゐるのは、蛍火の乗り物を操縦してゐたお総(ふさ)、一日翁(いちにちをう)の妻である。
つゞく。