『あれかし大明神』(扨抑物語 第二幕 40) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


あれかし大明神
~扨抑物語 第二幕
峠杣一日・著


四十、

月明かりの下、笛の音が聞こえる。

一管(いっくわん)、篠笛(しのぶえ)を吹く初老の男。

其の調べは風と戯(たはむ)れ、川面を撫(な)で、木々と囁(さゝや)き、月に舞ふ。

此処は神原(かんばら)、神財(じんざい)の里なり。

文字通り、祖(おや)の源(みなもと)、祖(おや)の宝で、即ち常(とは)の理(ことわり)を名(な)に負(お)ふ地である。

神在(かみあり)の祭(まつり)といふのも無論、常の理を崇(あが)め、斎(いは)ふものであった。

男は、里の神主にして笛の名手。

名を、斎角(ゆづぬ)といふ。

『斯(か)くも、逆行の幽霊船が現れるとは何事であらう。人の心が常の理を見失ひ、魂の火を吹き消さむとしてゐる』

斎角の笛は、世(よ)に一(いち)あれかしと、深く、深く夜のしゞまを染めて行く。

つゞく