秋雨 | ryo's happy days

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思い切り人生を楽しむこと。これが全ての私。

今日は土曜日だけどじめじめしたお天気なので、掃除は延期。私は待ち焦がれていた「整骨院」に行く日です。最近の私の出費といえば「リハビリ」と「タクシー代」がほとんど。コロナ前は街にでては洋服など衝動買いしてたのに、今はほとんどそれがなくなりましたね。ひたすら健康に関することばかりです。
 秋雨に傘を持てども杖代わり
連載小説「代わり筆・上」5
 年端も行かぬ子どもらが駆け回る路地の中程にしつらえた井戸端では、貧乏くささを跳ね返すような女たちの笑い声がはじけていたが、その中の一人が目ざとく二人を見つけ前垂れで両腕を拭きつつ近寄ってきた。裾をからげ襷がけの幾分ふっくらとしたその女が大工の出職(でしょく)をしている辰三のおかみのみつだった。
「大家さんから聞いてはいるけど、もしかして、お侍さんは糸里さまでは」
 やはり話は通っているようだ。
「左様です。紹介によれば、こちらに行けば全て手筈は整えておくと」
「はいはい、聞いておりますよ。大家をすぐに呼びにやりましょう」
「それはありがたい、なにぶん、男所帯ゆえよろしゅうお願いもうす」
 吉乃の首に掛けた風呂敷から覗いている位牌に気付き頷きながら、吉乃の前でしゃがむが、吉乃の手を握るその目がもう潤んでいる。
「まぁまぁ、長旅でずいぶん疲れたことだろうね。おっかさんと一緒に来たんだね、で、名前は何というのだい?」
「はい、吉乃と申します」
 みつのふっくらとした掌に母と同じ温もりを覚え、吉乃は心がすっと開くのがわかった。このお店はきっといい人ばかりに違いない。幼い吉乃を瞬く間に捉えてしまったのだった。