不気味な静けさ。もう風のうねりが強くなってきた。
このところ毎週末に台風がきている。
テレビを見ているとかなりの勢力のようで、またベランダのものも
全て部屋の中に入れた。ベランダのガラスはテープで補強。懐中電灯の電池を全部入れ替えた。なんとも落ち着かぬ日となる。

風うねる台風の前触れ不気味なる
◉連載小説「代わり筆・上」6
草庵寺はきよみ長屋から北に一町も歩いた場所にあり光芒寺とは同じ程度の広さではあるが、寺の裏手には何基もの墓が並び、墓参りに訪れる人も多く、手入れも行き届いている。
「そちら様のことは、光芒寺の和尚より文にて詳しく伺っております。なかなかのお人柄で、数術や書にも秀でたお方とありました。今までの先生が突然、郷里に戻られて困っておりましたのじゃ、子どもらを一つよろしくお願いしますぞ」
和尚はいかにも温厚で淳之介を温かく迎え入れてくれたのだった。