数あるブログの中から閲覧ありがとうございます。
こちらのブログは
ワールドネバーランドエルネア王国の日々をプレイし、それをもとに書いています。
プレイした際のスクショをもとに書いておりますが創作(妄想)も多くございます。
創作話が苦手な方は閲覧お控え下さい。
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「失礼します」
2階の部屋に遠慮がちに入ると、マウロはベッドの上で起き上がっていた。
先ほどのレドリーの訪問時のままのようだ。
マウロ
「——セシリア陛下」
セシリア
「あの……マウロさん、お身体のほうは……」
マウロ
「こんな場所にまでフラフラと……本当にセシリア陛下はお暇なのですね」
マウロは鼻で笑った。
最後の挨拶にきたことくらい、分かるだろうに、わざとこの人はやっているだ。
普段ならその態度に内心はイラっとするものだが、この時はそうは思わなかった。
最後だからといって最後らしくはしない。マウロらしいと思った。
セシリア
「マウロさんのお見舞いに、時間を割くのは当然です」
マウロ
「陛下自ら来ていただけるなんて、冥土の土産になります。」
この本心なのかどうかも分からないセリフも、もう聞けなくなるのかと思うとセシリアは寂しい気持ちになった。
何回見送っても、何回経験したって、全然慣れやしない。
だって毎回違う人で、大切な人たちだから。
マウロ
「陛下?」
今にも泣き出しそうな表情を浮かべ、セシリアは俯いた。
セシリア
「寂しいです、マウロさん」
マウロは驚いた顔をした。
いつもマウロの嫌味を躱し、マウロをかうかうようなことを言うセシリア。
マウロは自分のためにセシリアがこんな顔をするなんて、予想出来なかっただろう。
部屋か静まり返り、窓を風が時折打ち付けていた。
マウロ
「もう少し、陛下と国のために働かせていただきたかったですがここで力尽きてしまい申し訳ありません」
またセシリアを茶化すかと思ったのに、マウロから出たのは謝罪の言葉。
セシリア
「—— マウロさんは……十分に尽力してくれました。」
マウロ
「身に余るお言葉ありがとうございます」
セシリア
「私は本気で言っています。マウロさんは冗談だと思っているようですけど……」
マウロがどこまでセシリアの言葉を本気と受け取っているのか。
信じてもらえていないとすれば、セシリアが普段マウロに対して適当な言葉を投げかけて遊んでいるせいだ。つまりは自業自得である。
マウロ
「分かっております。先ほどの『寂しいです、マウロさん』はガノスにいったらガノスにいる人たち皆に自慢させていただきます」
マウロは実に楽しげに微笑んだ。
セシリア
「茶化さないでください……」
はぁっとため息をついた。
マウロ
「そろそろお帰りください。レドリーが心配すると思います」
セシリア
「………」
窓の外がだんだん暗くなっていく。
「——はい」
くるりと背中を向け、入口に向かって歩き出す。
結局
マウロとは分かりあうことは出来なかった。
何を考えているのか分からず
どんなふうに接するのが正解だったのかも分からない。
「セシリア様」
呼び止める声にセシリアは振り返った。
「はい?」
マウロ
「セシリア様は、とてもいい女王になられたと思います」
セシリア
「………」
セシリアは目を見開いたあと、
「それは……冗談ですか?」
マウロ「まさか」
少し苦しそうな表情になったあと、呼吸を整えて、
「セシリア陛下の治世で暮らせたとこを、
心から感謝しています。
どうか、お元気で。」
セシリアが今まで見た中で一番穏やかで柔らかな表情。
(——マウロさんもこんな顔をするんだ…)
彼の言葉に嘘偽りがないことは、考えるまでもなかった。
マウロの言葉と表情に、
(———本当に、今日で、最期なのですね)
セシリアの胸は締め付けられた。
「——ありがとうございます」
涙を堪え、ぺこりと頭を下げてセシリアは部屋をあとにする。
マウロはこの夜ガノスに旅立った。
享年20歳
エルネア王国の国民が、また1人遠い場所に逝ってしまった。
あとがき
マウロの気持ちは書かないまま終わらせるつもりだったのですが
それだと本当にただの嫌味な人で終わってしまうかもと思い急遽いれました。
セシリアに対して遠慮なく言ってくるマウロは、セシリアにとっては新鮮で、そういう存在は貴重だと感じていました。
マウロ、お疲れ様でした。