224年 沈黙の理由 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。


毎回妄想なのに、今回と次回は特に激しい妄想回です。苦手な方はここでプラウザバック推奨です。






「ギオルギーさんが投獄された…?」


ザァァーと冷たい冬の風が2人の間を吹き抜けた



チェロ「そうみたいなんだ」


セシリア

「ギオルギーさんが何をしたっていうの?」


ギオルギーは優しく仲間思い。投獄されるような事をするなんて想像できなかった。


チェロ

「人と口論になって……相手を殴ったらしい。その相手が反撃しようと武器を取り出したから、ギオルギーさんは銃を抜いて発砲したんだって」


セシリア

「相手の人の怪我は……?」


チェロ

「幸い、撃った弾は相手の武器に当たって、怪我は殴った時のものだけみたい」


セシリア

「そう………でもそれで投獄だなんて」


チェロ

「本人が望んだって話だよ」


セシリア

「ギオルギーさんが……?」


なにがなんだか全く分からない。どうしてそうなったのか頭の中に?マークが浮かぶ。


「その口論って……なにで口論になったの?」


チェロ

「それが……本人たちはダンマリを決め込んでるらしいよ」


セシリア「えぇ…?」


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――



時は遡り、夕刻。


街門広場で悲鳴があがる。



たまたま居合わせた山岳兵団のゲロルドとヘルマンが、発砲した人物の銃を掴み、銃口を上空に向ける。


ゲロルド

「ギオルギー様…!」


ギオルギーは燃えるような瞳で、口論をしていた相手の2人を睨む。

温厚なギオルギーが激怒していることに、相手の国民の男2人は青い顔をしていた。


ヘルマン

「一体何があったのですか?」


男たちは気まずそうに視線を逸らせ、ギオルギーは無言のまま男たちを睨んでいる。ゲロルドたちが間に入ってもその怒りは収まっていないようだった。



「ギオルギー!!!」


辺りに響きわたるその声の主は、騎士隊長のセイ・フォードだった。普段声を荒げないセイのこんな大声は、姉のリンゴだって聞いたことがない。


ギオルギー「……セイ」


年下の幼馴染の厳しい顔つきに、ギオルギーの怒りよ表情がなくなっていく。ゲロルドはゆっくりとギオルギーの手から銃を取り上げた。


街門広場は人が多い。

多くの人に目撃され、辺りはざわついていた。


「どうしたの、何があったの?!」


人混みをかき分けて、魔銃師会の女性がギオルギーの元に駆け寄ってきた。艶やかなピンク色の髪の毛をなびかせたアスセナ。ギオルギーとはそこそこ長い付き合いである。


ゲロルドがギオルギーの銃を持ち、怯えている国民の男2人、俯いたギオルギー……


ヘルマン

「ギオルギーさんがこの人を殴りました」


その後に銃を使われたことは明白であったがあえて人が多いため口にはしなかった。


アスセナ

「どうして?何があったの?」


ギオルギーが人を殴った……アスセナは嘘なのではと思うほど信じがたいものだった。ギオルギーはいつも穏やかに微笑んでいて人に危害を加えたり、誰かと争うような人ではなかった。


そんなアスセナの問いかけにギオルギーは答えない。


男たちも沈黙する。


加害者、被害者ともに原因を語らない現場に、セイたちら困惑した。


セイ

「ーーアスセナさん、この方たちを魔銃師会で治療していただけますか」


殴られて怪我をした人を放置はしておけない。

殴られていない方もセイは魔銃師会に一度任せることにする。


アスセナ「分かった」


男2人を「ついてきて」とアスセナは顎でしゃくると、魔銃師会に向かって歩き出した。


ヘルマン

(魔銃師会らしいというかなんというか……あの人の態度悪い…)


魔銃師会の重鎮というポジションにおり、調薬の知識も腕も魔銃師会のトップクラスのアスセナは魔銃導師と同じくらいの存在感がある。魔銃導師じゃない分気楽だと言っているらしいのがアスセナらしい。

昔からアスセナは先輩に対しても物怖じせず発言する。先輩であるリンゴに失礼な発言を繰り返して見かねたティアゴが注意するほど。その注意も本人はどこ吹く風という風に気にも止めない。


なぜか魔銃師会には、個性的な性格の人たちが集まっている。


セイ

「……話はエルネア城で聞こう」


ここでは人が多すぎる。

ギオルギーを連れてゲロルドやヘルマンと共にエルネア城に向かった。


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


エルネア城、セイの住まいでもある騎士隊長居室でギオルギーからの話を聞こうととしていたが、ギオルギーは何も話さなかった。


「ご迷惑おかけして申し訳ありません」


謝罪の言葉を口にするだけで、原因となった口論の内容を話そうととはしなかった。


ギオルギーは魔銃師会の魔銃導師。魔銃師会のトップが国民を怪我をさせ、その上武器で追撃しようとしたという事実。


ギオルギーは国王の弟という立場もある。


謝罪以外は口を閉ざすギオルギーの姿にセイは難しい顔をして、腕を組んだ。


両者無言のまま時間だけが過ぎてゆく。


辺りが暗くなってきた頃、ギオルギーが口を開いた。


「兄さんに迷惑をかける……投獄してほしい」


セイ

「迷惑をかけているという自覚があるならまずこうなった理由を話せ」


ギオルギー「………」


再び口を閉ざす。


昔エティ陛下の反感を買ったセイの父親……ジェレマイアは謹慎処分となった過去がある。


そのジェレマイアはなぜか山岳兵団の厳しい監視つきではあったが、家の中で軟禁状態で投獄は免れた。


投獄ということはこの国ではあまりない事例なのだ。


魔銃導師を投獄するとなれば魔銃師会も黙ってはいないだろう。だが、投獄という罰を受ければ国民から魔銃師会への反感を弱めることができるかもしれない。


ギオルギー「セイ……頼む……」


まるで子犬のような顔をして、ギオルギーが懇願する。


セイ

「一度入れば陛下の赦しがなければ出れないよ」


ギオルギー「ーーうん。分かっている」


セイはしばらく無言のままでいたがやがて大きなため息をつくと、一言。



セイ「……分かった。」


幼馴染の頼みをきいてやることに決めたようだ。


ヘルマン

「本気ですか……?」


普段ポーカーフェイスを貫くヘルマン・ボイドの戸惑う声が、事の重大性を示している。



セイの指示のもと、ギオルギーは地下牢に投獄された。



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


ギオルギー投獄の一報を聞いたチェロとセシリアが血相を変えてエルネア城にやってきた。


2人はギオルギーの血縁者ということで地下牢に通される。


ギオルギーは地下牢の中で立ったまま壁にもたれていた。


2人の姿を見ると申し訳なさそうに頭を下げる。


ギオルギー

「申し訳ありません」


チェロ

「一体なにがあったのさギオルギー」

*チェロはおじのギオルギーを呼び捨てにする。


問いに答えることはなく、沈黙が流れる。


セシリア

「ギオルギーさん…何か理由があるのでしょう?理由もなく手をあげる人ではないこと、私たちは知ってるよ」


ギオルギー「セシリア様…」


暗い瞳をセシリアたちに向ける。


「……お話することは何もありません」


それ以降、ギオルギーは瞼を閉じて沈黙した。



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


王家の居室にセシリアとチェロが入る。


スピカが家を出た今、ここにはヴェルンヘルただ1人しか住んでいない。


ヴェルンヘルの姿はなく、王家の居室は以前の賑やかさはなく静まりかえっている。


チェロ

「だんまり決め込むなんておかしいよ」


セシリア「……うん」


ギオルギーも魔銃導師という立場があるのに、それでも沈黙を貫こうとする。


その意味は一体なにか?



そこにセイが入ってきた。ギオルギー同様、セイもまたセシリアとチェロのおじにあたる。


セイ

「ギオルギーのやつ、何か話しましたか?」


チェロ「なにも」


チェロは口を尖らせた。



セイ

「聞き込みをしたら、ギオルギーはマウロたちに

『なんにも知らないくせに、勝手なことばかり言うな』と激怒したらしいです」


マウロとは、ギオルギーと口論した相手だ。


セシリア

「『なにも知らないくせに、勝手なことばかり言うな?』」


セイ

「……国民に手を出すのは武術職に就く者としてはいけない行為ではありますが……ただの喧嘩なのでしょう」


チェロ

「喧嘩なら牢に入らなくてもいいと思うよ…」


セシリア

「………」


投獄は一見、ギオルギーへの罰なのだが、ギオルギーから望んだことなら別の見方もできる。


これは罰と見せかけた攻撃…?


そうだとしたらギオルギーの怒りはいまだに収まってはいないのだ。


セシリア

「えと……お父さん……ヴェルンヘル陛下は?」


ギオルギーは、ギオルギーの兄ヴェルンヘルにしか鎮められない。

そう思ったセシリアはそういえばヴェルンヘルの姿がないことに気づく。


セイ

「それがまだ連絡がとれなくて困っています」


夜1刻。


そろそろ帰ってくるはず刻限ではあるが、一刻も早くこの事態をヴェルンヘルに知らせたい。


セシリア

「心当たりを探してきます」


連絡がとれないということは、ヴェルンヘルは今、一般の人が立ち入れない場所にいる可能性がある。


一番可能性がある国王の隠し部屋に向かった。




続きます