224年 ギオルギーとヴェルンヘル | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。


右、ヴェルンヘル・ラウル

エルネア王国国王。

のんびりしていて国民を大切にしている。

老若男女に愛される国王。弟のギオルギーを大切にしている。


左、ギオルギー・ラウル

ヴェルンヘルの弟。

幼い頃から兄ヴェルンヘルと仲が良い。

本心を隠して国王として振る舞う兄を気遣う。


セシリア・ラウル

ヴェルンヘル陛下の娘。近衛騎士隊所属。

普段はおっとりしている。

長年片想いだったレドリーと結ばれる。3人の子宝に恵まれ、4人目の出産を間近に控えている。


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


長い廊下を抜けた先にある一室。


人の気配。


この場所を知るのはヴェルンヘル、セシリア、レドリーしかいない。


ノックをして、奥の部屋に入る。


そこに国王ヴェルンヘルはいた。


難しい顔をして、書簡に目を通している。いくつもの書簡がテーブルの上に広げられていた。


ヴェルンヘル

「セシリアか。今忙しいのだが急用かい?」


セシリア

「………うん……」


その返事にヴェルンヘルは顔を上げる。


ヴェルンヘル「…どうした?」


セシリア

「……ギオルギーさんが投獄されたの」


ヴェルンヘル

「ギオルギーが?」

眉を顰め「詳しく説明してほしい」と言われ、セシリアは知っていることを説明した。


聞き終えるとヴェルンヘルは少し考え込む。


ヴェルンヘル

「ギオルギーの口論の相手ってマウロ?」


相手の名前はマウロだと聞いた、


「あ、そう。マウロ・モリエンテスさん」


ヴェルンヘル「やはりそうか」


セシリア「どういうこと?」


ヴェルンヘル

「もう1人は?カルドンヌ家の人間?」


セシリア

「ーーそう。ラファエル・カルドンヌさん」


ここにくる前に相手の資料を貰って確かめていた。

「お父さんには心当たりがあるのね」


ヴェルンヘル

「うん……だからギオルギーは口論になったんだよ」


はぁ〜っと息を吐きヴェルンヘルは座っている椅子の背もたれに深くもたれた。


セシリア「ーーー?」


ヴェルンヘル

「マウロはラウル王家があまり好きではないんだよ」


セシリア「そうなの?」


ヴェルンヘル

「マウロ・モリエンテスは、ラウル王家嫌いの筆頭さ。」


話が見えて気がした。


セシリア

「ギオルギーさんが口論になったのは、それが関係して……」


ヴェルンヘル

「ギオルギーはセシリアに聞かせたくなかったんだろう。彼女のいるレドリー君に告白した事を未だにマウロは口悪く言っていると聞く」


セシリア

「そうなの……マウロさんってどういう方なのか存じない…」


そんなに悪口を言われているのにセシリアにはピンとこない。


ヴェルンヘル

「こちらが知らなくても、次期国王になるのだから向こうは知ってて当たり前だ。セシリアはそういう立場の人間だ。」


セシリア

「………ごめんなさい。お父さんは私がレドリーさんに告白したときに忠告してたのに、その通りになってしまって」


レドリーに告白した後にヴェルンヘルはあとで苦労すると苦言を呈したことがある。

それがこんな形であらわれるなんてセシリアは想像もしていなかった。


ヴェルンヘル

「レドリー君は自分の意思で、彼女と別れてセシリアを選んだのだろう?他人にとやかく言われる筋合いはない。気にしなくていい」


セシリア「お父さん…」


意外なヴェルンヘルの言葉にセシリアはじーんとした。

てっきり、そのあたりの事は未だに許していないと思っていたのに。


ヴェルンヘル

「マウロ・モリエンテスは、レドリー君の幼馴染の旦那さんだよ。レニエ・モリエンテス、名前くらいは知ってるだろう?」


セシリア

「レニエさん……」


レニエ・モリエンテス。

結婚式の日朝一でレドリーに会いにきて、レドリーの友人筆頭だった人。顔は知っているが、ほとんど関わりはない。


セシリアのことをよく思わない旦那さんがいればレニエもセシリアに対してマイナスのイメージを持っていても不思議ではない。そんな人とレドリーが普段何を会話しているのか……セシリアは考えると複雑な気持ちになる。


ヴェルンヘル

「で、マウロたちのことだが」


セシリア

「マウロさんたちの事どうしよう……」


ヴェルンヘル

「セシリアの話だと、マウロたちはアスセナさんが魔銃師会に連れて行かれたんだっけ?」


セシリア「そう」


ヴェルンヘル

「ーーふぅん……セイも意地悪だな」


ヴェルンヘルは小さく笑う。


セシリア「?」


ヴェルンヘル

「アスセナ・ランフランクはラウル王家を悪く言うモリエンテス家嫌いさ。ギオルギーが暴力を振るった理由にもすぐ気づくだろうし、魔銃導師が投獄されて、奴らが黙ってると思う?」


そもそもアスセナの父親エドモンドは長年エティ陛下、そしてヴェルンヘルに仕えてきた近衛騎士隊の重鎮。ラウル王家に忠誠を誓っているエドモンドの愛娘がマウロをよく思うはずがない。


セシリア

「ーーでもガブリエルさんが魔銃師会にいるから…」


ヴェルンヘル

「ガブリエルじゃ、アスセナさんに勝てないよ。あの毒舌は、ティアゴさんすらも困らせた実績があるからね」


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アスセナ・ランフランク

ガルフィン魔銃師会所属

その調薬の腕はかなりのものでティアゴやレイラに一目置かれる。母は魔銃師会にいたセシィー。母のおっとりした性格とは対照的に、自分の物事をはっきりいう。違うと思ったら違う。気に入らない事は相手が上司でもはっきり物申す。


ガブリエル・モリエンテス
ガルフィン魔銃師会所属
幼い頃からリンゴに懐いていた。明るく友達が多い。今回騒動を起こしたマウロはガブリエルの弟らしい…ガブリエルはマウロのような考えは持っていない。いつかこんなことになるのではないかと内心心配していたという…


アルステーデ・ラウル

ガルフィン魔銃師会所属

ヴェルンヘル陛下の息子、チェロ王子と結婚。可愛い娘が産まれる。騎士隊にいるチェロと共に国を守るため魔銃師会入りをした。セシリアとは仲が良い。


ルーク・フォード

ガルフィン魔銃師会所属

セシリアの大おじ。

セシリアの母リンゴの母のリリーの弟にあたるのがルーク。リリーやバルナバなどの強者がいたためあまり知られていないがルークもかなりの実力の持ち主。姪のリンゴにまで先立たれ内心かなり落ち込んでいる。



マウロ・モリエンテス

この国で一番多いモリエンテス家の人間。

ラウル家嫌いだが、別に性格か悪いわけではない。人当たりがよく優しい青年で、友人は多い。

正義感が強い。

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規律を重んじるローゼル近衛騎士隊、仲間思いのドルム山岳兵団、そして曲者揃いの魔銃師会。


マウロたちは運が悪かった。


魔銃師会に連れていかれたマウロたちは治療をうけることは出来たものの、長時間拘束され、アスセナたちに尋問されていた。


魔銃師会にはチェロの妻アルステーデ、ラウル家親戚ニーノも在籍している。


ガブリエルが頑張っても分が悪い。


マウロたちが抗議をしてもアスセナは意に介する様子もない。


「アンタたちが、ヴェルンヘル陛下やセシリア様たちを悪ざまに言っていたことは分かってんの」


マウロ

「どこにそんな証拠があるんだ、ランフランク」


マウロはアスセナを睨みつけた。


アスセナ

「今まで散々言ってたくせに、しらばっくれる気?」


マウロ「身に覚えがない」


アスセナ

「ギオルギーが口を割ったら、マウロたちの不敬罪が暴露されて地下牢に入ることになる。だからギオルギーとなにで口論になったのか未だに言えないのでしょう」


マウロ

「ギオルギーが言いがかりをつけて殴ってきただけだ。」


アスセナ

「へぇ、それをギオルギーに伝言で伝えていい?ギオルギーがずっと沈黙を守るかなぁ?マウロたちは自分たちに一切非がないと言っているよ、って」


ガブリエル

「アスセナさん…今日はこの辺にしない?もう、時間も遅いし」

オロオロしながらガブリエルが言う。


アスセナ

「ガブリエル、まだいたの?帰りたいなら、帰っていいよ」


アスセナはガブリエルを見もせず、視線はマウロに向けたまま答えた。


ガブリエル

「俺じゃなくて、マウロとラファエルさんをそろそろ帰宅させた方が……ご家族も心配していると思うし」


アスセナ

「魔銃導師がこいつらのせいで投獄されてるの。こっちも引けないの」


ガブリエル

「でもさ、明日でもいいじゃないかなーって」


アスセナ

「マウロがガブリエルの弟だからって手心加えるつもりはないから」

はっきりと強い口調で言うとガブリエルは困った顔をしてため息をついた。


マウロはガブリエルの弟…

今この状況はガブリエルの肩身が狭かった。


以前からヴェルンヘル陛下がガブリエルが弱いからティアゴに鍛錬するように、と命じていたのを皆は「ティアゴへの嫌がらせ」と思っていたが同時にガブリエル=マウロへの仕返しではないか?とガブリエルは思っていた。


温厚なヴェルンヘル陛下がそんなことをするはずがないから考えすぎかもしれないが…


ルーク

「あの温厚なギオルギーさんをどうしてあそこまで怒らせたのか……きちんと説明していただかないと我々も納得できない」


アスセナ側につくのはルーク・フォード。


フォード家は当然ラウル王家側だ。亡き王妃リンゴはルークの姪にあたる。


マウロ

「謝罪されこそすれ、こうして尋問されるのはこちらが納得できない。まずは魔銃導師が暴力を振るった詫びがあるべきじゃないのか?」


敵の中に放り込まれた状態のマウロだが、ゆったりと椅子にもたれ全く動じている様子はない。


アスセナ

「詫び?詫びるべきはマウロたちの方でしょう?地下牢に入るべきはどちらなのか明白だけど。」


マウロとアスセナは睨み合う。


部屋の外ではマルティナたちが心配そうに控えている。


モリエンテス家やらなんやら言われているが、マルティナたちには関係ない。面倒な話なだけだ。


「マウロたちはここかい?」


ふわっと爽やかな香りがしてマルティナが振り返る。


ヴェルンヘル陛下とセシリアが立っていた。




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ヴェルンヘル陛下は国民を大切にすることで知られている。それは、自分を悪く言う者に対しても同じだった。


ヴェルンヘル自身に責められる要因があることを自覚していたのもあり、ヴェルンヘルは耳にしても沈黙していた。


沈黙していたのは、

標的が主に自分だったからだ。



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


ラファエルは先に帰宅を許されていた。

彼は反抗的な態度を取らず、怯えていたためアスセナたちは必要以上に「口撃」をしなかった。


部屋から出てきたマウロの横にヴェルンヘル陛下がおり、マウロが魔銃師会を出るまで和やかに話をしていた。マウロの方はなんとも言えない表情だった。


ヴェルンヘル陛下がマウロにギオルギーの非礼を詫びたということでこれでマウロは家に帰すことになった。


マウロの表情を見れば、ヴェルンヘル陛下の言うやりとりが行われたのか疑問が残るが…


アスセナやルーク、マルセル、アルステーデ、ニーノ、マルティナたちに冷ややかな目で見られながら、マウロは魔銃師会から出た。






ーー酷い目にあった


ようやく外に出れたマウロは大きく息を吐く。


「マウロさん」


透き通るような綺麗な声に名前を呼ばれ、振り返ると龍騎士の鎧に身に纏った人物……セシリア・ラウルがにっこりと微笑み立っていた。


「セ…セシリア様」


こうなった以上、セシリアが何も知らないとは思えない。それでも微笑みを浮かべている姿にマウロは畏怖を感じた。


セシリア

「怪我の具合はどうですか?」


マウロ

「大したことはありません。お気遣いありがとうございます」

マウロは恭しく頭を下げる。


セシリア

「ギオルギーさんが酷いことをしてしまってごめんなさい。姪としてお詫びいたします」


セシリアはマウロに近づくと、その手を握りしめる。


マウロ「ーーー!」


龍騎士の握力は一般国民には脅威だった。ギリギリと嫌な音がなる。


セシリア

「ギオルギーさんを許してくださいますか…?」


マウロ

「ゆ、許します……許しますからっ……」


パッと手が離され、マウロは苦痛から解放された。魔銃師会だってマウロにこんなことはしなかった。


セシリアはにっこり笑う。


「私とマウロさん……いえ、モリエンテス家とは長い付き合いになりそうですね…?」


青い瞳が冷たい光を宿していた。


風が吹き、降り出した粉雪が舞い上がる寒い雪の夜だった。


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


エルネア城



冬が訪れたエルネア城の地下牢は、凍えるような寒さだった。


コツコツ


階段を降りてくる足音。



その足音は地下牢の前までくると、立ち止まる。


「ーーー何やってんの」


ヴェルンヘルは呆れるというよりは、仕方ないなぁと横目で優しく弟を見る。


ギオルギー「……ごめん」


ヴェルンヘル

「遅くなってごめん。迎えにきた」


ギオルギー「………」


ギオルギーは何も言わず視線を逸らす。ヴェルンヘルは鍵の束を取り出し、地下牢の鍵を開けた。


「ほら、もういいから出てこい。早く帰って休め」


出るように促されるがギオルギーは動かない。


ヴェルンヘル「……ギオルギー」


ギオルギー

「兄さんは……俺がこのままの方が安心じゃないの?」


ヴェルンヘル「何を言っている?」


ギオルギー

「本当なら、何年も前に俺はここに入るべきだった。そうなるはずだった。それは……兄さんだって気づいていた」


ヴェルンヘル

「なんのことを言っているのかさっぱり分からない」


ギオルギー

「そうやって、兄さんは知らないフリをする」


ヴェルンヘル

「知らないフリもなにも知らないのだから、仕方ないだろう?」


ギオルギー

「ーーどうして兄さんは俺を責めないの?」


ヴェルンヘル

「責めるようなことをギオルギーはしていないよ」


ギオルギー

「してるよ、今回のことだって!俺の顔に泥を塗るな!って責めればいいのに、どうして……」


ヴェルンヘル

「謝らなきゃならないのは俺の方だ。ギオルギーは優しいから、俺たちの代わりに怒ってくれたんだろう?ごめんな、不甲斐ない兄ちゃんで」


ギオルギーは唇を噛んで下を向いた。


一向にギオルギーが牢から出ようとしないのでヴェルンヘルは牢の扉を開け、中に入る。


そのまま柵の隙間から鍵を鍵穴に入れ、鍵を閉めると、鍵を牢の外に放った。


カチャンと冷たい音がなり、鍵は遠くに転がった。


ギオルギー

「ーーなんのつもり?」


ヴェルンヘル

「連帯責任かなと思って。」


ギオルギー

「ば、馬鹿じゃないの……兄さんは国王なんだよ!国王が牢屋に入るって……」


ヴェルンヘル

「それを言うならギオルギーは魔銃導師なのにこんな所に入ってるじゃないか」


子供っぽく口を尖らせて反論する。


少しの間お互いじろりという視線をぶつけたあと、ヴェルンヘルはその場に座りこんだ。


ヴェルンヘル

「ここは冷えるな……毛布はないの?」


そう言いながら辺りを見渡す。小さな灯りしかない中で牢屋の中にあるものがほとんど見えない。



ギオルギー

「………毛布なら、王家の居室に戻ればあるじゃないか」


ヴェルンヘル

「何日もここにいるのに毛布なしじゃキツいと思うよ」


ギオルギー

「はあ?兄さんはここに何日もいるつもりなの?」


ヴェルンヘル

「ギオルギーがここにいるならいつまでも一緒にいるつもりだけど」


そんなこと、周りが許さないと思うのだが、ヴェルンヘルならやりかねないとギオルギーは思う。


現にヴェルンヘルは壁にもたれ、眠ろうとしている。本気でこの場所で過ごそうとしているらしい。


ため息をつきながら、ギオルギーは牢の隅に行き、なにかを拾い上げる。小さな灯りしかないこの夜の時間では暗くて見えない場所。


ギオルギー

「兄さん、これ使って」


ふわりとヴェルンヘルに毛布をかける。



ヴェルンヘル

「ありがとう。毛布あったのか」


ギオルギー

「さっき、ラナさんが持ってきてくれたんだ」


ヴェルンヘル「一緒に使おう」


ギオルギー

「兄さんが使えばいいよ。」


ヴェルンヘル「そうはいかない」


ギオルギー

「俺はいいって。早く寝たら。」


ヴェルンヘル

「ギオルギーが使わないなら俺も使わない」


かけてもらった毛布をヴェルンヘルはギオルギーに突き返す。


ギオルギー「ーーめんどくさいなぁ」


思わず本音が出る。


ヴェルンヘル

「そのセリフそのまんまギオルギーにお返しするよ」


目を閉じ、毛布もかけずにヴェルンヘルは眠ろうとする。


ギオルギー「……兄さん」


ヴェルンヘル

「そういえばさ……ここに来るとき、パラパラと雪が降り出してた」


ギオルギー「冷えるわけだね」


ヴェルンヘル

「………このまま……

ずっと時間が止まって冬のままならいいのに」


ポツリと呟かれた言葉にギオルギーは兄を見る。目を閉じているヴェルンヘルの表情は分からない


ギオルギーは何も言わなかった。

なにか言葉を発しようとしたが、それが口から紡がれることはなかった。


静まり返り、外の風の音が時折聞こえる。



ヴェルンヘルはくしゃみをした。


ギオルギー「兄さん……風邪ひくって」


ヴェルンヘル

「その時はギオルギーが薬作ってくれ」


ギオルギーはまた大きなため息をついた。


駄目だ、このままでは国王に風邪をひかせてしまう。



ギオルギー

「ーーーわかった、帰るよ。それでいい?」


ヴェルンヘル

「じゃあ、俺の部屋で泊まっていく?」


ギオルギー「なんで。自分の家に帰るよ」

地下牢の扉に歩み寄り、扉に手をかけ、

「………で、どうやって開けるの」


ヴェルンヘル「あ」


地下牢の鍵はヴェルンヘルたちの手の届かない場所に転がっている。


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


エルネア城の地下室に向かう階段。


下からワーワーと騒ぐ声がした。



セシリア

「………セイさん……出してあげないの?」


ヴェルンヘルが地下室に行った時からセイは階段のところで控え、様子を伺っていた。


ヴェルンヘルが地下室牢に入り、出れなくなったこともわかっている。


分かっていた上でセイはなにもしない。


セイ

「少し反省させようかと思って」


セシリア

「ギオルギーさんだけ出してあげるとか?」


セイ「それは良い考えだ」


そんな冗談を言いながら、セイは地下牢に向かった。



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


あとがき


今回モリエンテス家が悪者に……という風な扱いにみえますが、モリエンテス家に恨みはありません。セシリアにとって重要な人になるかもしれないしならないかもしらない。


明確に誰かを悪人にしないようしているの(したくない)が私のお話なので、モリエンテス家の方々が悪者ではない、ということだけお伝えしたい。