任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
数あるブログの中から閲覧ありがとうございます。
こちらのブログは
ワールドネバーランドエルネア王国の日々をプレイし、それをもとに書いています。
プレイした際のスクショをもとに書いておりますが創作(妄想)も多くございます。
創作話が苦手な方は閲覧お控え下さい。
緊張で手が震える。
試合前のスピカは緊張しきっていた。
おもむろにポケットから取り出す。
手のひらには小さなメガネ石。
幼い頃チレーナと集めたメガネ石だ。
坑道で迷って辿りついた時に前に集めたものだとスピカは持ち帰っていた。
あの頃から分かっていた。
いや、あの頃に知ってしまった。
一緒に居られなくなるということを。
ーー勝たなければ。
なにがなんでも絶対に。
強い思いを胸に、スピカは王立闘技場のバトルステージに立つ。
夫アモスの合図と同時に試合が始まる。
合図と同時にスピカは魔銃の引き金をひいた。
相手が動くその前に動作を封じ、そのままスピカの勝利に終わった。
ワァァァと歓声が王立闘技場を包んだ。
ーー良かった。
まずは第一関門突破。
ホッと胸を撫で下ろした。
対戦相手に向かい頭を下げ、顔をあげる。
先程までは緊張してみることができなかった観客席。
ーーきてくれてたんだ。
チレーナの姿を見つけてスピカはなんとも言えない気持ちになった。
甥のアトラスに声をかけられてから、王立闘技場から出ると友人たちに声をかけられる。
その中にチレーナの姿もあった。
チレーナ
「スピカちゃん、おめでとう!」
いつもの気さくな様子でチレーナは勝利を祝ってくれた。
ーー龍騎士になってとチレーナ君に言った私が、エルネア杯に出場する……
チレーナ君は、私がエルネア杯に出場していることをどう思っているのだろう……。
スピカ
「ありがとう。」
それでも。
チレーナ君におめでとうって言われと嬉しくて思わず顔が綻んでしまう。
チレーナ
「次の試合も頑張ってね」
スピカ「うん」
ーーいいの?
次の試合も、頑張っていいの?
周囲の視線が集まっているのを感じた。
チレーナはドルム山岳兵団の兵団長
スピカはガルフィン魔銃師会の魔銃導師
それぞれの組織の長。
時が二人の立場を変えた。
スピカ
「チレーナ君も。チレーナ君なら、絶対勝てる」
チレーナが勝たなければ意味がない。
スピカにとって彼の勝利が1番だから。
チレーナ
「頑張るよ」
チレーナは微笑んだ。
その青い瞳がジッとスピカの目を見つめる。
チレーナの瞳からはなんの表情も読み取れなかった。ただただ無垢な瞳がスピカを見ていた。
もしここが往来でなければ。
スピカは言いたい言葉を飲み込む。
自分の立場と相手の立場を考えれば、口に出来る言葉はとても少なくてもどかしい。
チレーナ
「それじゃ」
スピカ
「またね」
別れの言葉を言い、お互い別々の方向に歩き出した。
この手に守られるのは
私であってほしかった…