セシリア女王の受難③ | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。


数あるブログの中から閲覧ありがとうございます。


こちらのブログは

ワールドネバーランドエルネア王国の日々をプレイし、それをもとに書いています。


今回はプレイ日記ではなく創作(妄想)です。

創作話が苦手な方は閲覧お控え下さい。


*普段の話も大体妄想です…



最初のお話は⬇️

セシリア女王の受難①


前回のお話はこちら⬇️

セシリア女王の受難② 共闘




2人はゼェゼェと息を吐きながら、必死で走り続けた。

魔獣が追いかけてくる速度はそれほど速くなかったため追いつかれないが、休めるほど鈍くはない。


セシリア

(苦しい……この衣装重い………)


セシリアが身に纏うのは国王の装束。重いからといって、ここに脱ぎ捨てるわけにもいかない。



一体あとどれくらい走れば終わるのか。

それとも終わりなどこないのか。



マウロ

「セシリア様…」


走る速度が落ちたセシリアをマウロが前を走りながら振り返る。



セシリア

「さ、先に行ってて下さい。後から追いつきますから」


マウロのほうはまだ余裕があるようだった。自分のせいで足止めさせるわけにはいかないと先に行くように促す。



マウロ

「龍騎士って案外体力ないんですね」



セシリア

「喧嘩売ってますか?」


肩で大きく息をしながらセシリアは前を走る余裕そうなマウロをジトっと見る。



マウロ

「率直な意見を申したまでです」


セシリア

(歴代の龍騎士の人たちのためにも無様な姿はみせられない…)


いつもは温厚なセシリアも、女王であり元龍騎士。武術職につく者は負けず嫌いな者も多い。セシリアも例外ではない。


走る速度をあげて、マウロの横を走り出した。


セシリア

「マウロさん…」


しばらく経ってから横を走るマウロをチラリと見る。


マウロ「はい?」


セシリア

「巻き込んでしまって申し訳ありません」


これが事故であれ、人為的であれ安全な場所にいたマウロはセシリアを助けようとしなければこんな目に遭わなくてすんだはずだった。


走り続けながらマウロは一度セシリアを見てから前を向いた。


マウロ

「はぁ…別に……俺が勝手についてきただけなんで………10万ビーで手を打ちましょう」


セシリア

「お金取るんですか?!」


マウロ

「助っ人料ということで。あぁ、セシリア様は助けた国民に恩赦すら出す気がないのですね。分かりました。伝えておきます」


セシリア

「誰にですか?!分かりました、お支払いします!」


マウロなら本当に誰かに言いふらすかもしれない。いや、必ず言いふらすだろう。金で黙るならとセシリアは渋々了承する。


セシリア

「マウロさんってけっこーちゃっかりしてますね。強欲ともいう…?」


マウロ

「その言葉、そのままお返しいたします」


セシリア「は?」


反論しようとするとセシリアの視界が急にガクンと下がった。


身体が急に宙に投げられたかのようになり、落下していく。





気がつくと、ドスンという大きな音と身体への衝撃がした。


「いたたた……」


痛む身体を起こす。



「ん?」


何かを下敷きにしていることに気づき、下を見ると恨めしそうにセシリアを睨むマウロがいた。



「セシリア様って意外に重いのですね」


「……ご、ごめんなさい!!」


セシリアは慌ててマウロからおりた。


「重いのはこの装束のせいです!装束だけで数キロはあるんです💦」



マウロ

「はいはい、重いのは衣装のせいにしておいてあげますよ」


まるでセシリアのことをあやすように言う。



セシリア「うぅ……」


マウロ

「それよりも、帰ってこれたかもしれません」


辺りを見回すと深い森の中にいた。


セシリアもマウロは走って道を進むと、川辺にいきついた。


子供たちのにぎやかな声、川で釣りをする人々の姿があった。



セシリア

「帰ってきた……」


マウロ「そのようです」


2人はホッと安堵の息をついた。



マウロ

「これからどうしますか」


セシリア

「これから……あ、お金」


マウロ

「金は後で構いません。それよりさっきの事をミアラさんに聞けばなにか知っているかもしれません」


金はやはり貰う気満々なんだと思いながら、マウロの提案に乗ることにした。



゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


魔銃師会の図書室にいるミアラさんに事の顛末を説明した。


ミアラさんは難しそうな顔をしながら話を聞いていた。


一通り説明が終わるとミアラは少し考えているようだった。


ミアラ

「ここ最近、誰かから何か受け取ったりしていませんか?」



セシリア

「特には……今朝、報告書を受け取ったくらいでしょうか」


ミアラ

「見せていただけますか?」


セシリア「分かりました」


今朝受け取ったいつもと同じような記載のされた報告書をミアラに渡す。


ミアラ

「あぁ、やはり……」


報告書を見るなりミアラの表情が曇った。


セシリア「???」



ミアラ

「陛下。落ち着いて聞いて下さい」


受け取った報告書をセシリアに見せながら、


「この報告書のどれかに呪いがかけられております。」



セシリアは少し驚いた顔をしたあと苦しげに目を閉じた。


予想していた、最悪のパターン。



マウロは壁にもたれて黙って聞いていた。



ミアラ

「この報告書はどなたから?」


問いにセシリアはすぐには答えなかった。

答えられなかった。



セシリア

「チレーナ兵団長、チェロ隊長、アモス神官、マルティナ魔銃師からです」


皆、セシリアがよく知る人物、親しい人たち。



ミアラ

「この呪いは別の場所に仕掛けてあるものを起動させる鍵のような役割をするものだも思われます。

この呪いのかかった書類を持ったまま、セシリア様は仕掛けがある場所に向かい、仕掛けが起動した、ということだと思います」



セシリア

「………」


誰かが、悪意をもってセシリアをあの亀裂に誘い込んだ。

その事実にセシリアはショックを受けた。



マウロ

「その書類が陛下から他の人間の手に渡る予定は?」

黙って聞いていたマウロが口を開いた。


セシリア

「いいえ。人に見せることはあっても基本的に私が持っているものです。少なくとも次の報告書がくるまではいつでも見ることが出来るように携帯しています」



マウロ

「ということは陛下を狙ったとみて間違いないということでしょう」



ミアラ「ーー恐らく……」


ミアラは悲しげにマウロの言葉に同意する。



マウロ

「犯人は分かったのですかはもう大丈夫じゃないですか」


セシリア

「まだ誰か分かっていません…」


マウロ

「???呪いはこの書類にかけられてますが?」


マウロはそう言うと一枚の書類をミアラの手から取った。



ミアラ

「……マウロさんのおっしゃる通りだと思います」


マウロは手にした書類をセシリアに渡した。


受け取った書類をセシリアは黙って見つめた。


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


マウロの家系は魔法の気配を敏感に感じとれるという。


1番呪いの気配がする書類、それを渡してきた人のことを思いセシリアはため息をついた。



マウロ

「で、どうするんですか」


魔銃師会の誰もいない水槽の前で2人はいた。


マウロが巻き込まれた以上、お咎めなしというわけにもいかない。

かといって、本人がやったことを証明することが出来るのだろうか。


書類にかけられた呪いは第三者がやったと言い逃れられるし、実際にそうかもしれない。



マウロ

「今日の事を黙っておきましょうか?」


セシリアの心中を察したのか、マウロの言葉にセシリアは彼を見る。


セシリア

「黙っていてくれるんですか……?巻き込まれたのに?」



マウロ

「口止め料プラス20万ビー。全部で30万ビーで手を打ちます」


セシリア

「高っ…!またお金とるんですか??!」


マウロ

「俺とセシリア様の間に信頼関係なんてありませんし、金で黙らせておいた方がセシリア様も都合がよくありませんか?」


セシリア

「………」


マウロの言う通りかもしれない。

金で黙っているというならまだマウロのことを信用できる。


金銭の取引がないただの口約束などマウロとの間では心配で仕方ない。


セシリア

「………分かりました。30万ビーで黙っていて下さい」


セシリアはその場でマウロに30万ビーを渡した。


まさかマウロにこんな大金を巻き上げられる日が来るとは思っていなかった。


ガノスにいるヴェルンヘル国王たちが見ていたらどんな顔をしているだろう。



マウロ

「これは俺の憶測ですが。」


別れ際マウロはこう前置きして自分の考えをセシリアに伝えた。


「これをやった奴はバレても構わないと思ってるフシがあります。呪いのやり方が雑ですし。もう少しわからなくなるようにやれそうなものをそうしていません。陛下にはその理由に心当たりがあるのでは?」


マウロはそう言って帰っていった。





セシリア女王の受難④に続く