任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
数あるブログの中から閲覧ありがとうございます。
こちらのブログは
ワールドネバーランドエルネア王国の日々をプレイし、それをもとに書いています。
今回はプレイ日記ではなく創作(妄想)です。
創作話が苦手な方は閲覧お控え下さい。
1番下に補足があります。
登場人物たちの言う「理由」について少し説明があります。
前回はこちら⬇️
――゜+.――゜+.――
夜2刻
コツコツコツ
靴音が静寂に包まれたシズニ神殿に響いた。
先に到着していたセシリアは、約束していた人物が到着したことに気づき振り返る。
「遅くなって申し訳ありません」
やってきた人物は頭を下げた。
セシリア
「……お忙しい中きていただきありがとうございます」
相手はこの国で1番多忙な御身の者。
この日ゆっくり話すには、深夜でないと時間がなかった。
この日もガノスに呼ばれる者がいたため、お役目を果たしてきたばかり。
「アモス君。どうして呼んだか、わかる?」
神官服に身を包んだ義弟をセシリアは静かに見据える。
アモス
「分かりません。」
神官服で顔が見えないためアモスの表情を伺い知ることはできない。
セシリア
「今朝貰った報告書。それに呪いがかかっていたの」
アモス
「呪い?俺が渡した報告書にですか?心当たりはありません……」
セシリア
「心当たりないの?」
アモス
「恐れいりますが、なにかの間違いではないでしょうか」
セシリア
「……アモス君が持ってきた書類に、呪いがかけられていたの。アモス君がしたと思うのは自然なことじゃない?」
アモス
「俺に呪いなんて扱えません」
セシリア
「アモス君じゃないと?」
アモス
「事前に俺が使う紙に呪いがかけられいた可能性はあります。もしもそうなら、俺を介して陛下を害そうとしてしまったこと罰して下さい」
パフォーマンスだなとセシリアは思った。
あくまで自分がしたとは認める気はない。
セシリア
(本当にアモス君じゃないの……?)
アモスは妹スピカの夫。
この国の神官でもある。
下手に神官に嫌疑をかければ騒ぎになる。
セシリア
「事前に仕込まれていた可能性は、ないんじゃないかな」
アモス
「……陛下はあくまで俺が犯人だとおっしゃっているのですか」
セシリア
「だって……私を1番殺したいと思ってるのは、アモス君、あなただもの」
アモス
「俺が?この国の女王陛下に?スピカのお姉さんのセシリア様に?」
セシリア
「………理由は、言わなくても、分かるでしょう。」
アモス
「さあ、何のことだかさっぱり分かりません」
セシリア
「ねえ、アモス君。呪いの話をしてるけど、貴方はどうして聞かないの?」
アモス「なにをですか?」
セシリア
「その呪いが一体どんな呪いなのか」
アモス「…?」
セシリア
「普通、呪いといったら体調を崩したりとか、そういうものを思い浮かべると思うのだけど、私はこうして貴方の前に立っている。どうして貴方は気にならないの?私が今平然としていられるのに、呪いはどんなものだったのだろうって」
アモス「それは——」
セシリア
「聞く必要がないから。なぜなら、呪いの内容を貴方は知っているのよ」
神殿内が静まりかえる。
返答に窮したのかと思われたが、アモスが言葉に詰まったのは一瞬だった。
アモス
「陛下は龍騎士にもなったお方なのでお身体も丈夫で大事にならなかったのだろうと勝手に解釈してしまいました。それが誤解を招いてしまったのなら申し訳ありません」
本当に申し訳なさそうに謝罪を述べた。
セシリア
「認める気はないんだね?」
アモス
「俺がやったという証拠はあるのでしょうか」
セシリア
「いいえ」
アモス
「セシリア陛下の推測でしかないのですね」
セシリア
「そう。だけど私はこの国の女王。私が貴方を黒と言えば黒なの。分かる?」
セシリアの目がスッと細められた。
アモス
「……陛下たちがしたことは、誰にも咎められることはないのに、俺は咎められるのですか」
アモスは帽子を取った。
顔を覆っていた布がなくなり、自嘲気味に笑うアモスの顔が現れる。
セシリア
「やっぱり……チレーナ君とスピカちゃんのことでこんなことを?」
アモス
「………さぁ。俺は何も知りません」
アモスは目を閉じた。
セシリア
「2人のことは、アモス君には本当に申し訳ないと……」
アモス
「俺は何も知らないと言っているではありませんかっ!」
普段あまり声を荒げないアモスが突如怒鳴った。
セシリアは目を丸くして義弟を見つめる。
スピカとチレーナの話をされたくないように感じた。
まるで2人にあったことを認めたくないような。
アモス
「陛下からの謝罪など、聞きたくありません。自己満足でしかない謝罪に何の意味が?」
セシリア「………」
セシリアは申し訳なさそうに俯いた。
アモス
「神官を解任するなり、牢屋にいれるなり好きにして下さい。俺は呪いのことなど何も知りません。」
セシリア
「……………アモス君を解任する気はないし、処罰する気はない」
アモス
「………なぜですか?」
セシリア
「貴方は私の大切な右腕だからだよ」
セシリアの言い分にアモスは鼻で笑った。
アモス
「ふぅん、そんなこと仰ってますが、スピカのため、自分のためではないのですか?神官が問題を起こしたとなるとこの国の品位が下がる……それを気にしているのでしょう」
セシリア
「それもあるよ。あるに決まってるじゃない。貴方は自分の立場が分かってやってるの?!」
セシリアも怒鳴った。
アモス
「俺はなにも知らないのでそう仰られても」
今度はしれっと冷静な様子で知らないと言い返す。
セシリア
「あくまでもそのスタンスなんだね。分かった。
——だけど見逃すのはこれが最初で最後。次があれば処刑する。貴方の家族も相応の罰を受けてもらう。貴方の奥さんも娘さんもよくて財産没収で国外追放。処刑以外ならこれができる最大限の温情だから。——処刑の可能性が十分あることを忘れないで」
セシリアはアモスを真っ直ぐ見据えた。アモスもセシリアの視線を無言で受け止める。
シズニ神殿が物音一つないほど静まり返った。
外から風の音と雨音が聞こえてきた。
アモス
「……そろそろ帰らないと。では陛下、これで失礼させていただきます」
アモスは再び帽子を被ったので表情が分からなくなった。
セシリア「……ええ」
アモス
「明日も陛下にシズニのご加護がありますように」
そう言うとアモスは一礼して去っていった。
アモスの姿がなくなったあと、セシリアは大きくため息をついた。
セシリアがシズニ神殿から出ると、地下墓地から誰かの気配がした。
その人物はしばらくその場から動けずにいた。
セシリア女王の受難⑤に続く

補足
アモスの妻スピカはセシリアの妹。
スピカは幼い頃からずっと想いを寄せる相手がいた。山岳兵団の長子チレーナです。
チレーナもスピカのことを好いていました。
この2人が親しい仲になったのはセシリアが2人の仲をとりもったことも関係していました。
このエルネア王国では山岳長子と王女は結婚できないというルールがあります。
*王女が王族でなくなれば可能だがnpcでその条件をクリアするのは難しい
2人はお互いを好きなのに諦めるしかありませんでした。
諦めきれない2人は恋仲のまま時が過ぎていく。
そんな中、アモスはスピカに交際を申し込みます。
アモスはスピカがチレーナの事を好きな事を承知でした。
やがてチレーナにも恋人ができ、スピカよりも先に結婚し、スピカもアモスと結婚します。
未だに交流はあるものの、友人としての関係が続いているだけですが………
スピカの心にはずっとチレーナがいることをアモスは気づいているのかもしれません。
最愛の妻を苦しめる原因を作った姉セシリアにアモスの憎しみが向いてしまったとしても仕方ないことなのかもしれません。
それとも動機は別にあるのでしょうか。