番外編 この気持ちは気づいてはいけなかった。 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。

ティアゴ目線の番外編三部、これが最後です。


 リンゴ・フォード
騎士隊長リリーの娘。ティアゴと接しているうちに意識してしまうようになっていた…ティアゴは既婚者のためリンゴは自分の気持ちに苦しんでいる。

ティアゴ・バーナード
ガルフィン魔銃師会の魔銃導師。若くして導師に選ばれる。リンゴの護衛についていたのだが、ある日自分の気持ちに気づいてしまう。

 

 


前回のお話はこちら

番外編 これは波乱の幕開けか。





 210年 本当に欲しかったもの②




このティアゴ目線のお話です。

 

 

 

 

 ゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――


 

 

ティアゴ

「まったく..怪我してなかったら俺でも絶対押し倒してるよ。夜遅くに空き部屋に一人で入るなんて..これからこんな所で着替えたりしたらダメだよ..」

 

これがユアンだったら、危なかった。あいつなら、リンゴのことを躊躇なく押し倒していそうだ。……怪我人にそんなことはしないか。

 

 

 

 

ーーユアンならリンゴの返り討ちに合うか。

 

………ご愁傷様………

 

 

 

 

 

まったく……俺は何を言っているんだ。

 

俺はくだらないことを言ったと思った。適当なことを言って今の台詞を流そう、そう思った時。

 

 

リンゴ

「押し倒してもいいよって言ったら..?」

 

 

思いがけない一言に俺の思考が停止する。

 

 

 

 

……なんだって?

 

 

 

ティアゴ

「…………そんなこと、こんな状況で冗談でいったらだめだよ」

 


あれか、またこの前みたいに俺をからかってるのか。

 

 

 

そう分かっていても、俺の心臓が少しうるさい。

 

 

 

 

 

リンゴ

「冗談じゃないって言ったら?」

 

 

切なげな声が俺の背中に投げかけられる。

 

 

 

 

ーー今おまえは俺をからかって笑っているのか?

 

 

本当は俺を男だと意識していないのか?

 

 

 

 

 

それとも……

 

 

俺はそっとリンゴを盗み見る。視界の端に入ってきたのは思いつめた顔で俯くリンゴの姿だった。

 

 

 

 

 

その姿を見た瞬間、俺は考えるより先に身体が動いていた。

 

 

俺の手が壁に伸びて電気のスイッチを消すと、華奢なリンゴの身体をベットに押し倒していた。

 

 

 

リンゴ「え?」

 

リンゴの戸惑った声が俺の下から聞こえてくる。

 

 

 

 

ティアゴ

「……これでも、冗談じゃないって言うの?」

 

無意識に息遣いが、荒くなる。

 

「さっき俺は、リンゴの裸をみたんだよ?

そんな男に、冗談じゃないって言ったら、本当に襲われちゃうよ。

ーーそれとも俺のこと男だと思ってない?」

 

 

 

俺はリンゴに馬乗りになって、身を屈めて彼女の耳元で囁いた。リンゴが息を呑んだのが身体の動きで分かった。

 

 

リンゴのいい香りがさらに俺の理性を奪う。

 

 

 

嫌なら殴るなり蹴飛ばすでもなんでもしてくれ。

 

 

自分で自分が止められそうもない。

 

 

 

押し倒した俺にリンゴは片手を伸ばして頰に優しく触れてきた。

 

 

月明かりに照らされたリンゴの黒真珠のような目の輝きに心が奪われる。

 

 

小さくて柔らかな手に触れられると時間が止まっているかのような不思議な感覚になった。

 

 

 

 

リンゴ

 「ティアゴ君こそ、私じゃ子供すぎて無理でしょ?」

 

 リンゴは潤んだ目で俺を見つめた。

 

 ドクンと心臓が高鳴った。


 

..さすが、別名おじさんキラー..破壊力が凄い..

 

 

………可愛い。

 

めちゃくちゃにしたい、自分のものにしたいという欲望が膨らんでいく。

 

 

 

 

ティアゴ

「………もう、子供には見えないよ…」

 

 

 

 

足元に投げ捨てたカバンから、酒のビンを取り出して、俺は煽るように飲んだ。一口ごくりと飲み、また酒を、口に含んだ。

 

これはかなり強い酒だった。

 

 

俺はそのままリンゴに口づけをした。柔らかい感触がした。

 

リンゴは戸惑いながらもぎこちなく俺の口づけに応えるようにジッとしている。

 

リンゴの喉にコクコク酒が注がれる。

 

唇が離れると、リンゴはゴクリと酒を飲み込み潤んで熱い炎を宿すような瞳で俺を真っ直ぐ見つめてくる。

 

 

 

俺はズボンのポケットから、Xさんが作った装置を取り出した。手早く俺とリンゴの居場所をダンジョンに設定する。

 

 

 

「これで俺たちの居場所は、誰にも分からない」

 

 

俺は真っ直ぐにリンゴを見下ろした。俺たちの視線が至近距離で絡み合う。

 

 

ティアゴ

「いつか言ったよね

今夜は寝かせないって..」

 

あの時は、こんな事になるなんて、思っても見なかったがな。

 

 

 

俺はゆっくりと再び口づけを落とす。リンゴはそれを静かに受け入れる。

 

 

 

リンゴの甘い香りが鼻を刺激する。俺は上着を脱ぎ捨てると、貪るようにリンゴの口内を犯した。

 

 

一度息継ぎのために離れると、頰を赤く染めたリンゴから熱い吐息が漏れる。

 

首筋に舌を這わすとリンゴの身体が、ピクンと震え身体を硬直させてぎゅっと目をつぶった。

 

彼女の服のボタンに手をかける。

 

 

 

ーーー俺のものにしたい

 

 

だけど……

 

 

 

俺は既婚者だ。

 

 

今からすることは一時の快楽でしかない……

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

ーーー………きっと殿下がリンゴを幸せにしてくれる。

 

 

 

 

 

ーーその芽を俺なんかが摘んではならない……

 

 

 

 

 

 

俺はボタンにかけた指を引っ込めると、緊張しきっているリンゴの唇に優しく口づけをしてから、その細い身体を抱きしめた。

 

 

ティアゴ
「・・嫁入り前の子に、手をだすわけにはいかないよ..」

 

 

十分手を出したあとなんどけどな……

 

 

 

リンゴは腕を伸ばして俺の背中に回して抱きしめる。

 

 

 

リンゴ
「それって結婚してたら出せるってこと?」

 



ティアゴ
「バカ..あんまりからかうな...」

 

そんなことを言うな。本当に。

 

俺は自分でもわかるほど困った声をしていた。

 

 

ティアゴ
「自分を大切にしないとダメだよ・・

キスした俺がいうのもなんだけど..
今のはモフにでも舐められたと思って」

 



リンゴ
「・・イムがいいかな」

 

 

ティアゴ
「・・じゃあ、イムで。」



リンゴ
「・・ずいぶん大きいイムだけど

私なんかが相手でもその気になってくれるんだ」



・・リンゴだからだ、バカ……

 

 

これ以上のやりとりは無用だ。

 

一刻も早く2人きりという状況を脱しなければならない。

 

 

ティアゴ
「・・バカ。もう、これから煽るの禁止、
絶対禁止いいね。未来の王妃なんだからこんな所で男と密会してるとか勘違いされたら大変だよ?!」

 

 

感情を抑えて言うとリンゴは不満げな声を出した。

 

リンゴ「えー」



ティアゴ
「えーじゃない!もしかしてバーニーさんやバルナバさんにも同じことしてる?!」

あり得ないな、と思いながら自分で口にすると不安になった。



リンゴ
「するわけないじゃん!ティアゴ君、私をなんだと思ってるの?!」

 

即座に否定されて俺は内心ホッとする。

 

 

 


ティアゴ
「おじさんキラー」

 


リンゴ
「...こんなことティアゴ君にしか言ってません!」

 

 即答すると、リンゴは頰を膨らませて反論してくる。

 

 

ティアゴ
「本当かなー?」

俺は少しふざけで言う。


リンゴ
「本当だよ!!」

勘違いされたらたまらないという風にリンゴは強く否定する。

 

 

ティアゴ
「・・俺にだって、もう言っちゃだめだよ。

・・・今度は本当に食べちゃうから」

 

 

ーーー何度も男がお預けを我慢できると思うなよ

 
 
 

リンゴ「た、た、食べるって・・」

 

リンゴはまた顔を赤くした。その反応に満足して俺はニヤリと笑いリンゴから離れて、脱ぎ捨てた上着を羽織った。

 

 

 

ティアゴ「・・帰ろう」



リンゴ「うん..」

 

 

 

リンゴがベットから降り立ち上がる。

 

 

早くリンゴが見つかったことを報告しなくてはならない、2人でいるのはマズい……そう分かっていても。

 

 

さっきの事はなかったことにしなくてはならないことも理解しているのに、俺の腕がふわりとリンゴ抱き寄せる。

 

 

俺たちはしばらく無言で抱き合っていた。

 

 

 

リンゴが俺の胸板に顔を埋める。その姿が愛らしくて俺は思わず抱きしめる力が強くなった。

 

 

 

これが最後でなければならない。

 

 

 

 

この気持ちは気づいてはいけなかったのだから。

 

 

 

 

 

どちらからともなく、名残惜しそうに離れ、俺たちは部屋をあとにする。

 
 
 

 

ーー明日から俺たちはいつもの関係に戻れるだろうか。

 

 

 

 

月日が経てばこの気持ちは薄れていく。

 

 

 

そう祈って、俺たちは月明かりの中を歩いた。

 

 

 

先に待ち受ける苦難などこの時は知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーいや。

 

 

俺は心のどこかで悟っていた。

 

 

 

それでも願いたかった。

 

 

 

 

彼女が幸せになることを。

 

 

この国の平穏を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

ティアゴ目線の番外編、ラストです。
駄文にお付き合いくださりありがとうございました。
ティアゴ目線のお話が読みたいというリクエストは前からいただいていたのですが遅くなりすみません。ご期待に添えているとよいのですが……。

物語の中心人物の死はぽっかりと穴が空いたようです。