これが2人の罪と、、罰。 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。




コロナの感染者がすごいことになっていて、本当に心配です……後遺症もあるみたいだし……

うちはずっと自粛生活ですが、私の住む地域は緊急事態宣言の対象なので引き続き引きこもり生活をすることにします。

みんなに笑顔が戻る日々がまた戻ってきますように。


゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――



リンゴ・ラウル
エルネア王国 王妃。
セシリアの母。
長年支えてくれたティアゴの死に、失意の日々を送る。人前では笑顔を見せるが無理をしいる。


イマノル・ボイド
山岳兵団 ボイド家隊長。
リンゴの親戚。リンゴとはくだらない事を言い合う仲。リンゴの事情を知る数少ない1人。ティアゴが亡くなり自分も消沈しているが、リンゴのことを心配している優しい奴。前回ヴェルンヘル陛下が、自分たちしか知らないと思っていた場所に居ることに気づく。






魔銃導師が亡くなり、魔銃師筆頭のリンゴがその代理を務める。




導師経験があったのもあり、滞りなく業務が終わる。




来年の導師に選ばれたが、嬉しい気持ちは微塵もなく、空虚な気持ちで今夜もあの場所で月を見上げる。


あの人は自分の心を照らしてくれた月のような存在だった。

この場所で、月を見上げる時だけが、今のリンゴにとって救いだった。



リンゴ
(………なんでこんなに枯れているんだろう)


毎年咲いていたスノードロップがほとんど咲いていない、寂しい場所にリンゴは首を傾げた。

不思議に思ったが、憂鬱な気持ちの方が勝りそのことをほとんど気にしなかった。


寒さにブルッと身体を震わせ、再び月を見上げる。


雪が降ってもおかしくないほどの冷え込みに、
ふと雪の日にティアゴに雪玉を投げた日のことを思い出した。


リンゴ
(……あのあとティアゴ君、ムキになっちゃって私のことを追いかけてきて……雪玉が当たらないから私の服に直接突っ込んだんだよねぇ……そのあと雪をかき出してくれたけど、どさくさに紛れて胸を……)

慌てながら手を引き抜き、事故だと言い張りながらそれでもにやけていたティアゴ。
今でも鮮明に思い出される冬の出来事にクスリと笑いが漏れ、涙が溢れた。


リンゴ
(思い出にするには、まだ早すぎるよ……)



その場にうずくまり、弱虫な自分を情けなく思った。









゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――



この場所の入り口で、イマノルは今日もそっとリンゴを盗み見ているヴェルンヘルの姿を見つけた。



イマノル
「………そんなに心配なら、声かけりゃーいいじゃん」

半ば呆れた様子でイマノルは笑う。


ヴェルンヘル
「………!」

声をかけられ、びくりと身体を震わせた。


イマノル
「仲の良い人が亡くなったら男も女も関係なく悲しいよ。俺だって愛しの導師が死んでめっちゃ悲しいしさぁ」

愛しの導師というフレーズにヴェルンヘルが冷たい視線をイマノルに向けた。


イマノル
「……だからさ、リンゴが悲しむのは普通のことだし、仲の良い友人を亡くして悲しむ奥さんを夫が慰めるのは自然のことだと思うよ」



ヴェルンヘル
「……イマノル隊長はリンゴの友人だろう。貴方が慰めればいい……」

ふいっと視線を逸らせる。


イマノル
「俺が?いいの?どさくさに紛れて、口説いちゃうかもしれないよ〜?」

ニヤニヤと笑いながらイマノルは国王の反応を窺う。


ヴェルンヘル
「ーー!」

表情は変わらないものの、僅かに目つきが変わった。


イマノル
「それでもいいんだ?陛下」


無言でいるヴェルンヘルにさらにイマノルは問いかけた。

「なんも言わないなら、ほんとうに口説いちゃうよ?俺のことよく知ってるでしょ?女性が好きだって。」


ヴェルンヘル
「………イマノル隊長にとってリンゴは対象外かと思ったのだが」


イマノル
「俺は全ての女性を愛せる男だからね〜」


ヘラヘラと笑ったかと思えばイマノルは真顔になり、

「……で?止めないなら、俺、行っちゃうよ」


挑発的にヴェルンヘルに言った。


少しの沈黙のあと、


ヴェルンヘル
「………………それは困る」

苦しげに呟いた。


イマノル
(めんどくさい陛下だなぁ……)

やれやれとため息をつくと、イマノルはヴェルンヘルの背後に視線を向けた。その目はひどく驚いていてヴェルンヘルが眉を顰めた。


ヴェルンヘル
「……?イマノル隊長?」


イマノル
「あ………あんなところに………」

指を指しながら驚き慄いた。

ヴェルンヘル
「どうした…」

ヴェルンヘルはイマノルの指差す方に視線を向ける。

その瞬間ヴェルンヘルの身体に衝撃が走った。

山岳隊長イマノルのバカ力に突き飛ばされ、隠れていたところから思いっきり飛び出し、あと少しで転びそうになった。


ヴェルンヘル
「………な、何を——」


突然姿を現せたヴェルンヘルの姿に、リンゴは驚き、固まった。


2人の距離はあるものの、リンゴの視線が自分に注がれていることをひしひしと感じ、ヴェルンヘルは気まずそうに視線を逸らす。


リンゴ
「………ど、どう…して……ここ…に」


問いかけに、ヴェルンヘルは答えない。


ゆっくりとリンゴの元へ向かいしゃがむと、座り込んでいるリンゴと視線を合わせる。


黒い真珠のような瞳は涙で濡れていた。


ヴェルンヘルの登場に瞳が困惑して揺れている。


ヴェルンヘルはそっと手を伸ばし、リンゴの柔らかな頰に触れる。


ヴェルンヘルは苦しそうで、悲しい色を瞳に浮かべながら、頰に添えた指を肌の上に滑らせ、リンゴの唇の上をなぞった。

リンゴの心臓がドキリとして、目の前にいるヴェルンヘルを真っ直ぐに見つめる。


リンゴ
「………ヴェルン…ヘル…?」

戸惑いながら名前を呼ぶ。寒さのせいなのか別の理由なのか、ヴェルンヘルの手が少し震えていた。



ヴェルンヘル
「……………………俺がいるから」

震える手でリンゴの腕を掴むと、そのまま自分の方に引っ張り、抱き寄せた。


「俺がずっとそばにいるから」

ぎゅうと抱きしめられ、リンゴの瞳から涙が一筋落ちた。


リンゴ
(………私がここで泣いている意味を知っているの……?

どうして、ヴェルンヘルはここにいるの?………いつからこの場所を知っていたの?)


混乱して言葉が出てこない。


抱きしめてくれるヴェルンヘルを押しのける気は起きなくてヴェルンヘルの胸元で、リンゴは涙を流した。

リンゴが泣き止むまで、ヴェルンヘルは片腕でリンゴを抱きしめ、空いた手で頭を撫でていた。


少し落ち着いた頃、ヴェルンヘルがハンカチでリンゴの目や顔についている涙を拭った。


ヴェルンヘル
「……少しは落ち着いた?」


リンゴ「うん……」


ヴェルンヘル
「泣きたい時は、泣けばいい」



リンゴ「あの」

聞きたくないと思いながら、躊躇いがちに口を開く。



ヴェルンヘル「ん?」



リンゴ
「……いつから…この場所を知っていたの?」

聞かない方が、きっといいのだろうと思っていた。それでも、聞かなければならなかった。


ヴェルンヘル
「…………成人した頃から……この場所は、王族が管理しているんだ」


その答えに、リンゴの顔色が変わり、ヴェルンヘルは何かを飲み込むような苦悶の表情を浮かべた。




お互いが、お互いのその表情が本当に知りたい事の答えであることを悟った。




リンゴは絶句して、ヴェルンヘルを見つめる。


たまにティアゴとの関係を不審に思うような事を言われた事もあったが、それは本当に数回のことであって………


決定的なことは言われたことがない。




ヴェルンヘルは優しく微笑んだ。

「そろそろ帰ろう。身体、すごく冷えているよ」



リンゴ
「な……んで……私にそんなに優しく出来るの」

グッとヴェルンヘルの胸板を押し返しそうとしたが、びくりとも動かなかった。至近距離でお互い見つめているのに、お互いの気持ちが全然見えてこない。


「私のこと、責めればいいじゃない……殴ればいいじゃない……」



ヴェルンヘル「……なぜ?」


リンゴ「なぜって……」


ヴェルンヘル
「俺は何も知らない」

ヴェルンヘルが何も知らないと思うのは、リンゴには無理があった。


さっきのヴェルンヘルの表情は、何も知らないはずがなかった——


それでもヴェルンヘルはリンゴに何も追求するつもりはないらしい。


唖然としているリンゴの額にそっと口づけを落とす。


ヴェルンヘル「帰ろう。」



リンゴ
「………うん」


2人は立ち上がり、ヴェルンヘルの腕がリンゴから離れた。


リンゴ
「……先、帰ってて」



ヴェルンヘル
「……………心配なんだが」

リンゴを1人で残していくことにヴェルンヘルは難色を示す。

このタイミングで残すことの危険を感じていた。


リンゴ
「少し……考えたい」

黒い可愛らしい瞳を閉じて静かに言う。



ヴェルンヘル
「………分かった。あまり遅くならないように。」


リンゴ「うん…」


ヴェルンヘル
「遅かったら、迎えにくる」


転移魔法でヴェルンヘルの姿が消えてなくなった。



し……んと辺りが静まり返る。


——ヴェルンヘルは……
気づいてた………

気づいてたのに、ずっと………
ずっと気づいていにいふりをして、私とティアゴ君に接していた………

今までヴェルンヘルは、
どんな気持ちで私たちと話していたの?

どうして私たちを罰しなかったの?
どうして……。


リンゴはその場に蹲りしばらく動けないでいた。


——ティアゴ君がもし生きていたら……
なんて言うかな。
どんな反応するんだろう。

嘘だろ………

って言って頭抱えてそう………。

「——はぁ」

どうしたらいいんだろう。
これから、ヴェルンヘルとどう接したらいいのだろう。
合わせる顔がない。

生きる希望が絶望的になさすぎて、リンゴは全てが嫌になってきた。

ため息をついて、辺りを見渡す。

そして異変に気づく。


ヴェルンヘルがいなくなった森の中で、リンゴは改めて森を見回した。



寒々しく見えていたのは、冬の寒さのせいだと思ってた。


リンゴは今日まで、ティアゴがいれば彼のことと空ばかり見ていて、下をほとんど見ていなかった。



少し離れた場所………花畑から少し離れたところに見慣れない石が置かれていた。

さほど大きくはないが、両手で持ち上げなければないほどの重量はあるその石は、初めてみるものだった。


ここに通い続けて数年。この石があれば、記憶しているはずだった。

その石をどかすと、地面が黒と紫に変色し、邪気のようなものを放っていた。

そこからは強い魔法と風の気配があった。


リンゴ
(………これは、何……)

正体がわからないのに、身体に鳥肌が立つ。辺りを見回すと、何本か木々が倒れ、倒れた木の周りの木々は斬りつけられたような跡が無数にあった。


明らかに、ここで戦闘が行われていたことを示していた。


リンゴ
(………いつもいる場所から少し離れていたから………全然気づかなかった……)


ヴェルンヘルが酒場の個室であっていた旅人女性の使ったのは強力な風魔法


その後なぜか居場所がバグウェルの森になっていたヴェルンヘル。


その後、目撃情報がない旅人女性……


国民すら知らない場所を旅人女性が知っている可能性は限りなく低い。

ヴェルンヘルの意思で、ここに転移して、戦闘になった……



カサッと音がなり振り返る。

そこにはイマノルがいた。



リンゴ
「………いつからいたの?」


イマノル
「今戻ってきたとこ。」

一枚の紙を、リンゴに差し出した。受け取って紙をみる。1人の金髪碧眼の美しい女性の写真が載っていた。

リンゴ
「………これ、まさかだとは思うけど」


イマノル
「そ。ヴェルンヘル陛下が酒場の部屋に連れ込んだ女性。ティムに写真見てもらって確認した」


リンゴはイマノルを見上げながら睨む。なんでこんなものを持ってきたんだと目が怒っている。


イマノル
「その女性、国際手配されてるんだってよ。通称風の魔女」


リンゴ「風の魔女…」

情報屋から聞いたことはあったが遠い国の出来事だったし、目の前に問題が蓄積していて気にしたことがなかった。


イマノル
「殺しを好むイカレた狂人だって。今まで殺した人間は、赤子から年寄りまで、どんな人間も気分次第で殺すんだってさ」


リンゴ
「怖……」


イマノル
「生前のティアゴさんがさ、ヴェルンヘル陛下と旅人女にあった出来事をただの男女のいさかいだとは思えないって気にしてたから俺も探ってたんだよね〜」

 
リンゴ
「ティアゴくんが…」

ティアゴの名前にリンゴは息を飲む。


イマノル
「手を出そうとした女がたまたま狂人だったのか、意図的に接触したのか……」


リンゴ
「前者でしょ。ヴェルンヘルの女癖の悪さはイマノルも知ってるでしょう……」

感情を消して淡々とした口調で言った。


イマノル
「あの日、陛下はたまたま酒場にいたらしいんだってね。普段は酒場で酒を飲まない陛下があの日に限ってあの場所にいた……妙だと思わない?」


リンゴの目が微かに見開かれるが、子供のようにふてくされたような顔をする。

リンゴ
「ヴェルンヘルだって、お酒を飲みたくなることくらいあるはずだよ」


イマノル
「今まで陛下を酒場でみたことは?」


リンゴ
「ないけど………その旅人さんを待ち伏せしてたんじゃないの?」

フン、と鼻を鳴らした。
綺麗な人に会うためにわざわざ足を運んでも不思議ではなかった。


イマノル
「そのとおり。狂人の狙いを確かめるために接触を試みたんだと俺は思う」



リンゴ
「………ヴェルンヘルに、そんな狂人を追い返すほどの実力があるとはとても思えないんだけど」

ヴェルンヘルはカンストしているし、昔に比べて強くなったとはいえ相手は風の魔女といわれ国際手配されている殺人鬼。

たまたま手を出そうとしたのが狂人だった、とリンゴは思った。


イマノル
「陛下はなんも考えてなさそうに見えて聡明で賢い人だから無策でたった1人で迎え撃つ……それはないと思うんだよねぇ〜」


リンゴ
「もしそうだとしたら………どうしでそれを言わないの?イマノルも知っているでしょう?あのあと、ヴェルンヘルが国民にどんな目で見られていたか」

女癖が悪いことで前から言われていたが、
例の一件で酒場の部屋が破壊され、武術職たちが陛下の安否を心配して騒ぎになり、陛下自身も怪我をして国中に陛下の失態が知られてしまった。


イマノル
「………陛下ってさ肝心なことは嘘つくと思わない?」

苦笑しながら優しい目でイマノルは問いかける。




リンゴ「………!」

ついさっきもそうだった。

なにも知らないはずがないのに
「俺は何も知らない」

そう言って、リンゴのことを責めもせず、心配そうに見ていた。


イマノル
「それが国王として、エルネアという国に最善だと判断したんじゃないの?
……まあ、憶測だけどね。」


リンゴ「………」

ザアァと冷たい風が吹いた。


イマノル
「寒っ……!そろそろ帰らないと風邪ひいて俺たちまでガノスに呼ばるって」

腕を擦りながらイマノルは体をぶるっと震わせた。

リンゴ
「イマノルは風邪なんてひかなそーだけど」


イマノル
「俺だってこれでも普通の人間だって」


リンゴ
「………色々ありがとうね」

さっきヴェルンヘルが突然姿を現したのもイマノルのお節介のせいだろうとリンゴは察した。

この男は、知らないところで色々とやってくれているのだろう。

リンゴは良い友人に恵まれていた。


イマノル
「お礼はリンゴの膝枕でいいよ」

いつもの調子でおちゃらける。



「それは却下する」

低い声で、イマノルの提案は却下された。

声の主を振り返る。

遅かったら迎えにくると言ったとおり、ヴェルンヘルが迎えにきたようだった。


ヴェルンヘルがジロリとイマノルを睨むと、イマノルは可笑しそうに笑いながら

「なんもしてないって!」とその視線に応えていた。リンゴは怪訝そうに2人を交互にみる。


ヴェルンヘル
「帰ろう。本当に風邪をひいちゃうから」


リンゴ
「う、うん」

今まで基本的に放っておかれていたので過保護なヴェルンヘルに免疫がない。驚きつつも、ヴェルンヘルに従い、一緒に帰宅する。


子供たちはすでに眠っており、誰も寝ていないベッドに潜り込む。


リンゴが横になったベッドにヴェルンヘルがきて、横になる。


ヴェルンヘル「おやすみ」


リンゴ
「……おやすみなさい」

ヴェルンヘルはリンゴを抱き寄せ、抱き枕のように抱きしめながら眠りについた。

まるで、寝ている間にいなくならないようにしているかのように。


リンゴ
(………………

わからない………

ヴェルンヘルは、何を考えているの……)


ヴェルンヘルの寝息が聞こえてきて、その胸から聞こえてくる規則正しい鼓動を聞いているうちに微睡み、リンゴも眠りについた。




翌朝


いつもと変わらない朝の風景。

昨夜何もなかったかのように、リンゴもヴェルンヘルもいつも通り振舞っていた。



きっと2人はこれからも変わらない。


本音で話すこともなく、気持ちを吐露することもない。

今日も仮面を被って仮面の夫婦を演じ続ける。


これは、2人がお互いを裏切った罪、そして自業自得の罰なのかもしれない。


ヴェルンヘル
「おはよう」



リンゴ
「おはよう」

この挨拶が、1日で交わす最初で最後の会話になることも少なくない。リンゴはダンジョンに篭って忙しいし、ヴェルンヘルも暇そうに見えて暇ではない。(多分)




朝食を終えて、玉座の間にヴェルンヘルが行くとすでに数人の女性たちが待機していた。

ヴェルンヘルの周りはいつも女性がいて華やかだった。

もしかしたら相手をしてもらえるかもしれないと期待に胸を膨らませて会いにくる女性も少なくない。


見慣れた光景に、リンゴは無表情で通り過ぎていく。



ヴェルンヘル
「あっ………」

取り巻きの女性たちを置いて、出かけていくリンゴに駆け寄ると、

「気を……つけて」

たどたどしく言いながら、後ろからギュッとリンゴの華奢な身体を抱きしめた。


リンゴ
「……?!う、うん……ヴェルンヘルも……」

ヴェルンヘルが離れると、リンゴは恥ずかしそうに駆け出した。


リンゴの表情が見えず、自分から逃げ出すように駆け出したリンゴの後ろ姿を見て


ヴェルンヘル
(逃げられた………そんなに俺が嫌なのか……)

国王はダメージを受けていた。

ヴェルンヘルは勇気を出して後を追ったのでダメージは大きかった。



リンゴ
(こうやって女の子たちを 
メロメロにしてるんだ……!
機嫌取りか知らないけど騙されないんだから!)


どんなに嫌悪していても、リンゴの心を揺り動かすヴェルンヘルの魅力に、苦々しく思いながらダンジョンへ向かった。



リンゴ
(……ティアゴ君がいなくなったからって
心の隙間を埋めるみたいにヴェルンヘルのところにはいけない……)


目を閉じて深呼吸をする。





ーー大丈夫。

私の心は遠い彼方に預けてあるから。











あとがき
罰といいながらそんなに罰にならんかった気がする。

このタイトルはリンゴ時代につけた「罪と罰」と連動しています。212年 罪と罰


2人の罪と罰。

お互いを裏切った行為は簡単に許されることではないし、絡まった糸はなかなか解けないものです。




ちょこちょこ動画を見ていたYouTubeさんが亡くなってショックを受けています。死因の発表は確かなかったはずだけど………
ずっと苦しんでいたようなので「もしかしたら」と思うと……。