魔獣討伐戦⑤ 4人の龍騎士ーそして戦いは終わりを告げる | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂スイッチ版エルネア王国をもとに書いています。
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアゴ「放て!!」
 
合図と共に魔人を取り囲んだ魔銃師たちにより魔銃が放たれる。魔人に集中砲火が向かってる間に、ティアゴがリンゴの横に駆け込んできた。
 
 
ティアゴ「ーー大丈夫?」
 
ボロボロのリンゴの様子に心配そうな声で聞いた。
 
 
 
リンゴ「………………遅い!」
 
涙腺が緩みそうになってリンゴはぐっと歯を食いしばる。
 
 
ティアゴ「……ごめん」
 
申し訳なさそうにティアゴは謝った。
 
 
リンゴ「………心配したんだから……」
 
 
ティアゴ「…ごめん………状況は?」
 
 
バルナバとリリーたちが魔人に斬りかかり、魔法弾を身を翻して避けているのを横目で見ながら聞いてきた。
 
 
リンゴ
「ゲロルド隊長重傷、ここにいるメンバーとアスセナ、ガブリエル以外意識不明、怪我の程度不明の戦闘不能」
 
 
ティアゴ
「ーーかなりの被害だな……了解。まだ戦える?」
 
 
リンゴ「当然」
 
 
魔人の足へのローデリックの一撃に魔人が咆吼を上げる。
 
 
角が光り、無数の小さな光の弾が魔人の周りに浮かび上がる。
 
 
 
バルナバ
「退避!全員退避だ!」
 
 
皆が一斉に魔人から離れるように駆け出した。リンゴも慌てて走り出す。光りの弾がかすり腕に痛みが走った。
 
 
ティアゴ
「安全な場所からでいい!放て!」
 
 
バルナバ「被害状況は?!」
 
 
メーベル
「今のところ大きな被害なし」
 
 
バルナバ
「接近戦の者は突撃!奴を休ませるな!」
 
一斉に魔人との距離をつめて攻撃を展開する。バルナバの攻撃が終わったところで
 
 
リリー
「バルナバ!悪いけど、馬跳びの台になって!」
 
 
バルナバ「へ?」
 
言われるまま、バルナバが屈んで背中を丸めると、助走しながらリリーは跳躍し、バルナバを踏んづけて台にすると、魔人の角に鋭い一撃をいれた。
 
魔人の角が鈍く光り、わずかにヒビが入った。
 
 
リンゴ「……すごい、お母さん…」
 
 
ティアゴ
「バルナバさんを台にするなんて、リリーさんくらいだよ」
 
ティアゴは感嘆と呆れが混じった声を出した。
 
魔人は咆吼を上げながら、足元に魔法陣を出現させる。
 
再び黒い霧のようなものが広がった。
 
 
バルナバ「吸うな!退避!」
 
飛び退くように魔人との距離をとり、ティアゴが予備の魔銃を取り出して中和剤を散布する。
 
 
魔人が一人の騎士隊の女性の髪の毛を掴むと口を開いた。サブリーナ・チチェスターが魔人の追撃を受けていた。
 
 
リリーが素早く駆け寄り魔人の腕を斬りつける。赤い体液が流れ、魔人が目を怒らせながらリリーを殴りつけ、リリーは剣を突き刺し、足で蹴りながら応戦する。
 
 
リリー
「サブリーナさんは離れて!」
 
瘴気と毒の混じった霧の中は中和剤を散布しても危険だった。
 
魔人のさらなる攻撃を、ローデリックが受け止める。ギリギリとローデリックの斧と魔人の鋭い爪が交差する。
 
 
アラルコスとイマノルが走り込み、魔人の足元に滑り込むようにして斧を振う。
 
屈強な山岳隊長の同時攻撃に、魔人は声をあげながら一歩後退した。ローデリックはサブリーナを庇いながら後退する。
 
 
リンゴ
(もしかして、魔人は女性を狙って捕食しようとしている…?)
 
先程ルーダを狙ったこともあり恐ろしい可能性に気付いてゾクリとする。
 
 
ティアゴ
「代わる代わるヒールだ!回復を途絶えさせるな!」
 
瘴気がジワジワと体力を削っているため、ヒールを常に使うよう指示する。
 
 
皆が体力を失う中、リリーだけがピンピンしていた。
 
ローデリック
(…なぜリリー隊長は平然としている?)
 
 
リリー
(過去に瘴気を大量に浴びたせいか耐性がついたのかな……)
 
瘴気だけでなく毒のダメージも皆に比べて少なかった。
 
皆が魔人に近づけないなか、リリーは一人で斬り込んでいく。
 
 
バルナバ「リリーちゃん!一人だと危ないよ!」
 
 
中和剤ではこの濃い瘴気を消すことはできない。魔人に近づけずバルナバが歯軋りした時、周りがふわりと光り、黒い霧が消えていく。
 
 
双剣を構え、スキルを発動するヴェルンヘルの姿があった。
 
 
メーベル「陛下!」
 
 
ヴェルンヘル
「この瘴気の霧は俺が対処する」
 
皆の体力を回復すると同時に加護の力で瘴気は消え去った。
 
 
リンゴ
「ヴェルンヘル!城に戻ったんじゃ……」
 
 
ヴェルンヘル
「ここが心配になって……突入隊が合流したんだ、魔人を倒すぞ」
 
 
リンゴ「うん!」
 
双剣を構え、疾走する。魔人が気づいて腕を振り上げた瞬間に何度も斬りつけ、身を翻すとさっきまでリンゴがいた場所を魔人の腕が振り落とされる。
 
リンゴが離れた瞬間、魔銃師会の魔銃が魔人を撃ち、それが終わるとバルナバたちが攻撃する。
 
 
魔人の角が光り、魔法弾が形成される。
 
 
リンゴ「危ない!避けてー!」
 
リリー「散開!」
 
大きな魔法弾が次々と形成され、幾つもの方向に飛んでいく。次々と地面に着弾し、爆発音と地響きに空気が震えた。
 
爆風に吹き飛ばされそうになるのは足を踏ん張って耐えながらリンゴは薄目を開けて辺りをみるが風が吹き荒れ視界は閉ざされている。
 
 
 
リンゴ「被害状況は……!?」
 
ドクンと心臓が脈打つ。
 
何かの気配を感じ、リンゴは咄嗟に双剣で防御の態勢をとると、凄まじい力で双剣を殴りつけられた。
 
 
リンゴ「ーーー!!!」
 
 
よろけそうになりながら次の攻撃を間一髪で避け、攻撃を叩き込む。
 
魔人の口が動いた。
 
本能的にリンゴは魔人は捕食する獲物を探していると感じた。
 
 
リンゴ
(コイツ、私を食べるつもり…!?)
 
ゾワっと身の毛がよだつ。
 
食べられるときってどんな気分なんだろうと、恐ろしいことを考えそうになるが思考を中断させる。
 
 
余計な事を考えて勝てる相手ではないと、被害状況からリンゴはよく分かっている。
 
 
リンゴ「ふあ?!」
 
 
突然、魔人がグラッと傾いて、そのまま攻撃を加えているリンゴを巻き込んで前のめりに倒れ込んだ。
 
 
ーーーまさか圧死させる気ーー?!
 
 
ーーこれは予想していなかった、予想外だ……
 
 
身体がメキメキと嫌な音を立てて色んなものが崩壊していくのを感じた。
 
身動き一つ、呼吸すらままならない……
 
 
目の前に魔人の恐ろしい金色の眸と角が見える。
 
 
間近で角が光り、獲物の息の根を完全を絶えさせようとするかのように魔法弾が大きくなっていく。
 
 
リンゴにはまるでカウントダウンに思えた。
 
 
シュッと音がしたと同時に、魔人の角に魔銃の弾が命中し、魔法弾の形成が止まった。
 
ルークやティアゴが魔人に魔銃を連射する。魔人はそれでもリンゴの上に被さったまま動かないのでティアゴは鞘から剣を抜き、魔人を斬りつける。
 
魔人が空気が揺れるほどの咆吼をあげながら後方に退く。
 
リンゴは軋む身体を起こし立ち上がると双剣を構えた。
 
 
魔法陣が展開され、風が巻き起こる。
 
 
リンゴ(あれは、ゲロルドが受けた攻撃ーー!)
 
全身の血がカッと熱くなるような感覚がした。身体で危険を察知している。
 
 
リンゴ「みんな!逃げて!」
 
 
広範囲に及ぶ攻撃は、リンゴたちのもとにも向かってきた。すぐ横にいたティアゴが咄嗟にリンゴをしゃがませて覆い被さると身を挺して攻撃から守った。
 
 
「騎士隊戦闘不能4名!」
 
誰かの声が森に響いた。
 
 
 
敵の気配を感じティアゴが身を起こして、剣を構えた瞬間、あっという間に距離を詰めた魔人の鋭い爪が剣と交差する。
 
 
ティアゴ
「またかよ、しつこい……」
 
 
リンゴ
「私を捕食しようとしてるのかも」

リンゴの一言にティアゴの表情が険しくなり交差する剣に力が入る。
 
 
ティアゴ
「それはそれは……王妃を魔人にくれてやるわけにはいかないな!」
 
魔人の攻撃を避けつつ、ティアゴとリンゴが応戦する。
 
バルナバが走ってきてそのままの勢いで魔人の腕に斧を振り落とした。
 
 
グチャ……と音がした瞬間、魔人の左腕が血飛沫をあげながら地面に落ちた。
 
 
魔人の苦しげで怒りに満ちた咆吼が、大地を揺らす。
 
ビクリと何人かが足を止めた。
 
リンゴは魔人の角に向かって、
 
SPスキル・ドラゴンショットを放つ。
 
魔銃師会の龍騎士のみが使えるスキル。
 
それに続くようにティアゴもドラゴンショットを撃つ。
 
2人の攻撃がヒットし、魔人の身体がぐらりと揺れ片膝が地面についた瞬間、リリーがSPスキル
ドラゴンスラッシュで魔人を斬りつけた。
 
苦し紛れに魔人は残った片手の鋭利な爪で攻撃してくる。リリーは剣で受け流し、バルナバは攻撃をすり抜けながら斧を振りかざす。
 
SPスキル ドラゴンストライク
 
 
バルナバの渾身の一撃が、魔人の角に叩き込まれ、角にビキビキと亀裂が入った瞬間、角は崩壊した。
 
 
すると魔人の身体が揺れ、発光しだした。
 
 
バルナバ「離れろ!!」
 
 
皆が散り散りになって魔人から距離をとって走りだした時、ピカッと光り輝き、魔人の身体が爆発した。
 
轟音と爆風に皆の身体が地面に転がる
 
 
 
魔人と決着がついた時には夕日が地平線の彼方に消えようとしていた。
 
 
 
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.
 
 
 
 
戦闘が終わってみると突入隊もかなりの被害が出ていた。
 
 
調薬室や大水槽室に怪我人が寝かせられている。
 
 
 
ティアゴ
「幸いなことに、ゲロルド隊長以外は、軽傷でした」
 

リリー
「ゲロルドの怪我の具合は?」
 
 
ティアゴ
「傷口は塞がっているので、あとは2、3日寝ているようにとのことです。」
 
 
リリー「良かった…」


 
リンゴ「アルシアは??」
 
 
ティアゴ
「アルシア隊長を含む、戦闘不能の者たちは、気を失っていただけだったそうです」
 
 
バルナバ、リンゴ、リリーは安堵の息を漏らした。

 
 
バルナバ
「……みんなよく頑張ったね、お疲れ様」
 
バルナバはボロボロのリンゴたちに微笑んだ。
 
 
リンゴ
「バルナバさんも……最後かっこよかったです!」
 
 
バルナバ「アハハ……ありがとう」
 
 
頭を掻きながら笑い、真剣な表情になるとバルナバは三人を見回した。
 
 
「最後に共に戦えたこと、誇りに思う。ありがとう」
 
 
ティアゴは俯き、リンゴは涙ぐんだ。
 
 
リリー
「それはこっちの台詞…」
 
バルナバにくるりと背を向けて、リリーは離れて行った。
 
 
リンゴ(お母さん……)
 
その後ろ姿をバルナバとティアゴが無言で見送る。
 
 


リリーの姿が見えなくなるとバルナバはティアゴのリンゴを交互に見ると、



バルナバ
「………あとを頼んだよ」
 
腕を伸ばし、リンゴとティアゴを抱き寄せた。
 
 
 
リンゴ
「……バルナバさん………!」
 
リンゴはギュッとバルナバの服を掴んだ。


ティアゴ
「はい…」

ティアゴは辛そうな表情を浮かべバルナバの胸元でコクリと頷いた。
 
 



多くの人に愛されて、国のために最後まで勇敢に戦ったバルナバ・マルチネス。
 

 
彼がガノスに召されるのはこの数日後のことだった。
 
 





あとがき

次回は、まだ書き終えてないのでなんともいえませんが、
バルナバの残された穏やかな日々を奴らが騒いで荒らすようです。



次回
ピッツァ職人バルナバと下着泥棒



どんな話なんだ……


またマルルさんさんっぽく書いてみました!
(*´艸`)


多分次に俺のポエム集が盗まれた!の犯人が分かるかもしれないけど文字数オーバーになると無理かも……