魔獣討伐戦③ 戦慄する守備隊 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。









何もないと思っていた空間に足を踏み入れると、行き止まりに見えた空間が突如開けて道が続いていた。



バルナバ「ーー行こう」

バルナバが先頭になって進む。新たな現れた道の空気はヒンヤリとしていた。

先程より濃い濃度の瘴気が漂っていて、魔銃師会のメンバーは交代で中和剤を散布しながら進む。



広い空間に一行は出た。


足音が反響する音だけがする。


静寂が辺りを包んでいる。



暗闇の中にうっすらと見える姿に、一行は息を呑んだ。


何者も恐れない、そんな意思を感じる金の眸が招かねざる者たちを見据えていた。




゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.



ジリジリと夏の日差しが照りつけるエルネア王国


禁断の遺跡の前では守備隊が固唾を飲んで突入隊の帰還を待っていた。



守備隊の隊長を務める龍騎士の1人リンゴ・ラウルは遺跡内からの気配に気づき、普段は愛らしい黒い瞳は険しく細められ遺跡を見つめた。




「………ウソ」


ドクンドクンと心臓が高鳴った。

一瞬身体がヒヤリとする。


魔獣の気配が近付いてくる。




それが何を意味しているのか、最悪の事態が脳裏を過ぎる。



中に入った人たちの顔が次々と浮かぶ。




ーーだめ!しっかりしなきゃ!!!



動揺を振り払うかのようにリンゴは首を横に振ると、



「総員!戦闘態勢をとれ!武器を構えよ!」


リンゴの号令に、一瞬にして緊張が走り、各々に武器を構えた時



空気を揺する咆哮が遺跡の中から突き破るように響きわたる。


ゾワリと身体か粟立った。


姿が見えないのに、これから対峙する魔獣とのレベル差を肌で感じた。


それは他の人も同じようで、まだ見ぬ敵に、言葉を失っている。


何かが遺跡内から自分たちの方に高速で向かってくるのを感じ、リンゴは大声を張り上げた。


リンゴ
「散開!!」


皆が一斉に隊列を乱して散っていく。



さっきまで皆が立っていた場所に魔法弾が着弾し、地面が抉られた。


焦げた臭いが漂い、砂煙が舞い視界を遮る。





砂煙の中に、大きな黒い影がぼんやりと、そしてゆっくり恐怖を刻ませるように立っている。



皆が息を呑むのが分かった。




ガブリエル
「バルナバさんたちは……?」

不安げなガブリエルの声がだけが聞こえた。

ゆっくりと砂煙が消えていき魔獣の姿が鮮明に見えてくる。



鋭く大きな角が生えた、金色の眸の紺色の肌をした魔人だった。


その場に佇んでいるだけで発せられる威圧感に、何人かが後退りする。



リンゴ
「魔銃師会!放て!」


戦闘の火蓋は、隊長のリンゴの号令によって切って落とされる。

魔銃師会メンバーが銃を放つ。魔人の身体に命中し、魔人は再び咆吼をあげ角が光だした。

角から光線が放たれ、ギオルギーは素早く避けた。

光線が掠ったところの服が溶けた。皆の顔色が変わる。


リンゴ
「怯まないで!ここは絶対抜かせない!必ずここで撃破する!」


リンゴの言葉に応じるように、接近戦をする者たたが魔人に斬りかかる。

分厚い皮膚は、簡単に斬れず、魔法は効きにくい。

簡単に斬れなくても、斬り続けてダメージを蓄積していくしかない。


魔人の皮膚は大きなダメージを受けた形跡があった。激戦のあとを伺わせていた。


リンゴ
(お母さん……ティアゴ君……バルナバさん……)


魔人を追ってくる人の気配が未だにない、そのことに焦燥感が募る。


思い出されるのは前に交わしたティアゴとバルナバとの会話。


ティアゴ
『もしも俺たちが全滅したらその時は……リンゴが討伐して』



バルナバ
『出来るだけ弱らせておくから』



不安と焦り、様々な感情が交差するがリンゴは下唇を噛んで魔人を見据えた。





ーーーやることは一つだ。



この魔人をここで倒す


ここで撤退すれば街を魔人が襲うかもしれないし、魔人が遺跡に戻れば安否不明の突入隊に更なる被害が出るかもしれない。



ーー行かせないし、退かせない。



魔人が一歩前に足を踏み出したところをリンゴの魔銃がヘヴィショットという強攻撃スキルを連発して魔人に浴びせる。



リンゴ
「砲撃隊!放て!!」


元山岳兵有志による者たちで結成されている大砲部隊の数十台の大砲が一気に発射され、凄まじい火力で魔人に当たる。

大砲には車輪がついており、安全な場所へ移動しつつ攻撃が可能。

遺跡や洞窟は破壊して崩落の原因になるので守備隊でのみ使用可能な部隊である。


空気も地面も揺れ、国中に大砲の音が響き渡る。


ゲロルドが一気に飛びかかり、斧を振り落とす。

魔人の身体を縦に浅く切り裂いた。

分厚い皮膚から血霧が吹き、ゲロルドの顔や服を赤く染める。


アルシアがゲロルドに続いて足を狙って斧を振るう。魔人が拳をあげてアルシアに反撃してくるとゲロルドの斧がそれを受け止めた。

2人の奮戦に続くように皆が続く。

魔人の拳から繰り出される剛力は、少し掠っただけでも体力が削られた。


ルークとギオルギーがヒールを使って皆の体力を回復する。


リンゴ「皆後退!大砲部隊準備!」

接近戦の人たちがさっと後ろに退いたのを確認し

「ーー放て!」

大砲部隊によって再び大砲の砲撃が魔人の身体を向かう。

血がドロリと流れ落ちるが魔人は悠然としていた。


砲撃が止んだところを再びゲロルドが魔人に向かっていく。


魔人の金色の眸に妙な光が宿ったのにリンゴは気づいた。



リンゴ「下がってーーー!」



魔人の咆哮と共に足元に魔法陣が現れた瞬間、風が吹き荒れる音がしてゲロルドの身体が衝撃によって吹っ飛んだ。


ティム「ゲロルドー!」

ティムの叫び声や誰かの悲鳴が響く。

リンゴの脳内は「これはヤバイ」と勘が警告していた。


リンゴ「どちらも放てー!!」


魔銃師会と大砲、両方が集中砲火を魔人に浴びせている間、ティムが地面に叩きつけれたゲロルドの元に駆け寄った。

地面に血が流れ出ている。


ルーク
「森の入り口で待機してもらってる治療隊の元に!」

一瞬で怪我の具合の深刻さに気がつきルークが叫ぶ。


ティム「わかった!」

ぐったりとしたゲロルドをティムがおぶって運んでいく。


山岳隊長ゲロルドの戦闘不能に、皆大きな衝撃を受けていた。



ギオルギー
「………化け物が…」

憎悪に満ちた目で魔人を睨みつけ、歯軋りする。



ガブリエル
「一撃くらったらアウトかよ…」


セシィー
「あんなの、どうやって避けたら…」


アスセナ
「ーー突撃隊はあれで全滅したのかな」

アスセナの言葉に皆の顔が強張った。


ラナ
「あれは乱発できるものじゃないと思います!」


ルーク
「怯むな!!!だいぶ体力は削られている!勝機は十分にある!」

声を張り上げてルークは鼓舞した。



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魔銃師会に最初の怪我人が連れてこられたのは昼が過ぎて少ししたころ……


山岳兵団のミラー家隊長ゲロルド・ミラー。

隊長の中でも若い彼は、皆に従い黙々と真面目に職務を全うし皆に可愛がられていた存在だった。


ティムが彼を背負って魔銃師会に治療隊と共に入ってきた。ティムの服はゲロルドの血で染まっていた。


その様子にヴェルンヘルは息を呑んだ。自主的に魔銃師会に避難してきた国民がゲロルドの怪我に悲鳴を上げる。


守備隊であるゲロルドの戦闘不能


ーーこれが、何を意味するのか。


魔銃師会だけではなく、国中に轟く大砲の轟音。




ヴェルンヘルは目を瞑った。



少しの間、一考し、治療を受けるゲロルドの元に跪くと、その手を握った。



ヴェルンヘル
「死ぬなよ、ゲロルド。今逝くとバーニスさんに叱られるぞ」


握った手が僅かに握り返される。ヴェルンヘルは励ますようにグッと力を入れて握り、


ヴェルンヘル
「……お前が必要だ。絶対に死ぬな」

言い終わるとその手をそっと離した。



ヴェルンヘル
「ゲロルド隊長を頼んだ」


「承知しました」

ワ国周辺出身の治癒魔導師の女性は睫毛を伏せ静かに頷いた。このような状況に慣れているのか怪我人を前にしても落ち着き払っている。


ワ国は優秀な魔導師を輩出する国だった。その周辺諸国もそれに劣らないくらいの魔導師がいる。

旅でこの国を訪れた彼女に、ヴェルンヘルは無理を言って引き止め今回治療を頼んでいた。
*ワ国に魔導師がいる記載はゲーム内にも書かれています。


ヴェルンヘルが魔銃師会から出るのをティムが後を追った。


ティム
「陛下?!外は危険です、どうか中にお戻り下さい!」


ヴェルンヘル
「守備隊にまで被害が出ているーーもう後がない。俺も出る」

ヴェルンヘルは早足で禁断の遺跡の森の方へと向かう。

森の入り口の封鎖を担当する元山岳兵も驚きの表情を浮かべヴェルンヘルを制止した。


「陛下!お戻りください!!戦闘は激化しております!非常に危険な状態です!」


大砲の音に加えて、別の爆発音が混じっている。

使い勝手が難しい爆弾も使いだしている。追い込まれている証拠だった。


ヴェルンヘル
「このまま皆が壊滅するのを座して待つことは出来ない。……セシリアに言付けを頼む」

封鎖を担当する元山岳兵にヴェルンヘルは言った。


「あとを頼む、と」


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あとがき

しばらくプロフィールアイコンを

リリーとバルナバに変更しています。

最近ブログを読みはじめてくださった方へ説明すると、
リリーは初期の髪色は地毛の金色で髪の毛は下ろしていました。
マジカルコスメというアイテムも使ってちょい整えております。



家にある扇風機が全て分解されていて衝撃を受けております。
なぜこんなことに……