218年[訳ありの旅人]悲しい再会……セシリアの成人 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。


任天堂Switch版エルネア王国を元に書いています。


前回は[終わりなき旅の果てに]盤面の上のルークとポーン

→明絃さん担当です。


明絃さん、イムゆめ共に補足回があります。

文字数制限のため、URLが貼れません💦



一部のキャラの台詞、展開など明絃さんの彼女さんの玉蘭さんにご協力いただいております。

ありがとうございますm(_ _)m





旧市街のレイラの家について、レイラはアーサーを中に招き入れる。

 

椅子に座るように促すと、コップを出して酒を注いだ。

 

アーサー

「……え、こんな夜更けにお邪魔してもよろしいんですか?」

 

アーサーは聞いた。

 

レイラ

「ーーいいわよ、私1人だし。それに2人で話したいことがあるって言ってたから」

 


アーサー

「ーー夜分遅くにすみません……では、失礼します」

 

椅子に座りアーサーが出された酒を一口飲むとレイラも椅子に座ってお酒を飲んだ。

 

レイラ

「さっきはお疲れ様」

 

アーサー

「ーーいえ。巻き込んですみませんでした」

 

レイラ

「ううん、そんなことないわよ。最初、あなたがなにを抱えているのか知らずに厳しいことをいってごめんなさい」

 

アーサー

「……いえ。誰も想像出来る事ではありませんから」

 

アーサーは微笑んでみせた。

 

 

レイラ

「ーーそれで話って?」

 

アーサー

「ーーどこから話せばいいのか……

率直に言うとーー自国の王太女が脱国したんです」

 


レイラ

「ーーー王太女が…………なにか、よほどのことがあったの?王太女が国を出るなんて、普通じゃない…」


トアたちもそんな事を言っていた。

 

 

アーサー

「ーーそう非常事態のようです」

 

 

この時唐突にマーリンたちと一緒にきたのは娘ではないのではとレイラは思いはじめる……ずっと部屋から出てこない…

 

アーサー

「ーーだから、父と母は王太女を連れて国を出たんです」

 

 

レイラ

「ーーーよほどの緊急事態のようね」

 

アーサー

「ーー王太女が母親の女王を撃ったんです」


重々しい口調で放たれた言葉にレイラは眉をひそめた。



 レイラ

「………そんなことが…それで捕まりそうになって逃げだしたってこと?」


マーリンたちと置かれている状況はかなり深刻だった。

 

アーサー

「ーー分からないけど……そうだと思う」

 

レイラ

「ーーーなぜ王女が女王を撃ったのかしら……お母さんを撃つなんて、よっぽどの理由があるわよね………」

 

 アーサー

「ーー全ての責任を俺の母アリスや亡き祖父アーサー・シャーフに罪を擦りつけようとしたからです」

 

 

レイラの顔色が変わった

「…どこまでも愚鈍な女なの。」


 レイラは吐き捨てるように言った。



アーサー

「ーーご存知だったんですか、イデア女王の事」

 

レイラ

「ーートア君とも知り合いだったってことはさっきので分かったでしょ?イデアさんのことは見かけていたり、話を聞いたり……するくらいだったけど」

 

レイラは少し考えてから

 

「イデアさんは昔はああじゃなかったのに……」

 

 

アーサー

「……そうだったんですか」

 

そして寂しそうに一言。

 

「……でも。心の中でそんな人じゃないと思いたかったのは事実かな」



 レイラ

「ーーー今の話を聞いて、納得した

ーー道理であの子が部屋から出てこないわけね

 ………可哀想に」

 

 

アーサー

「ーーあの子?」

 

アーサーは思わず聞き返した。

 


レイラ

「………サリアさんってアーサー君のお姉さんでしょ?」

 


アーサー

「ーーサリアは俺の姉貴です。どこか父に似てて……気が強くて……まさに優等生の魔銃師会の人間です」

 

 

レイラ

「……そのサリアさんった髪の毛は何色なの?」

 


アーサー

「俺と同じーーこの翡翠色です」

 


レイラ

「ーーーふーん。それは、おかしいわね」

 

 そう言いながら、レイラは答えを知っているようだった。


「ここにいるサリアさんの髪の毛の色は金色なのよ……」

 

 

アーサー

「ーー父と母は……その子をサリアと呼んで?」

 

アーサーは驚いた顔をし、怯えながら言った。

 


レイラ

「………えぇ、そう聞いている……これは、ここだけの話にしたほうが良さそうね」


余計な事をしてマーリンたちの邪魔になるのはよくないとレイラは判断した。

 

 

アーサー

「ーーはい……よく分かりませんが……」

 

アーサーは思考がついていかない

 

 

レイラ

「マーリンさんたちが必死に守ってるんでしょ?なら、知らないフリをしていた方がいいってこと」

 


アーサー

「ーー俺達よりも……ですか?」

 

アーサーは哀しそうに笑う

 

「ーー祖国にはまだ学舎に通っていない弟と乳児の妹がいます……この子達よりもですか……?

 ーーそれでも……あの女王の娘のほうが大事なのでしょうか……?どうなんでしょう、レイラさん」

 



レイラ

「………きっと、マーリンさんも辛い選択だったと思う。それにその気持ちに優劣なんてないと思う」

 


アーサー

「……」

 

アーサーは黙った。

 


レイラ

「さっき、、マーリンさんいってたけど

『俺の息子に指一本でも触れてみろ!いくらトアだろーが、リリーちゃんだろーが、タダじゃおかない』

って………マーリンさんはアーサー君のことをとても大事に思ってるってすごく伝わってきたわ」


思いつめた表情のアーサーに言うとアーサーはふと自嘲するように笑った。


 

アーサー

「……やっぱ。ずるいや、父さん」

 


 レイラ

「あんなに弱った身体でぶっ倒れてもおかしくないのに、息子を守ろうとして……いいお父さんね、マーリンさんは」

 

 

アーサーは気まずそうにした後、レイラに聞いた。

 

 アーサー

「レイラさんの父さんは?」

 


レイラ

「私の父は、私に興味がなかったの。だから、マーリンさんみたいなお父さんって素敵だなーって素直に思うわ」

 

アーサー

「……ごめん」

 

アーサーははっと口をつぐんだ。

 

「……謝ったほうがもっと非人情な奴だよね」

 

 

レイラ

「私の歳を考えてよー。父親のことを気にする歳でもないし」

レイラは笑った。

 

「私も男だったら挽回のチャンスはあったのになー。…最後まで、失望させるような娘だった……あの人は恨めしそうな目をして死んでいった…」

 

 

無意識にレイラは自分の手を見つめる。

 


アーサー

「本当は期待されたかったんじゃないですかーーいくつになっても」

 

アーサーは問いかけた。

 

 レイラ

「それを、私は諦めちゃったのかな……だから………」

 

ーーーーーあんなことになってしまった。

 

「ーーーあなたは諦めちゃだめよ」

 

 


アーサー

「ーーでも。許さない事よりも許す事のほうが難しいし……

 ーー上手く言えないけど……許してはダメな人って、いるんだと思います」

 

アーサーの脳裏には、イデア女王が浮かんでいた。


 

 アーサー

「……だから……だから、レイラさんは悪くないです」

 

アーサーは必死に言った。

 


レイラ

「ありがとう。アーサー君は本当に優しい子ね……」


さっきの説明とレイラの様子で、レイラが何をしたのか察して悪くないと言ってくれているようだった。


 

 

レイラ

「……国を裏切って父を手にかけたりしたけどこうして未だにしぶとく生きてるわよ

……ある人にその分人を救え。と言われたの。

どう生きていくのか、それがアーサー君の見せ所よ」

 

 

アーサー

「……所謂、やってしまった過ちとは逆の事をして償えと?……俺は……どう生きるべきなんだろう」

 

レイラ

「………カピトリーナちゃんが好きで、救いたいんでしょ?その先どうしたいのか、本当は………分かってるんじゃない?」

 

アーサー

「……!」

 

アーサーは驚くと誤魔化すように笑う。

 

「やだなー。俺の話、まだ覚えてるんですかー?……早く寝ましょうよ」

 

レイラ

「隣のマーリン君のお家にちゃんと帰れる?……酒場の宿だけは絶対駄目よ」


酒場の宿屋に泊まればあっという間にトアに連れて帰られてしまうことは明白だった。

 

アーサー

「……どうしようかな……父さんがいる家には帰りたくない。パトリックもいるだろうけど無理……」

 

 

レイラ

「喧嘩しちゃって顔合わせにくいかー。じゃあ、うちに寝泊まりする?ベッドたくさん余ってるし。ここにいるならトア君たちも手が出しにくいでしょう」

 

他国にきて他に頼るあてもないだろうアーサーに提案した。


 アーサー

「……えっ?いいんですか?」

 

アーサーは少し躊躇ったが、レイラに頼るしかないと思った。

 

 

レイラ

「その方が安全でしょ?………心配しなくても、アーサー君を食べたりしないから安心してねー」

レイラは笑った。

 


アーサー

「……えっ…?えぇっ⁉︎……レイラさん、冗談きつ過ぎます!」

 


レイラ

「アーサー君みたいなイケメンだと危ないわよー?さあ、寝ましょうか」

レイラは笑いながら階段を上がる。

 

アーサー

「……揶揄わないでくださいよ」

 

アーサーは心臓に悪いと思いながら、それに続く。

 

 

 

 

 

二階に上がり窓を開けると冷たい風が部屋の中に流れ込む。レイラは目を閉じて片手に意識を集中させた。

 
かざした手から水が現れ、窓の外に飛び出すともう片方の手から風が吹き、水は風に乗ってあっいう間に空の彼方へ消えていった。
 

 
 
 
 
魔銃師アーサーは、戦艦の船長室で本を読んでいた。
 
 
魔法の気配を感じた瞬間、魔銃師アーサーの頭上から水がバケツをひっくり返したように流れ、アーサーは頭の上から全身びしょびしょになった。
 
 
『ババアで悪かったわね』
 
 
空間に文字が浮かび上がり、それはゆっくり消えていった。
 
 
 キリル
「ーーなっ……⁉︎この戦艦内で魔法だと⁉︎」
 
キリルが辺りを見回した。
 

魔銃師アーサー
「ーーキリル大佐……大丈夫。昔の古傷が傷んだだけですから」
 
魔銃師アーサーはそう言いながらも、少し怯えていた。
 
 
魔銃師アーサー
「ーーあのアーサー!レイラに何言いやがった⁉︎」
 
怒りの矛先は孫のアーサーになぜか向かった。
 
 




 
 
魔法の波動から、多分届いただろうと感じたレイラは窓を閉めようと振り返るとアーサーは魔法の凄さに立ち尽くしていた。
 
「この時間だと寒いわね…」
といいつつ、レイラは窓を閉めた。
「どうしたの?…魔法、怖かった?」
 

アーサー
「……いえ」
 
アーサーの目はキラキラとしている。
 

レイラ
「貴方が行く学校では魔法も学べるでしょう」
 
アーサーの目がさらにキラキラ輝いた。
 

 レイラ
「………長生きしてる分、そこら辺の魔法使いより強いと思うわよ」

目を輝かせているアーサーが可愛くてレイラは適当な事を言ってみた。
 
 
アーサー
「ーーアーサー爺さんよりも?」
 

レイラ
「どうかしら?でも、幻影に負ける気はないけど……本人とは…いないと比べられないものね」
 
 
 
アーサーは哀しそうな顔をした。
 「レイラさんは……アーサー爺さんの事。好きだったんだね」
 
 
レイラ
「………昔の話だけどね」

レイラは窓の外の星空に視線を向けた。
 
 
アーサー
「ーー昔なの?……それ」
 
アーサーは焦ったそうにした。
 
 



レイラ
「ーーーアーサー・シャーフは、もう死んだの……」


星空に視線を向けたまま、レイラは無表情で答えた。




 
 


アーサー
「……」
 
アーサーは哀しそうな顔を浮かべた。
 




 ーーその時。懐かしいアーサーの声がした。
 
 



「『ババアで悪かったわね』って?ーーでも。俺は……お預けを食らった上、今。水をぶっかけられたんだけどなー」
 
 
魔銃師アーサーはいつかの言葉を揶揄したメッセージを風に乗せた。
 
 
アーサーは本当にどこから声が聞こえるのだろうと辺りを見回した。
 
 
レイラは目を見開いて驚くと、
「ーーお預けって……いつの話よ、同じ話を蒸し返して…」
 
目の前のアーサーの存在を忘れて思わず苦々しく呟いた。
 
 


 魔銃師アーサー
「ーーだって。ずっと待ってるのにガノスに来てくれないんだもん」
 
アーサーは笑っている。
 
 
 
レイラ
「………あなたが逝くのが早過ぎるのよ…」
 
レイラは何か言いかけたがその言葉を飲み込むと
 
「っていうか、幻影なんだからそんなこと思ってないでしょう」
 と、ぶっきらぼうに言った。
 
魔銃師アーサー
「ーー幻影だからなんて酷いなあ。俺は全てを記憶した幻影なんだからさ」
 
 
レイラ
「……確かにただの幻影とは思えない嫌味を言うものねぇ…」
 
 
魔銃師アーサー
「ーーそれで信じただろ?アーサーを頼むよ。寂しくなったらまた呼んでよ」
 
魔銃師アーサーの声は消えていった。
 
 
魔銃師アーサーの気配が消えたあと



 
レイラ
「………寂しいのなんか、慣れたわよ……」
 
誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。
 
 
 



魔銃師アーサー
「……言わせてごめんね」
 
 
今度こそ消えていく。




レイラ
「………」


 
 
アーサーは多くは聞かずに寝るフリでも決め込もうかと思った。
 
 
レイラ
「……ごめんね、アーサー君……気を遣わせて。おやすみ」
 
 
レイラは靴を脱ぐと窓際のベッドの布団に入った。
 
 
 アーサー
「……ねえ、レイラさん………さっき酒場で……アーサー爺さんから、レイラさんがどんなババアになってるか見てきて。って言われた事はそのまま伝えたけど……その前に。レイラさんの波動を感じるから生きてるか見てきてと言われたんだ」
 
 
アーサーは笑顔で言った。
 
「ーーそれで。俺が昔好きだった人なんでしょ。と冷やかしたから出た言葉なんだ」
 
 
レイラ
「……幻影のくせに…」

感情を抑えているような声だった。
 
「そろそろ寝ましょう。おやすみ」
 

 
 
アーサー
「ーー俺だったら……そんな風に言われたら……耐えられないかな……素直になったほうが互いのために良いんじゃないかな……これは寝言だけど」
 
アーサーはそう言って眠りについた。
 
 

レイラ
「………私は……アーサーに………例え幻影であっても合わせる顔がない……」
 
布団の中で呟く声は誰にも聞かれることがなく消えていく。
 
 








セシリアが家に帰るとリンゴがベットで眠ってた。セシリアが近づくと、リンゴがうっすら目を開けて、セシリアに話しかけた。

リンゴ
「………セシリア……マーリンさんの…具合のほうは…?」


セシリア
「…大丈夫だよ!」


リンゴ
「そっかぁ……よかった……」

安堵してふぅと小さく息を吐いた。


セシリア
「ママ……痛い??だいじょーぶ?」


リンゴ
「……大丈夫、痛くないよ」

リンゴはセシリアに心配させないよう笑顔を見せた。


セシリア
「………ママ、ごめんね…セシリアのせいで痛い思いさせちゃって…あと、バカって言ってごめんなさい…」



リンゴ
「もういいよ、気にしてないから」

リンゴはニコっと笑うとセシリアの頭を撫でた。



ヴェルンヘル
「顔色少しよくなったね」

帰宅したヴェルンヘルがリンゴの頰に触れて安堵の声を出した。

ヴェルンヘル
「セシリア、話が…」

セシリア
「も、もう眠くなっちゃったー!おやすみなさーい!」

ヴェルンヘルから逃れるようにセシリアは慌ててベットに寝転んだ。





218年。
 
一時期、断絶が危ぶまれていた山岳の家1
ボイド家に待望の跡取りが産まれる日。

イマノル・ボイドの子供である。



新年祝賀のあと、セシリアはティアゴに挨拶をする。
 
挨拶が終わるとティアゴはリンゴがいる王家の居室に入っていった。

セシリアはそっとついていって、見舞っている様子を覗き見する。


断続的に聞こえてくるのはパチャグラタンという単語…



しばらくしてもまだパチャグラタン という単語が聞こえてくる。


セシリア
(……ママと導師様の会話って、こんなにくだらないんだぁ)

セシリアは興味がなくなって外に出た。



ティアゴ
「………もう行ったみたい」



リンゴ
「…ん?誰が?」


ティアゴ
「セシリア様が俺たちの会話を盗み聞きしてたんだよ」

ティアゴが笑った。



バルナバから差し入れです。



セシリア
「食べるー!美味しそう♪」





ティアゴ
「そういえば今日成人式ですね」


セシリア
「なんか緊張してきた…」

時間が近づくれにつれてセシリアは緊張してきてしまった。




緊張していると

ヴェルンヘル
「おめでとう
いよいよ大人の仲間入りだね。一緒に仕事や探索するの楽しみにしてるよ」

セシリア
「パパ…」
優しい言葉にじーんとしてると。

ヴェルンヘル
「ところであの例の本のことだけど」

ヴェルンヘルの手が伸びてきたのをセシリアは一歩後ろに下がって逃れると、

セシリア
「まだ挨拶が終わってなかった!パパまたねー」

颯爽とその場を立ち去った。



セシリア
「おはよーございます、レドリー君」


レドリー
「おはよう。あと少しで、成人式だね」
柔らかな笑みを浮かべた。



セシリア
「うん……なんか緊張しちゃって……」


レドリー
「セシリア様と釣りやお仕事を一緒に出来るのを楽しみにしてるよ」


セシリア
「…!う、うん!」

ーーそれは楽しそう…!

セシリアは目をぱっと輝かせた。



いよいよ成人式の時間。



怪我をしているため、リンゴは出席できなかったがセシリアにはそんなことは気にならなかった。

 
入学式同様、親がきていない子がいた

 
 
 


セシリアは、成人した。






セシリアは親がきていない子が気になりチェックした。



やはり神官さんの娘だった。



お母さんは……お風呂にいた。

ーーお風呂にいるなら成人式くらいきてくれてもいいのに…
(何回かリセットしてやり直したのですがお母さんはよほどお風呂に入りたかったらしく、成人式には参加せずお風呂にいました…)
 

 

最近気まずい父にセシリアは話しかけた。


ヴェルンヘルはセシリアに普通に接してくれた。


ウェンディ
「成人おめでとう」


セシリア
「ありがとう、お父さん」

 
なぜか南国の花束を持っていた。

セシリア(ーー誰へのプレゼントなんだろう)



ロング
「あのさ……二人でどっか行かない?」

セシリアは目を見張ってロングを見つめた。


セシリア
「んー……今日は遠慮しておくよ…」

ロングの去っていく姿をセシリアは心苦しく見送る。

(んーやっぱり無理だよ……好きじゃない人となんて…)



イラリオ
「どうしたの?」

そこにイラリオがやってきた。

セシリア
「あ…こんにちは……」

イラリオ
「成人おめでとう。どっかで魚釣ろうと思ってるんだけど」


イラリオに誘われて、釣りに行くと、誰かが後を追いかけてきた。見知った顔だった。


ルイス
「あのさ……二人でどっか行かない?」

 
セシリア(?!?!)


イラリオ
「ルイス、お前……」

イラリオが少し呆れたような声を出した。


セシリア
「今日は遠慮しておくよ…また今度誘ってね…」


ルイスが去っていくと、セシリアはため息をついた。


イラリオ
「………モテモテだね」


セシリア
(システムなんです…)
「…そんなことありません」

モテても、好きな人に振り向いてもらえなきゃ意味がないのです。


セシリアはバルナバに冬のピッツァの依頼を受けてこなした。



セシリア
「やった、バルナバさんのピッツァ
食べる楽しみ♪」

成人したばかりの王太女に、コンスタンスが試合を申し込んできた。



先制されて

 
 セシリアは敗れた…笑






試合の帰り道、歩いていると前方で誰かが立っていた。


夕陽が傾いて辺りがオレンジ色に染まっている街の中でその人はジッとセシリアを見ていた。


セシリアの心臓がドクンと嫌な音を立てた。



紫色の国民服……
アッシュ髪のその人はセシリアに近づいてきた。



マルティナ
「成人おめでとう」

マルティナはにっこりと笑った。それがセシリアには恐ろしく感じた。


セシリア
「あ、ありがとうございます……」


マルティナ
「………」


セシリア
「………」

セシリアは沈黙が恐ろしくてゴクリと唾を飲みんこんだ。



マルティナ
「ーーレドリーのこと、好きなんでしょ?」


セシリア
「…!………」

セシリアは思わずマルティナを見たあとすぐに視線を泳がせた。


それをマルティナは肯定したととらえた。


マルティナ
「ーー最近まで子供だった子になんて負けないから」



セシリア
「ーーーえ…?」

真っ直ぐ向けられる、マルティナからの敵意を込められた目にセシリアは固まった。


マルティナ
「レドリーと付き合ってるのは私だし、ヤッたのは私なの。」



セシリア
「ーーーや、ヤッ、ヤッ……?!」

生々しい言葉にセシリアは耳まで真っ赤になった。

「満足させられるのも私……お子様の入る余地なんてないのよ。あなたなんか、何を知ってると言うの?あなたなんかただの王太女でしょう」

コツコツと足音を響かせてマルティナはセシリアの真横まできて耳元でささやいた。

「それとも権力でも振りかざすつもり…?」


ひどく冷たい声でいうと、マルティナは去っていった。


セシリアは振り返ることもできず暫く呆然としていた。




気づいたら辺りが暗くなっていた。セシリアは真っ直ぐ帰る気持ちにもなれず、トボトボとあてもなく歩いていた。


カルネ皇帝の橋まできた。


橋の手すりにもたれて、時折街灯の光で揺れて見える暗い水面を見つめる。


「………」


セシリアは暫く無言だった。




泣きそうになって、セシリアは涙を手で拭おうとしたとき手すりから手を離しバランスを崩した。




セシリア
「ーーー!」

そのまま前のめりになって、橋から落ちそうになったところを誰かがセシリアの腰を掴んで引き寄せてくれた。


セシリアを抱えてその人とセシリアは地面に倒れ込んだ。


「だ、大丈夫……?! 何してるの?」


アッシュ髪の青年が焦った声を出した。身体を起こしてその人を見ると、助けてくれたのはレドリーだった。


セシリア
「れ、レドリー…君」

セシリアの心臓がドクンと高鳴った。


「助けてくれてありがとう…」


レドリー
「橋の手すりの上で遊んじゃダメだよ」


セシリア
「ーーーうん…」

遊んでいたわけではないが、今のセシリアにそれを説明す余裕はなかった。


レドリー
「橋から落ちたら大変だよ。気をつけてね………ってどうしたの?」

俯くセシリアにレドリーは怪訝そうに声をかける。



セシリア
「ーーーあ、あの………」


レドリー
「ん?」



セシリア
「そ、そろそろ……離れたほうが……」


レドリー
「……あ」


さっきセシリアの腰に手を回して引き寄せたまま座り込んでいたのでレドリーはそのままセシリアに密着していた。お互いの髪の毛が触れ合い、レドリーの匂いがしてセシリアの心臓はバクバクとうるさくなっていた。


免疫のないセシリアはかわいそうなほど顔を赤くしていた。


レドリー
「ご、ごめん」

レドリーは顔を赤くしてパッと手を離しセシリアから離れた。セシリアは真っ赤な顔をして、潤んだ目でレドリーを複雑そうに見ている。



レドリーは立ち上がってセシリアに手を差し伸べた。セシリアは無言でその手をとって立ち上がった。


セシリア
「あ、ありがとう…お、おやすみなさい!」


セシリアは真っ赤な顔のまま、走り出した。


誰かに相談したい、誰かに……



何も考えずセシリアは旧市街地に入ってしまった。



そこに、知っている人が歩いていた。



ーー書かれていないその後について。
リリー・プリエトさんのエナのほほえみに当てられたレドリーはその後、導師に聞きたいことがあるって連れて帰られたんだけどリリーさんに妙なことをしてないかってしつこく聞かれたらしい。