任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
8日 収穫祭。
エナの子に選ばれたので、お役目を果たします。
殿下にお母さん、バルナバ兵団長に、導師のティアゴ君。みんなと同じところで役目が果たせるなんて幸せだな。
リンゴ
「フェルタ様は王国の民の慎ましき日々の行いに感じ入られ、今後も豊穣の実りをお約束くださいました」
祈りが終わると、、
バルナバ「リンゴちゃんその服似合ってるね」
バルナバさんが褒めてくれた。
ティアゴ「馬子にも衣装ですね」
ティアゴはそう言ってスタスタと行ってしまった。
グイレグ「全く導師は..」
神官のグレイグは呆れたように呟いた。
バーニスちゃんを見かけたので食事に誘う。
リンゴはマトラ釣りをして、キングマトラを三匹釣った。
そのあと...
リンゴは気づいた。
殿下が色んな女の子とひっきりなりしに出かけているのを。
リンゴ(なんかモヤモヤする..)
リンゴも殿下を誘ってみるが、殿下はすぐに女の子に誘われて何処かへいってしまった。
リンゴ「..........」
(ううん、これでいい...レッドとの一件が片付くまで一人の方が...)
混乱してる所にゲロルド。
上の空で話をして、夜。リンゴは水源の遊歩道にきた。
この時間は誰もいなかった。
キングマトラは納品すらしなかった。
というか途中で忘れてしまった。
リンゴはしゃがみこみ、膝を抱えた。
モヤモヤしている頭を整えようとする。
リンゴ(殿下のことは本当は好きだし、付き合えたらいいなと思ってる..だけど....)
「こんな所でなにしてんの?」
上からティアゴに声をかれられた。夜なのでリンゴを送ろうときてくれたんだろう。
リンゴ「別になにも...」
ティアゴ
「ーー?本当にどうしたの?何かあった?」
何かを察してティアゴはリンゴの横にしゃがんだ。
リンゴ
「なんでもない。少し瞑想してるの」
何か反応しなければとリンゴから苦しい言い訳が飛び出した。
ティアゴ「ーーそうは見えないかな..」
ティアゴは困ったように頭をかいた。
「さすがにこの時間だと冷えるよ。帰ろう」
リンゴ「私はもうしばらくここにいる」
リンゴの様子にティアゴは少し考えて、
ティアゴ
「殿下のことでしょ?今日、やけに殿下は色んな女の子と出歩いていたから、、」
リンゴ「.....」
リンゴは黙り込んだ。
ティアゴ「(図星か)ーーー子供の頃からみててリンゴの性格はよく知ってよ。リンゴは無駄なことはしないし、行動のほとんどに意味がある。殿下と付き合わないことにも、理由があるって」
リンゴ「.......」
リンゴは顔を上げた。ティアゴが心配そうにリンゴを見ている。
ティアゴ「・・・・」
リンゴ「・・・」
ティアゴはずっと味方になってくれた。
子供の頃レッドに銃を突きつけられた時も、助けてくれたのはティアゴで震えているリンゴを抱きしめて落ち着かせてくれたのもティアゴだった。
急に、リンゴは一人で抱えていることが辛くなった。
リンゴ「ティアゴ君...実は...」
リンゴは、レッドにリンゴが殿下を好きならば殺すと言われて、付き合うことを躊躇していると説明した。
レッドと近々戦うことになることは伏せた。
ティアゴ
「......そういうこと..」
リンゴ「.........」
ティアゴ
「それでもし、殿下が別の子と付き合いだしたら?リンゴはそれでいいの?」
リンゴ「...殿下がそれで幸せなら..」
ティアゴ
「殿下は毎朝、リンゴに会いにきてるでしょ?他の子と付き合うのは殿下の本心じゃないよ。リンゴは知ってる?エティ陛下からそろそろちゃんと将来を考えてお付き合いする女の子を作りなさいって殿下にプレッシャーかけられているんだよ」
リンゴ「.......」
ティアゴ
「殿下のこと、好きなの?嫌いなの?」
リンゴ「........好きだから、困ってる」
殿下のことを、なんとも思わないなら、どれだけ気楽なんだろう。
実際ヴェルンヘルが他の女の子と一緒にいるとリンゴは落ち着かない気持ちになった、付き合いはじめていないか気が気ではなかった。
ティアゴ
「...次、殿下が誘ってきたら、応じること」
リンゴ「でも..」
ティアゴ
「俺はこれでも魔銃導師だよ?この国には騎士隊も山岳兵団も、魔銃師会もある。これだけ大人がいるんだ、殿下は守ってみせるよ。リンゴの名前は出さないように、うまく説明するから」
リンゴ「..............うん」
ティアゴ「じゃ、今日のところは帰ろうか」
ティアゴは沈んでいるリンゴの手を引いて歩きだす。ふと人影に気づいたが、気づかないフリをした。
リンゴは男性の中では華奢な方のティアゴの手の大きさに驚いた。
(ちゃんと……男の人の手なんだ……安心する………ありがとうティアゴ君……)
手を繋いでいる状況が今はとても安心して、リンゴはエルネア城までそのままティアゴに送ってもらった。
ティアゴ
「おやすみ。なにも心配せずゆっくり寝ろよ」
リンゴ
「……うん」
リンゴは不安そうにティアゴを見上げた。その表情はいつもの明るいリンゴとは全然違い、ティアゴは彼女が心配になった。
ティアゴ
「大丈夫だ。俺たちがついてる。どんな時もリンゴの味方だよ」
ティアゴの大きくてすらりとした手がリンゴの頭を優しく撫でた。
思わず涙が出そうになるほど安堵感と……別の感情が沸くのをリンゴはスカートをきゅっと握って振り払った。
リンゴ
(……………)
「ありがとう……」
ティアゴ
「また明日会いにくるよ。おやすみ」
ティアゴが帰っていく背中がエルネア城から見えなくなるまでリンゴは見送った。玉座の間で、リンゴはため息をつきながらうずくまる。
リンゴ
「……………これでよかったのかな」
その声は広い玉座の間で溶けて消えていく。
⭐︎
リンゴをエルネア城に送り届けた帰り道、城下通りに、ティアゴが探している人物はいた。
ティアゴ
「盗み聞きですか、Xさん」
X
「ーーそんなつもりはなかったんだけど、出ていけるような雰囲気じゃなかったから。」
ティアゴ
「聞いた通りです。騎士隊と山岳兵団と話をしなければなりません」
X「嫌な予感がする...」
Xにしてはいつになく真剣な表情をしていた。
ティアゴ
「そうですね..今はとにかく警戒するしかありません」
9日。ティアゴは、朝イチでリンゴに会いに行き彼女がとりあえず普通にしていることを確認する。
そのあと山岳兵団の隊長五人、騎士隊のリリー隊長、サクラ、ジェレマイア、エドモンド、フルール、魔銃師会からはX、カリナ、アルディスを魔銃導師の居室に呼んだ。
急な招集に、皆は怪訝そうにしていた。
ティアゴ
「皆さまお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。急ぎお伝えしたいことがあります。魔銃師会Xさんから説明していただきます」
Xは集まった人たちを見回した。
X「ある情報筋から、殿下のお命を狙っている者がいるということが分かりました。」
エドモンド
「ヴェルンヘル殿下が狙われている..?」
バーニス「なんのために..?」
X「平和なこの国で人の命を狙うなんて考えられないのかもしれないけど、よその国では、王族の命が危険にさらされるのはよくあることです。そこで、山岳兵団、騎士隊、魔銃師会が交代で殿下の護衛をすることを提案します」
リリー
「殿下をお守りすることは当然のこと。むしろ交代でいいのかしら?陛下と殿下をお守りするのは騎士隊の役目..」
バルナバ
「騎士隊だけでは大変だよ。トーナメントもあるし、北の森の魔獣討伐が疎かになってしまう。山岳兵団はその提案に賛成します」
ティアゴ
「敵はこの国を混乱させたいのかもしれません。出来る限り、我々が護衛をしていることを国民に気づかれないように振る舞ったほうがいいかと」
ジェレマイア
「急に殿下の護衛をしだしたら、みんな不安になりますよね..」
サクラ
「普段着に着替えたり、殿下から少し離れた場所に待機しますか?」
バーニー
「それがいいかもしれません」
カリナ
「山岳兵団が着替えると余計に目立つかも..」
魔銃師のカリナの発言に山岳兵団以外がウンウンと頷いた。
リリー「確かに」
ジェレマイア「違和感だらけ」
バルナバ
「それを言ったら、リリー隊長の私服姿は目立ちすぎて余計に違和感だらけですよ」
*リリーは滅多に鎧を脱がない
皆が笑った。
殿下の護衛は、交代で行われること、離れて護衛し殿下には負担をかけないこと。
その後、リリーとXが陛下に報告し、殿下にはこのことを伝えないことになった。
解散したあと、Xはバルナバとリリーを呼び止めた。再び導師の居室に入る。ティアゴ、X、リリー、バルナバの4名だけだった。
ティアゴ
「気づいているかもしれませんが、殿下を狙ってるのはレッドです」
バルナバ「例の奴か..Xさんを撃った奴..」
リリー「また動きだしたの..?」
ティアゴ「.....そうだとしたら捕らえましょう。」
X「私は、レッドの狙いは別にあると考えてる。可能性の一つとして、リリーね」
リリー「私?」
X「奴は少なくとも、リリーを気に入ってる。だから、薬草を偽名を使ってでもこちらに渡しにきたんだし」
バルナバ
「ん?薬草?リリーちゃんに投与された薬ってレッドが用意したの?」
X「あー、まあ、そういうこと」
バルナバは知らされていなかった。
X「あの男はもしかしら、死に場所を求めてやってきてるのかもしれない。何を仕掛けてくるか分からない...」
Xは思いつめた表情だった。
☆
10日
憂鬱な一日が始まる。
リンゴが騎士隊居室から出るとヴェルンヘルがいた。その後ろの方にティアゴがいた。
殿下の警備にすでに入ってるのかもしれない。
ヴェルンヘル
「あのさ、二人でどこか行かない?」
リンゴ「!!」
よりによって、ティアゴの目の前で。ティアゴが腕組みをして睨むようにリンゴを見ている。
ジロリと見てくる....
リンゴはティアゴの眼力に負けた。
リンゴ「.......うん、、いいよ...」
幸運の塔
ヴェルンヘルはかっこいいし、優しい。
きっと大丈夫。
大丈夫。
みんながいるから
大丈夫..
本当に、これでいいんだろうか。