209年 エルネア杯決勝戦。リンゴ失恋王になる。 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。


任天堂スイッチ版エルネア王国をもとに書いています。

人物紹介。
三代目PC。現在国民。幼少時は毒舌。
現在は国民で、母の身体を治す薬を探すことに尽力している。


17日


リンゴはドルム山道で、あの男と再会する。

「また襲撃するんですか?」

リンゴの手には、水色の二丁拳銃が握られている。


「あの時の子供か」

冷たい瞳を持つその男は、この再会をまるで喜んでいるようだった。


「まるで、俺を探していたみたいですね」

この男の言うとおり、リンゴは、この男を探していた。

「黙って渡してくれませんか?
あなたの持つ、エリス薬草を」

「何の話でしょう」

「瘴気を扱う貴方が、その中和薬を所持していないとは到底思えないんですよ。あなたの国では、軍部が買い占めてるとか。あなたが持っていないはずがない」

リンゴは、王家の居室で、レッドの記述を見たときから、レッドが中和薬を持っているに違いないと確信していた。

だから、

リンゴは今日まで恋人も作らず、ただただ情報を収集する日々を送っていた。


この日のために


「渡さないなら、殺して死体から奪うだけです」


リンゴは銃を構えた。


レッドは笑った。

「エルネアの民が人ごろしなどできるのでしょうか?」


「出来ないかどうか、試してみましょうか?」

リンゴは無表情だった。



次にレッドに会った時、リンゴは殺そうと思っていた。
みんなを苦しめるこの男を。


リンゴの本気をレッドも感じ取った。

「俺がここで死ねば、必ず本国から軍が派遣されるだけ。それでもいいんですか?」

「!」

「お互いいいことは何もないですよ。そこで提案があります。俺と取引しませんか?」

「取引?」

「明日一日、俺の恋人のフリをして、この国を案内して下さい。エルネア城の前で騒動があったらしいですね。詳細を聞かせて下さい。それでおまえの望むエリス薬草、くれてやる。」

「あなたが約束を守るとは思えないけど」

「ではどうしますか?ここで俺を殺して手にいれますか?この国が戦争になりますよ」

レッドとリンゴはしばらくにらみ合った。


「わかりました。その取引、受けましょう。明日逃げ出したら、私はこの国を出てあなたを地の果てまで追い回して次は殺します」

「それも楽しそうですが...まあ、契約成立ですね。明日はよろしく頼みます」


こうして、奇妙すぎる恋人関係が成立し、
リンゴのプロフにはレッドの偽名である
アンテルム・エンギクスの名前が記載されたのである。







エルネア城の前に団長の奥さんであるルクレーシャがいた。

ルクレーシャ
「さっきティアゴ君があなたを探していたよ」

リンゴ「え、ティアゴ君が?」

しまった、居場所はダンジョンのまんまになっている。

リンゴは歩きながら慌てて設定を解除した。
(アゴ君が気づいてくれればいいけど..いつも送ってくれてたもんな..)

ティアゴがレッドから遠ざける努力をしてくれていたのに、接触してしまった。
罪悪感でティアゴに合わす顔がなかった。

でも


Xさんやティアゴ君が、リリーたちのために悪役になったりして身を削っているのに何もにはしないわけにはいかなかった。


(アゴ君..ごめん.....)


日にちが変わり、山岳兵団団長の家。


リンゴは、目撃してしまった。


(息子のご飯がない!!)たぶんバグ


今日のご飯すらない!!


バルナバさーん!!
。゚(T^T)゚。


そして差し入れでジェラールからパサパサパンをもらう。

おまえはなぜこれを持っている?





ジェラールに大きな謎を抱きながらレッドに合流する。

リンゴ「どこに行きたいんですか?」

レッド「そうですね...どこかおススメある?」

リンゴ「そんなに行く場所ないんですけどね。ご飯食べるなら酒場、神殿の花、ニヴの丘、幸運の塔」
リンゴはぶすっとした顔で答える。

レッド「ご飯でもいきますか」


見たくもない顔を眺めながら、食事を口にする。


この人はなんでこんなことをしているんだろうとふと思った。

ずっと本国に帰らないでフラフラと。

フラフラしてるのかどうかは知らないけど,

食事が終わるとニヴの丘や水源の滝を案内する。常にティアゴやXの居場所を確認して、鉢合わせしないように気を遣いながら。


今日は、エルネア杯決勝戦。

謹慎処分をくらっている父・ジェレマイア・フォードと、それを監視している山岳兵団団長バルナバ・マルチネスとの試合。

色んな意味で注目されている一戦だった。



レッドは目立たない端っこで試合を観戦するという。

母もなんとか試合をみにきた。






エルネア杯  決勝戦



山岳兵団団長バルナバ・マルチネス





ローゼル近衛騎士隊騎士ジェレマイア・フォード




この二人が戦うのは、これが最初で最後になる。




先制はジェレマイアだった。


バルナバはなんとか耐えきり、反撃。




勝者バルナバ・マルチネス


一段と大きい声で、勝者の名前が告げられる。

リンゴは二人に惜しみない拍手を送った。







陛下から労いの言葉。





敗者であるジェレマイアにも労いのお言葉がかけられる。





リリーは二人の勇姿を最後まで見つめていた。

見届けてから転移魔法で姿をけした。リリーに駆けよろうとしていた友人たちは間に合わなかった。


リンゴはバルナバにおめでとうと声をかける。


そして父ジェレマイアにも。

リンゴ「残念だったね」

ジェレマイア「うん..でも、全力を尽くしたよ」

ジェレマイアは悔しそうだったけど、いい笑顔だった。





闘技場の前で試合を観戦した帰りのティアゴと目があった。

気まずくてリンゴは目を逸らして、レッドと待ち合わせの場所に向かった。


レッド「なかなかいい試合だったね」

リンゴ「そうですね。見応えがありました」
実力差があればストレート勝ちが多いなか、耐えきって反撃ができるだけ両者の力が拮抗していて観ている者としては面白い。


レッド「じゃあ、約束のもの」

レッドは小箱を取り出して、リンゴに渡した。

中をみると薬草が何枚か入っていた。

レッド「Xに見せれば、それがエリス薬草だってすぐ分かると思う。」

リンゴ「本当に?」

レッド「そういう契約だし」

リンゴ「そうですけど..」

レッド
「ああ、約束守るなんてらしくないって思ってますよね」

リンゴ「そうですね」

レッド
「たまには、本国の意向から逆らいたくなるのさ。..じゃ、契約はこれで終了かな」

リンゴ「..はい、これで契約は終了ですね」

レッド
「次は会うときはきっと殺しあうときですね」

リンゴ「次は殺します」


恋人関係は解消された。


そのとたん、リンゴは失恋王の実績を達成した。


この国で、長年該当なしだった失恋王のところにリンゴの名前が記載される。




リンゴ
「あの人、これが目的だったんじゃないの」
(この表示みて笑ってそう..)

リンゴはハッとして、レッドの後を追った。



偶然その光景を見ていたティムがリンゴを奇妙な奴をみるような目で見ていた。
(契約?終了?次は殺す?これ日常会話か?やっぱりアイツ変なやつだ...)




レッドはエルネア波止場にいた。

レッド「まだなにか?」

リンゴ「....私がまだ子供の頃、言ったこと覚えてますか?」

レッド
「.....殿下のこと好きなんだよね?君がこのまま殿下を好きなら殺しちゃおうかな?ーーって言ったことかな」


リンゴ「....それは本気なんですか?」

レッド「さあ、どうだろう?」

リンゴ「...困ります」


リンゴがレッドを睨むとレッドは楽しそうに笑う。


レッド
「...そのうち殺すって言ったらどうする?」


リンゴ「...ここであなたを殺す」

レッド
「俺を殺すと戦争になるかもしれませんよ?」

リンゴ「あなたはアンテルム・エンギクスとして密かに埋葬されるだけ。本国にはその死の知らせは届かない..」

レッド「...俺は本国からこの周辺諸国を探るように命じられている。攻めれる国を選別する役目だ。俺の報告一つでこの国は本当に戦争になる」

リンゴ「.......」


レッド「しかし、俺がこの国の国力、戦闘力の高さで攻めるべきではないと報告すれば、本国の今の王の時代は、安泰だろう」

リンゴ「どうしろっていうの?」

レッド「あなたは龍騎士の娘..きっと、次の時代を担うのはあなたのような人なんでしょう。来年の今頃、また顔をだします。そうですね、夜に魔法の花火を打ち上げる。そこで、互いの命をかけて戦い、俺を殺したら、あなたの勝ち。この国は見逃してあげます」

リンゴ「命を、かけて..」

レッド「あなたはまだ強くなれます。強くなった時、またきますね」

リンゴの目が揺らいだ。拒否権など、きっとないのだろう。

レッドとリンゴはしばらく見つめあい、レッドは船に乗ってこの国から去って行った。


リンゴはしばらくその場所から動けず、夕焼けに染まる海をただ見つめていた。





時刻は夜になった。Xに薬草を渡したいがXがまだダンジョンの中から戻らない。

リンゴは憂鬱な気分をどうにかしようと酒場に向かう。

酒場にはエルネア杯優勝を祝う山岳兵団の姿があった。

リンゴは踵を返して酒場を出た。

あのお祝いムードの中に入る気分じゃない。


ティアゴ
「なーにしてんだよ」

ムスっとしたティアゴが両手をズボンのポケットに突っ込んで酒場の前にいた。


リンゴ(あああぁ..捕まった。会わないようにしてあたのに)

ティアゴ
「なんか今日、避けてたでしょ?」

リンゴ「そんなことないよ」

ティアゴ「ふーん」

そこに、酒場にやってきたバーニーとバーニスがやってきた。

ティアゴとバーニスは少し気まずそう。

ティアゴ「俺、別に酒場行かないんで、どうぞお気になさらず」

バーニス「えっ..導師、だめですよ。今日はリンゴちゃんと一緒に飲んであげて下さい!」

バーニー「そうだよ、ティアゴ君。こんな日くらい付き合ってあげないと」

リンゴ(この二人もう知ってる..)

ティアゴ「え?ジェレマイアさんが負けたから..?」

バーニス「そうじゃなくて!もうなんでもいいから二人とも中に入って!」

バーニスは、リンゴとティアゴの背中を押して二人を酒場に入らせた。

ティアゴの姿に一瞬静まった店内だったが、バーニスがいれたのに気づき、また山岳兵は楽しげに話はじめた。

テーブルにつくと、なぜかバーニーの奢りで食事とお酒が出てきて、バーニーはリンゴに「元気だしてね」と言ってバーニスと山岳兵のほうに行った。

ティアゴ「なんなんだ..」

リンゴは無言のまま酒の入ったグラスを口にする。

恋人が出来れば、浮かれていてもいいはずなのに、目の前にいるリンゴの表情はかたかった。
ティアゴ
(もう恋人と喧嘩でもしたのか?リンゴは毒舌だからな..)

こっそりリンゴのプロフを見ると昼くらいまで表示されていた恋人の名前が、なくなっていた。

ティアゴ(ん?どういうことだ?)

ゴシップのところをみて、ティアゴはようやく把握した。

ティアゴ(ここ何年もなかった失恋王のところにリンゴの名前がある..)


ティアゴ「リンゴ..もう、恋人と別れたの?なんかされた?」

ティアゴの発した言葉に酒場にいた人たちが一斉に耳を傾ける。

モテクイーンのリンゴに恋人ができ、そして別れた話は瞬く間に広がっていた。

別れた理由など、なかなか本人に聞けなかった一同は二人のやりとりに注目している。

リンゴ「ん?ああ、そのこと?そーゆー契約だったんだよ」
まるでリンゴは大したことではないという風にあっけらかんとして答えた。


ティアゴ「け、契約?」

リンゴ「そう。失恋王の実績を達成しておきたくて、旅人さんになら迷惑かけないからお願いしてみたの。もちろん、お礼はしたよ」

リンゴは無邪気に言った。

ティアゴ「は?実績って...」
ティアゴは呆れたようにため息をついた。

リンゴの説明を聞いて、みんな納得したように自分たちの話に戻っていった。

それを確認してリンゴはティアゴに、レッドからもらった薬草の入った木箱を渡した。

リンゴ「アゴ君、Xさんによく会うでしょ?これ渡しておいてくれないかな」

ティアゴ「なにこれ」
そっと木箱を開けて中を確認すると、ティアゴは驚いた顔でリンゴをみた。

「これ!!」

リンゴ「エリス薬草..のはず。」

リンゴとティアゴは小声で話をした。

ティアゴ「まさか、旅人と付き合ったっていうのはこれのためだったんじゃ..」

リンゴ「高価なものだし、交渉が難航して..旅人は私がこの国のモテクイーンだと気付いて、一日付き合うかわりに安く譲ってくれるって言ってくれたの」

ティアゴ
「付き合うって..デートしただけじゃないでしょ?」

リンゴ
「あー、アゴ君へんなこと考えてるでしょー」

ティアゴ
「男ならみんなそうだよ。何かされただろ?」

リンゴ「ほっぺにちゅーしたよ」


ティアゴ「本当にそれだけ?」

リンゴ「本当にそれだけ。」

ティアゴ(なんだろう、なにか引っかかる..)

「なら...いいけど....」

ティアゴ(エリンギみたいな名前の旅人、会って確認するべきだったな...)




リンゴを送り届けてから、ティアゴはXに薬草を渡した。ティアゴはこの薬草を手に入れた経緯をリンゴから聞いたとおりに話した。

ティアゴ「旅人が気前よく一日付き合っただけで渡すのはちょっと考えられないんですけど、、実際、手に入ったんで調合お願いしてもいいですか?」

X「旅人の名前、なんていったっけ?」

ティアゴ「アンテルム・エリンギ」

X「エリンギ?」

ティアゴ「違うか、、アンテルム・エンギクス」

X「アンテルム・エンギクス...」

ティアゴ「知ってる人ですか?」

X「ーー知らないわね..」
Xは首を傾げて、薬草一枚一枚チェックしている。

ティアゴ「リンゴはなんか様子がおかしいし、そいつなんなんですかね..」
ティアゴは機嫌が悪そうだった。

X「そうなの?」

ティアゴ「絶対俺のこと今日避けてましたよ..」

X「あら、寂しかったの?リンゴちゃんを赤ちゃんの時から可愛がってたものねー」

ティアゴ
「別に可愛がってませんよ..じゃあ、今日は帰ります」

からかわれるのはごめんだとティアゴは帰っていった。

ティアゴが帰ってから、薬草の入った木箱をXは見つめ、呟いた。

「アンテルム・エンギクス...」