
おススメ度★★★★☆
黒い笑い大好き。
ダーティージョークとかも好き。
過去に「お下品さん」という内々のあだ名を付けられたのですが、私は大そうこのネーミングが気に入っておりました(笑)
ブラックユーモアというと星新一さんを思い出しますが、黒笑小説もショートストーリーズです。
前半の4編は作家が主人公で連作でした。
締切のあるお仕事は作家だけではないですが、受賞し、名が売れて安定した一定の地位と収入を得られるまでは、いや、名が売れてからもやっぱり追い詰められるんでしょうねー。
それ以前に、世の人から「作家」という肩書きが認知されるまでも果てなく長い。
東野氏自身もご苦労されたのかしら?
「作家」という肩書きがわざわざ書かれた名刺。
サラリーマンからの転職の世知辛さを感じますね。
それも「○○新人賞受賞」と書かないと覚えてもらえないなんて。
お名刺。
今はカラフルで紙質からフォントから写真入やらHPやmailのadd入りやら簡単に凝ったものができたりするような時代になってきましたね。
一昔前まで創意工夫の時代だったのに。
私が仕事とプライベートでこれまで頂いた名刺はだいたい2,000枚超くらい。
下さいと言った事はなく、頂いた物だけですから、それ以上に色んな人とのご縁があったというわけですが、活かしきれていたのかしら。
一生のうち、人はどれほどの人と関ることができるのかしら。
手すきの和紙や、社名や肩書きの書かれていない自信の表れのような名刺、ひとことPRが手書きで書いてあるもの、親切な地図付き、何ができるか書かれている現実的なもの、安心感を謳いたいのかグループ会社までプリントアウトされているもの。
裏にプライベート用の電話番号と「休みの日は何してる?」と書かれた物までありました・・・。
限られた余白をどう使うか?
余白は余白のままで良い時もあるでしょう。
営業職だった頃は、頂いた名刺の余白、裏側には知りえた情報をビッシリ書きこんでいました。
一度見た顔は忘れないのだけど、名前を忘れちゃうし、顔と名前が一致しないんですよ。
だから、いつどこで会ったか、誰かの紹介か、どういったつながりか、容姿の特徴など手がかりを残します。
それと甘いものが好きか、酒やタバコ・コーヒーとかの嗜好品、家族構成やペットとか趣味、誕生日。
知りえた情報はいつ攻略の糸口になるか分かりませんからね。
持参する手土産、会話の中でのご家族のお祝い事へ「おめでとうございます」というひとことが言えるかどうか、礼状・メールに添える挨拶の一言もそうです。
打ち合わせの時に「おいしいコーヒーを出すお店を見つけたんです。」と時にイレギュラーな「特別」の提案、懇意にして頂いているお礼は何が良いか考えるヒントにもなります。
相手が大切にしているもの、大事だと思っているものを自分も尊重するということができると、人は心を開き、最初はこちらが合わせるという一方通行の関係から、相手から認められると本当のお付き合いが始まり、いずれはこちらの事も大事にして頂けます。
恋愛と似て非なるものといったところでしょうか。
営業は顔と言いますが、名刺も顔、HPも顔、会社の玄関も顔、顔はあちこちにあります。
名刺は販促ツールです。存分に使わないとね。
そうそう、「作家」短編連作の最後の方で他人の小説を理解できない、評価できない、今の感覚・時代の流れから取残されていると風刺した選考会も面白かったです。
活字離れしたこの時代、「文意が読み取れない」という人間が山ほどいます。
けして若者だけではないですよ。
文意が読み取れないということは、自分の意見を持ち、述べることもままならないということです。
国語の宿題やテストを行ってみると、かなり危険なのではあるまいか。
物事に2面性以上があるように、文章にも同様のことがあったりする。
その1面すら理解できないとかなりヤバイと思う。
今朝読んだ朝刊の意見や記事をそっくりのそまんま、さも自分の意見のように会社で講釈をたれる人。
いますね。
そろそろ新聞を読んでいるのは自分だけではないと気づいて、毎日、ノーと言えない部下を餌食にするのはやめてほしいものです。
今の時代、誰でも読み取れる文章、わかりやすく、単純、短文、明快な文章(小説も)を書くということが売れる絶対要素なのかもしれません。
ブログも以前はテキスト系が人気だったのに、今は人気ブログの殆どが画像オンリーです。
「写真を見たら分かる。頭使いたくない。」という毒に侵されて、私が見るものもそういう傾向になってきている。
「そんなのは糞食らえ」という作家が生き残ることを祈っています。
追伸:超個人的好みで「巨乳妄想症候群」と「モテモテ・スプレー」もオススメですv
かしこ。