*Galette des Rois and Favorite Chocolates*
「Galette des rois」…「ガレット・デ・ロワ」? 「ギャレット・デ・ロワ」?…アメリカでは「ガ」、フランスでは「ギャ」に近い発音になるようです。
ともあれ「王様のお菓子」を意味するこのケーキ、数年前から1月になると時々ブログ等でも目にするようになっていました。
最初にこのお菓子のことを知ったのは、ウン10年前、私が小学生だった頃で…母が購読していた「暮しの手帖」に連載されていた、シャンソン歌手で美食家としても有名だった石井好子氏のエッセイの中ででした。
「一月に入ると菓子屋の店頭にはギャレットがならぶ。なにも入っていない、丸い円形のパイで、いっしょに金色に塗った紙でできた王冠が売られている。このお菓子は、キリストの誕生を知った三人の博士が、そのことをベツレヘムの民につたえたとき、お菓子屋がお祝いのためにギャレットを焼いて、人々にただで分けたという、いいつたえのあるお菓子だ。
いまその風習が残っているのはフランスだけで、一月六日には皆ギャレットを食べる。パイだけだからさっぱりと味気ない菓子だ。この中には小さい小指の先ほどの石造りの人形か動物が入っていて、そこを食べる人はその夜は王様ということになっている。円形のパイだから六つか八つに切ってたべるが、パリで楽屋生活をしていたときは、誰かが買ってきて、『誰が王様かしら』 『王様になったらなんでも用事をしてくれなくちゃいやよ』などと、はしゃぎながら食べたものだ。」
石井好子著「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」より(暮しの手帖社)
でもね、でも…お気づきでしょうか。
石井さんはこのパイのことを「なにも入っていない、味気ない菓子だ」と書かれていて…私は長いこと、これを信じていたのです。
「パイ皮だけなのかあ、じゃあ特に食べたくもないや」と思って、以来数十年生きて来たのでした。
が。
このお菓子には。
中身があったのですね!
アーモンドクリームのフィリングが入っていたのですね!!
実は、以前このブログでも取り上げた(→「ドラマに触発されて作って見ました——『古畑任三郎』『シェフは名探偵』より」)、去年西島秀俊主演でドラマ化もされた近藤史恵著の小説「タルト・タタンの夢」の中にこのお菓子が登場した時にも、「あれ? ガレット・デ・ロワって中にクリームが入ってたの?」とフシギに思ったのでしたが…。
お正月に放送していた「グレーテルのかまど」でこのお菓子を取り上げているのを見ていたら、やっぱり、丁寧に作った折りパイ生地の中に、香り高いアーモンドクリームを入れて焼いているじゃあありませんか!
シンプルでありながら、なんとおいしそうなこと!
これなら食べてみたい!と食指が動きました。
でも、アメリカでも売っているのかしら?(←作る気は毛頭ない。^^)
1月限定のお菓子だからか、今まで見たことなかった気がするけど…?
アメリカンの夫銀之丞に「ガレット・デ・ロワってお菓子、知ってる?こっちでも買えるのかな?」と(ダメ元で)聞いてみると。
「全然聞いたことのないお菓子だったけど、ついこの間、こっちの『ラデュレ』で売り始めたって新聞で読んだばかりだよ」
!!
それじゃあ1月のうちに!善は急げ!!
と、ビバリーヒルズのラデュレまで、先週二人で出掛けて来ました。
ラデュレでは「King's Cake」の名前で出ていました。
大小ありましたが、「4人前」だという小さい方を買って来て…。
箱を開けた途端、バターとアーモンドの芳ばしいいい香りが。〜*(^。。^)
表面が少し崩れてしまっていましたが…。
さて、この「ガレット・デ・ロワ」を切り分け食べる時の最大の楽しみは、中に隠されている「フェーヴ」(Fève=そら豆の意)と呼ばれる小さい陶器の人形が、誰に当たるのか、なのだそうで。
それが当たった人は、その日、“王様”または“女王様”になって王冠(紙の)をかぶりシャンパンと共に皆から祝福を受け、他の人は彼または彼女の言うことを聞かなければならないとか…。
上記の石井好子氏のエッセイを読んだ時は「いい大人が集まって王様ごっこ…?」と苦笑を禁じえなかったのですが(スカした小学生だった…?)。
いざ切る段になると、やはりワクワクするものですね(笑)。
さて。
夫と二人、3日がかりで「フェーヴは出るか?今出るか?」とちょっとドキドキしながら食べたのでしたが…。
このガレット・デ・ロワ、中にフェーヴは入っていませんでした…。
そう言えば紙の王冠も付いて来ませんでしたし。
フェーヴが入っているのかどうか、お店の人に聞いてみればよかったですね。
フェーヴは自分で用意しておいて、ガレットを買ったら底からでも埋め込むものなのでしょうか…?
来年買うことがあったらそうしようと思います(フェーヴの代わりは…綺麗なガラスの碁石なんかでどうでしょう?)(←このカオのシリーズ、ツボったかも…)
期待していたアーモンドのフィリングはクリーム、というほどしっとりはしてなくて、なるほど、これなら食べて何も入っていないと勘違いすることもありうるかな?
でもよく味わうとはんなりと甘いアーモンドのいい香りがしますし、それとバターたっぷりのサクサクで芳ばしい、ちょっと塩気のあるパイ皮とのコンビネーションが素朴でおいしいケーキでした。
さて、オミクロンのおかげさまでコンサートや外食の予定もキャンセルをして、外出を控えている昨今ですが。
この日はせっかくビバリーヒルズに来たのだからと、お気に入りのジュエラーやチョコレートショップにも寄って来ました(だからガレットが崩れちゃったのかも)。
サンフランシスコに住んでいた時に夫に教えてもらったTeuscher(トイシェール)は二人のお気に入りのショコラティエです。
お互い好きなトリュフを数種類選んだ他に、私は実はこの日のお目当てだったこれを!
オランジェット、砂糖漬けのオレンジのチョコレートがけです(二箱あるのは、一つをDC在住の姉に送るためです)。
(雪娘さーん、見てますか〜?)
素晴らしいお菓子やお料理を載せてらっしゃるブロガー雪娘さんが、先日美しくも美味しそうなオランジェットを作ってらして(→「雪娘のHappy Kitchen Days/無農薬オレンジでお菓子づくり」)。
(雪娘さん、無断でリンク貼らせていただきました。すみません。)
どうしても食べたくなって…でも作るのは無理なので買って来てしまいました^^;。
夫が淹れてくれたコーヒーとチョコレートで、幸せな一月の午後。
オランジェットは、今までは皮の部分だけの物を買うことが多かったのですが、果肉入りはずっとジューシーですね。
ホワイト、ミルク、ダークの3種のオランジェットに、オレンジトリュフとレモントリュフ(丸いチョコです)と、頂き物のLa Maison du Chocolatのチョコレート(ブラジリアンガナッシュとフルーツプラリネ)を盛り合わせてみました。
ホワイトチョコのオランジェットを食べるのは初めてでした。
ピールだけならダークチョコが一番合うように思いますが、果肉付きだとミルクチョコもホワイトチョコもおいしいんですね、新しい発見でした。
あ、これは撮影用の盛り合わせで、一度に全部食べたわけではありません…砂糖煮のオレンジが結構甘いのでオランジェット一つでコーヒー一杯飲めました。
アメリカではコロナ感染者数がピーク時よりは減少傾向にあるそうですが、次から次へと変異種が出るので気が抜けませんね。
旅行はおろか、外出もままならないので最近は外国が舞台のドラマや映画を見るのが楽しみで。
今はクリスティーのポアロ物にハマっています。
今月、中でも私の好きなポアロ作品ベスト5に入る「Death on the Nile(ナイルに死す)」が映画化され公開されました(2020年の予定がコロナ禍で遅れたそう)。
前作2017年の「オリエント急行殺人事件」に続いて、監督・主演がケネス・ブラナーなのですが…正直、「オリエント」には相当がっかりしてしまったので、あまり期待せずにおこうと思います。
とは言え、まだまだ映画館に行く気はしないので…見れるのはずっと先ですね。
今日の午後は1978年のピーター・ユスティノフ版のDVDを見て過ごそうかな。
ジェーン・バーキンが意外な役で出ています。
では、皆さんもくれぐれもお気をつけなさって。
どうぞ良い週末をお過ごし下さい。