学校で見せる顔、家で見せる顔――どちらが本当の息子なのか分からない時
昨日、息子のカウンセリングがあった。
そのあと、息子が、私がカウンセリングの一連のことを知らないという状況だったので、私は養護教諭の先生に誘導されながら学校へ向かった。
息子は学校の補習授業のあと、まだ夕方まで学校にいたからだ。
息子に内緒の面談。胸がドキドキした。
「今、私がしていることは合っているのだろうか」 「息子のあの言葉は、何を意味しているのだろうか」
頭の中で何度も繰り返していた問いを、ようやく口にする時間がやってきた。

養護教諭の先生を前に、私は正直に話した。
「5月に娘を亡くしてから、息子は私を支えようと、生徒会も受験も必死に頑張ってきました。
でも進路が決まった今、張り詰めていた糸が切れたようで……学校で『サイコパス』とか『殺意』とか、そういう極端な言葉を口にするようになったと聞いて、心配で」
言葉にしながら、自分でも驚いた。 こんなに不安だったんだ、私。
「夜勤もなくして、できるだけ寄り添うようにしています。
昨日も久しぶりに二人で食事をして、散髪にも行きました。『かっこいいじゃん!』って笑い合えたし、L菜にアイスも供えました。クリスマスケーキも一緒に食べて……」
そこまで話して、ふと気づく。
「学校で見せる不安定な姿と、家で見せる優しい顔。どちらが本当の彼なのか、私には分からなくて」
一番聞きたかったこと
「今、私は彼に対して『否定せず、ぼーっと見守る』ようにしています。これで合っていますか?」
これが、私の一番の問いだった。
それから、もう一つ。
「息子は『ソシオパス』とか『サイコパス』とか、そういう言葉を気にしているみたいで……。共感できない、協調性がない、って。私の子育ての結果なのかなって、漠然と思っていたんです」
声が少し震えた。
専門家が教えてくれたこと
養護教諭の先生は、静かに、でもはっきりと言ってくれた。
「それは性格や特性でもあるし、偏見もある。でも、意識しすぎると疲れます」
「共感できない、協調性がないって気にしているということは、ちゃんと自覚している。言語化していないだけのこと」
「現段階では、自傷行為や危険な感じではなく、緊急性もありません」
ああ、そうなんだ。 緊急じゃないんだ。
「葛藤がある」ということは、「良心が働いている」ということ。
この一言が、私の胸にすっと入ってきた。
「ソシオパス」かどうかの見分け方
ここで少し、専門的な話を。
一般に言われるソシオパス(反社会性パーソナリティ障害)というのは、
- 他人への共感がほぼない
- 罪悪感がなく、他人を平気で利用する
- 自分の行動を問題だと思わない
といった特徴が長期間・一貫して見られ、しかも本人に葛藤がほとんどない状態を指す。
でも、息子は違った。
「葛藤がある」「悩んでいる」「気にしている」
これはむしろ、
- 冷酷だから悩まない → ソシオパス傾向
- 悩んで苦しんでいる → むしろ逆
ということ。
つまり、「自分はおかしいかもしれない」と不安になれる人は、共感や良心がちゃんと働いている人なのだ。
グリーフケアの豆知識:「遅れてくる喪失反応」
実は、大切な人を亡くした後、悲しみはすぐには来ないことがある。
特に、
- やるべきことがたくさんある人
- 責任感が強い人
- 周りを支えようとする人
は、喪失の痛みを後回しにして、目の前のことを優先する。
そして、すべてが一段落した後――受験が終わった後、進路が決まった後――一気に感情が溢れ出すことがある。
これを「遅れてくる喪失反応」という。
涙や落ち込みだけでなく、
- 怒り
- 無気力
- 投げやりな態度
- 冷たく見える言動
として現れることも多い。
息子は今、まさにその渦中にいるのかもしれない。
息子に起きていること
養護教諭の先生は続けた。
「感情の扱い方が分からない。怒り、無力感、罪悪感が混ざっている。『どう振る舞えばいいか』分からず、不器用に出てしまう」
「男の子や男性は、言葉で悲しみを出せない。代わりに態度、沈黙、反発で表すことがとても多いです」
ああ、そうか。 彼は、悲しみを言葉にできないだけなんだ。
カウンセラーが言ったこと
カウンセリングの先生からは、こんな言葉ももらった。
「まだ8ヶ月です。あなたはまだ、ぼーっとしていい時期です」
8ヶ月。
世間では「もう8ヶ月」かもしれない。 でも、喪失の時間は、そんなに早く進まない。
私も、まだぼーっとしていていいんだ。
先生は、こんなアドバイスもくれた。
「もし本人が『自分は異常だ』と言い出したら、こう伝えてください」
「気づけなくてごめんね。話してくれてありがとう」
そして、
「あなたが感じていることは、決して異常じゃない」 「自分の内面に気づけているのは、むしろ成長の証拠」 「一緒に考えていこう」
否定しない。 評価しない。 受け止める。
それが、今の私にできることなんだと思った。
帰り道、コウペンちゃんが揺れていた
面談を終えて、帰省してきたC菜を迎えに行った。
家に帰ると、L菜の部屋にあるコウペンちゃんが、いつもにも増して元気に揺れていた。
まるで、みんなの再会を喜んでいるかのように。
「C菜が帰ってきただけで、喜びすぎ(笑)」
そう思いながら、少しだけ笑えた。
L菜も、きっと喜んでいるんだろうな。
「ソシオパスかもしれない」 「私の子育ての結果かも」
そう不安になるあなたは、真剣に息子さんと向き合ってきた証拠です。
無関心な親は、そもそも自分を責めません。
今、息子に起きているのは、
- 燃え尽き症候群
- 遅れてきた喪失反応
- 感情の扱い方が分からない状態
性格でも、異常でも、あなたの子育てのせいでもない。
「否定せず、ぼーっと見守る」
それで合っています。
同じような気持ちを抱えている方がいらっしゃったら――
あなたも、あなた自身を責めないでください。
子どもが葛藤している時、 親も葛藤していていい。
ぼーっとしていていい。
それでも、そばにいる。 それだけで、十分です。
L菜へ
コウペンちゃん、またあんなに揺れてたね。 みんなが帰ってきて、嬉しかったんだね。 L菜も一緒に喜んでくれてたかな。
ありがとう。
もうすぐ「8ヶ月」になるよ。長いようで短いね。L菜、待っててくれてありがとう。
家族みんな、まだ不器用だけど、ちゃんと進んでるよ。見ててね、L菜。
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