当たり前のように、私たちの日常は過ぎていきます。
しかし、ネットや日々の会話を見聞きしていると、ある人のことを固定化して捉え
知らず知らずのうちに、レッテルを貼ってしまっている場面に出会うことがあります。
「○○さんは、こういう人だ」
そう言い切ることで、安心できたり、自己を守れたりすることもあるでしょう。
同時に、そのレッテルによって、自分自身の選択肢や視野を狭めてしまっているのではないか、と感じることがあります。
コーチングや対話型組織を進めていくうえで、とても大切だと感じていることがあります。
それが、「判断を保留すること」です。
たとえば、クライアントが
「○○さんは、こういう人なんです」
と断定的に語ったとき。
その言葉をそのまま事実として受け取ったり、
同調したり、否定したりするのではなく、いったん「保留」します。
そして、こんなふうに返します。
「○○さんは、こういう人だ、と▲▲さんは思うのですね」
「○○さんのことを、今はそう見えているんですね」
判断を保留するとは、相手の見方を否定もしないし、
同時に、それを絶対的な事実として固定もしない、という姿勢です。
今▲▲さんは、○○さんを断定せざるを得ない“状態”にあるのであって、
いつもそう振る舞う“固着した存在”であるとは限りません。
聴き手が判断を保留し続けることで、
クライアントや話し手は、自分自身の思考や感情を
少し距離をもって見直すことができるようになります。
自立し、内省しながら前に進んでいくためには、
「安全に考え直すことができる環境」が必要です。
その環境をつくるための姿勢として、
「判断を保留する」という考え方は、コーチの聴く姿勢において、極めて重要だ
改めて、そう感じています。
判断を保留することの大切さは、以下の書籍などでも述べられています
The Inner Game of Tennis
(邦題:『インナーゲーム』)
分野:学習理論・コーチング思想
Self1(評価・批判)を静める→判断しないことで自然な学習が起こる
U理論|オットー・シャーマー
分野:組織変革・リーダーシップ
「Downloading(過去の判断で聴く)」を手放し
「Suspending(判断を保留する聴き方)」 を最初の転換点として明示
コーチング・対話型組織論の理論的中核
「判断を止めなければ、新しい現実は立ち現れない」

