“働く男” の 『環境日誌』 -10ページ目

第7位 “知の衰退からいかに脱出するか?” 

第7位 “知の衰退からいかに脱出するか?”    大前 研一氏


3月に出勤途中の電車の中で毎朝読みまくったのを思い出す。

(この手の本は最初に目次とあとがきを読み、自分の気になる章から順に読んでいくことであっという間に読み終えることができる。)


大前氏は決して日本人個々の知能が低下していると言っているのではなく、国・国民として動いたときにあまりにも周りの流れのままに、時に何も考えずにいることを政治・経済・ビジネスといった側面から切っている。

一言でいえば、“考えること”から知らず知らずのうちに逃げる傾向が強まっていることを指摘しているのである。

バブルの時はそれでもよかった。

今の中国と一緒で、放っておいてもそれなりに出世もできたし、会社もうまく言ったからである。

しかしバブル崩壊後の日本は結局打つ手がなく“失われた20年”が過ぎようとしているわけである。


たとえば資産運用に関して同著の中で述べられている。

銀行に預金しても0.5%も利息がつかないのにそこにお金を預ける不思議な国民、という表現は間違ってはいないと考える。リーマンショックだ、なんや、といっても長い目で見れば投資は必ず利益をもたらす。なぜなら世界のどこかでかならず経済は成長しているからである。インデックスファンドやノーロードであれば手数料もただだし、株に比べリスクが低い。たとえば35才から60才まで毎月4万円ずつ国内外の4種類の債権、信託に投資していき税引き後の利率が4%であれば、2127万円(元本は1248万円)の資産をもつことができる。


昔の日本の銀行のように放っておいても5%の利率でまわしてくれるのであれば、直接投資の必要はなかった。

しかし、今は状況がことなる。そして大事なのは銀行にお金を預けていること=間接投資、という立派な投資なのだ。この意識をもつことは大事ではないかと思う。


ちなみに今月号のFotune誌で勝組投資会社PimcoのCEO El Erian氏は、“しっかりとした目的”をもち、どのようなスパンで投資を見るのかが大事だと語っている。これは非常に重要なポイントで、 私は20代中盤から“使わないお金”を使って投資をしているが、長期スパンで見ることの大切さは実際に投資するとよくわかる。


現在円高が続いているが長い目でみれば円もドルに続いて落ちていく可能性が強い。

主な理由はふたつで、第一は国債の額が異常であること。第二に少子高齢化が進み10年後には市場としての地位はさらに転落することが想像できるからだ。

ちなみに大前氏が雑誌などでも書いている通り、外国の投資家はいざ国債が回収不能な額に近くなった時には日本政府は国民の貯蓄を目減りさせることで事態を乗り切るというのが金融界での常識らしい。

すなわち今日の\100が\80の価値になる、というわけだ。(ハイパーインフレ)


たまたま、今これ以上悪くなりえない市場が日本、でありだからトレーダーが一時的に円に資産を振っているというのが現状であることがわかる。


同著の話に戻ると、米国でもレーガンが“小さい政府”を宣言し、資産に関して国民の責任で運用するように伝えるまでは今ほど個人投資家はいなかったそうだ。また欧州にはそもそも相続税のかわりに資産課税を使っていることから一家の資産は代々引き継がれるためノウハウを継承していくのである。みんな勉強し、失敗し の繰り返しなのだと思う。



と投資のことばかり書いてしまったが、他政治、経済などに関してもいかに自分が考えていないかを感じさせられる内容が盛り込まれています。

元マッキンゼーでボードメンバーまで務めた同氏なので当然ビジネスに関してのコメントは鋭く、気付かされることが多いのだが、私がすごいと感じるのはビジネスに加えて政治や国に関しても冷静な切り口で分析している点です。


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第8位 “奇跡のリンゴ”  

第8位 “奇跡のリンゴ”  木村 秋則 氏 


木村氏の事はNHKのプロフェッショナルという番組で数年前に取り上げられたことで知った。


■内容

無農薬でリンゴを栽培するということにチャレンジし始め、苦節8年。

義理の父親から譲り受けた農地を使い、家族も貧困に巻き込みながらの挑戦。

挑戦を始めて6年後。

農薬の代わりに酢などの効果を思いつく限り試してみたが、リンゴの花は咲かなかった。

追い詰められた木村氏は自殺をしようと山に登る。

家族からは人格も変わったと非難され、何より自分の挑戦に巻き込まれ経済的な苦労をかけていた。


その山に登ったときにある気付きを得る。

山に咲く木々は肥料も農薬も与えていないのに立派に育っている。

実際はドングリの木だったが、木村氏はそれをリンゴの木と勘違いする。


ここにヒントを得た木村氏は、飲食のバイトなどをしながら農薬の代替物にこだわるのではなく、土の状態にフォーカスする。すなわち肥料をまかずできる限り自然な状態にする、ということを考えたのだ。

結果は2年後に7輪の花、そこから成った2つのリンゴという結果で現れる。

1年後には数が激増した。

しかし形が悪く中々売れない。でも味は信じられないほど甘かったそうである。


少しずつ評判が広がり今では高級レストランなどの予約で数年先まで埋まっているとのこと。


この人はいまだにMS-DOSタイプのPCを使ったりしていて技術者でもある。

多分他の分野で何かの開発を始めてもやり遂げる魂のようなものを持っている気がする。


■印象にのこったフレーズ


● 冒頭の言葉


Let me not pray to be sheltered from dangers but to be fearless in facing them.


Let me not beg for the stilling of my pain but for the heart to conquer it.


Let me not look for allies in life's battlefield but to my own strength.


Let me not crave in anxious fear to be saved but hope for the patience to win my freedom.


Grant me that I may not be a coward, feeling your mercy in my success alone; but let me find the grasp of your hand in filure.


●起業家を思わせるフレーズ

無農薬でリンゴを栽培する。 それが自分の天命なのだ!
自分があきらめるということは人類があきらめるということなのだと思った。



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第9位 “すべては一杯のコーヒーから”

第9位 “すべては一杯のコーヒーから”  松田公太 氏 


今年はとりわけ起業関係の本を多く読んだ気がする。

2月は一週間で4-5冊くらい読んだと思う。

具体的には、フレッシュネスバーガーの栗原氏、マイクロソフトをやめて社会起業家になったジョンウッド氏(彼は恵まれない第三国に先進国の図書を贈る活動を行っている)、OK Waveの兼元氏、paperboy & coの家入氏、グリーの田中氏、TFTの小暮氏(小暮氏にはセミナーで直接話もさせていただいた。)


4月には数々の事業を成功させてきた坂本桂一氏の著作。

10月には、TerracycleのTomZacky氏の本をキンドルで購入。


年末にはクックパッド、そして今回紹介させていただく松田公太氏の本である。


この本もそうなのだが起業についての本はたいてい一晩で読み終えてしまう。

なぜか?はっきりは分からないが、自分自身がわくわくさせてもらえる、というのが一番大きい。

加えて彼らの体験を数時間で疑似体験できる。何かしら得るものがある。

初めにあたり(重要な20%)をつけてそこを中心に読んでいることも短時間で読み終える背景である。


あまり業種は関係なくてどんなフェーズでどんなことを考えていたのか?そしてどんな失敗をしたのか?


松田氏のこの“すべては一杯のコーヒーから”はそんな内容が非常に濃く書かれている。

この後に書かれた“仕事は5年でやめなさい”よりもこちらのほうがより濃く起業体験が詰まっているのである。

それはまるで起業日誌だ。


SteveJobsもスタンフォードのスピーチで死を意識することを訴えているが、松田氏の場合は、若くして弟、母親を失っている。実際に家族を失ってみるとわかるが、それはスピーチで聞いているのとはまた格段に違う。

ある意味怖いものはなくなり、より本能的になる。

最近知ったのだが、松下幸之助氏も28才で兄弟姉妹8人と両親を失っている。


まぁ死ねばよいというわけではないのだが、米国のCEOも“死”を意識した人が多いというアンケート結果もある。


幼少時代から海外で過ごした小中高の体験、日本に戻った大学での経験や新卒で入社した銀行での体験に関しても書かれており、年少の体験が“食を通じて文化を広める”という自分の目的につながっていったことを述べている。

その後スペシャリティコーヒーの米国でのブームを知り、一人で米国に渡りタリーズを発見。

すごいのは銀行に7000万円以上を借りて銀座の一等地に店を出すプロセスだ。


テレビで取り上げられた米国企業のCEOにアポをとって現地で会うことは今年私も行ったが、資金に関してはよほどの見込みがない限り手は出す気はない。とりわけDebtには。


参考になるのは半分の約3000万円を親類や友人から借り、銀行に対して覚悟を見せている点。

そしてスタートし始めのタリーズはただの喫茶店に近かったことを認めている。

またスターバックスが日本に最初の店舗を出した時に彼はまだタリーズ本社の社長とコンタクトもできていなかったのである。スターバックスの上陸に驚き、多少の恐れを感じながらも、プラスに競合の日本進出をとらえ「自分ならこうする」と相手を冷静に分析している点に驚く。

またタリーズ社長とようやく出会ったときにも「ここですでに他の企業と契約しているようであれば、タリーズとの縁もそれまでだったということ」と割り切っている。


会社を登記後は株を社員全員に分配しながら企業とともに成長できる場、従業員を大切にする姿勢を打ち出す。残念ながらVCなど株主の短期的利益追求への抵抗から最終的に上場は引き下げることになるが、店の雰囲気、従業員の姿勢は当時のまま継承されているのではないかと感じる。


ちなみに起業当初から松田氏を応援していたシアトルのアイスクリームメーカー『ダンケンズ』。

ダンケンズのオリジナルアイスを食べられるのは世界でタリーズしかない。

私も先月口にしたが、味に疎い私でも感じることができた“なんとも言い難い、確実に他のアイスとは違う濃厚さと心地よい甘みがあるアイス”だった。


http://www.amazon.co.jp/%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%81%AF%E4%B8%80%E6%9D%AF%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%92%E3%83%BC%E3%81%8B%E3%82%89-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%BE%E7%94%B0-%E5%85%AC%E5%A4%AA/dp/4101180318