激似の肖像が語る
ルーブルで、『モナリザ』に似た感じの肖像に出会った。雰囲気が激似だと思ったら、やはり、レオナルド・ダ・ヴィンチ作。
Léonard De Vinci. (Vinci, 1452 - Amboise, 1519)
Portrait de femme : La peinture en Toscane et en Italie du Nord du XV au XVIème siècle (Vers 1945-1499)
『モナリザ』を見たときと同じように、右に立ったときと左に立ったときとで、見え方に変化があるのかどうか、彼女の瞳が追いかけてくるのかどうか、試してみた。結果は、『モナリザ』と変わらない感じ。
制作年代を見ると、15世紀末ということで、16世紀初頭のジョコンダよりも先で、きっとこの肖像の女性の輪郭も、『モナリザ』に生きているのではないかと勝手に思った。
つづいて、もうひとりジョコンダに似た女性を発見。
Léonard de Vinci. La Vierge aux rochers. (訳すと『岩場の聖母』のような邦題だろうか?)
1483年に信徒団体から注文を受けて手がけた作品だそうで、『モナリザ』より20年以上早い。
さらに、ジョコンダに激似の不思議な男前の(?)洗礼者ヨハネも。
背景の薄い青からして、『モナリザ』の男性バージョンではないかと一瞬思ったくらい、似ている。
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『モナリザ』については、そのモデルの正体について議論されているようだが、それはひょっとすると、プルーストの小説『失われた時を求めて』に出てくる人物スワンやアルベルチーヌが誰なのか特定しようとすることと同じくらい、骨折り損なのかも知れない。
たしかに、ジョコンダのモデルは実在しただろうし、史実的側面からの研究も作品の秘密を明らかにするのに資するところはあるだろう。だが、「作品」である以上、その人物像は「作品」としての人物像でしかないのだから、「作品外」にレフェランスはない。どの作品も、この画家が追究した普遍的な美とか真実とか永遠性のひとつの表現である。

