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2位=最高の敗者

週末、かつて5年ほど(いや5年も)日本に住んだことがあるというアンドレとおしゃべりしながら散歩してお茶をした。

然話はフランス人の悪口と日本人の抱える問題点とに及び、アンドレはいろいろと日本の良い点を挙げながら、もっと日本人は自国に自信を持って良いのだよと言っていた。とりわけ、スーパーコンピュータの分野では日本は世界一なのだという。てっきり隣国に抜かれたと思っていたので意外だった。

ころで、たしかこのスーパーコンピュータの開発をめぐっては、事業仕分けの際に、なぜ2番では駄目なのかという質問がクローズアップされて物議を醸したが、アンドレ曰く、2番などというのはフランスやイギリスでは(おそらくアメリカでもそうだろう) le premier perdant と言われ、見向きもされないのだそう。le premier perdant とは英訳すると the first loser だし、日本語に直訳すると、「最高の敗者・第一の敗者」となる。何とも皮肉なことに、「最初の・第一の」を意味する最上級の語句に、「負けた人」なんていう屈辱的な語句を結びつけたこの le premier perdant という表現は、つまるところ、“失うものが大きいのは3番や4番よりもとにかく2番である”というような考えを示していると言えるだろう。

っとも、2番も3番も100番からしたらすばらしいが、もし世界を目指すのならば、必ず1番を目指して当然なのだと思い知らされた。最高の敗者最高で唯一の勝者との差は大きい。

足だが、たしか幼い頃なにかのマラソンで3着だった選手が「どうせ1位になれないのなら、2位はかっこうわるいから3位になるようにした」なんて述べたらしいという話を祖母から聞いた。祖母は若くして虚言癖があったので、本当かどうかわからない。ただとりあえずそれを聞いた私は、2位が3位よりも格好悪いなんてのはなぜだろうとずっと疑問に思ってきた。思えばやはり、2位はたとえすばらしかろうと「優勝者に負けた人」というイメージが強いのだろう(必ずしもそうとはかぎらないが)。その選手、なんていう勝負魂だろうと今更ながら思った。