Text or Nothing -272ページ目

sensuel な言葉

Sensuel, sensualité, sensuellement — なかなか好きな語だ。
ただし、好きなのはフランス語のときだけ。
どうも日本語に訳すと語感が好きになれない。
(Cf. sensuel =「肉感的・官能的・色っぽい」、sensualité =「官能性・エロティシズム」、sensuellement =「官能的に」)

人の sensualité は口に始まるキスマーク
人以外の口は、人ほど sensuel ではないと思う。
喉びこ… これらの部位は言葉の通り道だから。

ならば人の口の sensualité は言葉にあるのか? 口が先か?言葉が先か?

ところで、言葉と書いたが、ここで言う言葉とはまず音素のこと。
私が最も美しいと思うフランス語の子音" J " であり、まさに「私」という一人称 Je である。
J の音を出すには、唇を思いきり優しく空気に押し当てる。キスマーク
J も ch も似ているが、有声音の J では咽をそっと絞って振るわせるのだ。
フランコフォン(=フレンチスピーカー)たちは彼らの大好きな一人称を先立てて話すたびに、ことごとく空気にキスをする。

私が最も美しいと思うフランス語の母音は鼻母音のうちの、とりわけ " an " " en " である。(文字化けしてしまうらしく、発音記号が書けない)。フランコフォンときたら、鼻までも sensualité の射程に取り込んでしまう。彼らの口腔があまりにも魅惑的で抜け難いため、彼らの鼻母音は口からダイレクトに抜けて行くのではなく、鼻に響きながらワンクッションを置いて昇華する。フランコフォンたちはママンを呼ぶ時に、ママンへの愛情を鼻にかけては、第2音節をナルシシティックなまでに口腔と鼻腔とに、果ては脳髄にまで、 響かせるのだ。

では、私は?
私が最も好きなのは " r " である。仏語の " r " は、sensualité な咽喉の奥の奥からやってくる。じつは " r " は2種類ある。音節末の mer や 子音を先立てた France のときの軽い r と、音節頭に置かれた ressource や regarder のような強い r と。後者の場合、のどの奥の嚥下するところ(?)が上がる。私はこの音を出したくて、merci で良いところを Je vous remercie などとかしこまって言ってみたりもする。re に私の sensualité が満ち満ちている…キスマーク

「悪魔に食われろ」とでも自分で自分に言い返したい。