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in a nutshell

『ハムレット』2幕2場。
ハムレットのたとえは胡桃の殻に閉じこめられることを言っているのか?
手短に言って束縛されることを言わんとしているのか? (愚問…)

Hamlet:

O God, I could be bounded in a nutshell, and count myself a king of infinite space—were it not that I have bad dreams.

福田訳と野島訳を参照できたが、どちらも前者
つまりは in a nutshell と infinite space とが対をなしている。ハムレット王子の広大な思いにとってデンマークは狭すぎるというローゼンクランツからのお追従をはぐらかす返答。

Cf) 「いや、買いかぶるのはよしてくれ。ぼくは胡桃の殻に閉じこめられても、無限の宇宙の帝王と思っていられる人間だよ、悪い夢さえ見なければな」岩波文庫の野島訳(←訳註が充実していて重宝する)より抜粋。

イディオムの場合は挿入句的に使うことが多いようだ。
in a nutshell (=in short)「一言で言えば・要するに・きわめて簡単に
ex) "What went wrong?" "In a nutshell, everything." 「何が失敗だったのか?」「要するに、全部です」

ハムレットの仏訳を見たが、やはりイディオムではなく文字通りの意味でとっている。
ô Dieu ! je pourrais être enfermé dans une coquille de noix, et me regarder comme le roi d'un espace infini, si je n'avais pas de mauvais rêves.
ちなみに coquille de noix には「胡桃の殻」のほか「小舟」の意味もある。
とにかく狭苦しく堅苦しく閉じこもることを余儀なくされているということ。

けだし、in a nutshell は殻の中にという意味でとれるが、その手詰まり感というか究極の小世界を言い表す感からして、やはりここには「とどのつまり・つまるところ」というニュアンスが重ねられているのかもしれないと、しつこく思う。