『嵐が丘』の感想もしくはメモ
ようやく少し時間が取れたので、『嵐が丘』を続けた。
キャサリンの娘、同名のキャサリン(キャシー)が二人の従兄弟に出会うあたり。
本筋とは関係がないところだが、涙が出そうに好きな描写を見つけた。
あまり叙情的な要素や情緒的な表現を好まないと自分では思うが、それでもなにかゆかしい思いを抱いた。
「ペニストンの岩山の、切りとったような絶壁が、特に彼女の注意を引いたのでした。沈む日がその絶壁や頂の尖りをきらめかせ、そのほかの風景がすべて影につつまれているときには、とりわけてそうでした。わたしは説明して、あれは裸の岩のかたまりで、その裂け目には、いじけた木が生える土もないほどです、といいました。」(エミリ・ブロンテ『嵐が丘・下』阿部知二訳、岩波文庫、1961年、46頁)
こういう、明るいのか暗いのか、グレー基調なのかセピア色なのか、ましてや淡いカラーなのかわからない場面に、光がうっすらと差し、光としてではなくものの形、つまり影となってぐっと存在感を見せるところが好き。