漫画家松本零士が銀河鉄道999で描く未来の医療を紹介。
IPS細胞・・・医療に革命をもたらすかも知れない。
脊髄を損傷したネズミが20日ほどで歩けるようになった。
また新しい薬にも適用することができる。
生みの親の京都大学山中教授を訪問し、インタビューする。
インタビュアーは国谷裕子とがん患者でもある立花隆さん。
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山中教授のプロジェクトで目指しているのは2つ。「再生医療」と「新薬」だ。
IPS細胞の製造は意外に簡単。4つの遺伝子「山中ファクター」によって細胞の設計図のDNAが、あらわになり、細胞が初期化される。
人の細胞は受精卵から60億個もの細胞になっていくが、初期化によってIPS細胞が出来、下は皮膚だった細胞が心臓に生まれ変わることも可能なのだ。
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立花さん「不可逆の過程にヒトは生きていると思ったが、細胞がタイムマシンのようなことになる。」
山中「パンドラの箱を開けてしまったので、いかにそれを医療の良い方向に向けていくかが任務。」
ここでテツローがある星の病院で再生医療の手術を受けて、穴が開いた体が復活。でもこれはまだ未来の話。
現実的には新たな治療薬の開発に力を入れている。
ALS筋肉が次第に動かなくなる難病にかかった長尾さんは山中教授らの研究を待ち望んでいる。
今は瞬きで意志を伝える。「奇跡が起こるかもしれないから希望を持って。」
そのALSに新たな光が。運動神経細胞を作ることが可能になり、病気発症のメカニズムを数週間で見ることができる。世界初のALS患者の運動神経細胞が周囲の細胞に攻撃されて死滅していく現象を初めてカメラに収めた。
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企業も次々と乗り出してきている。
皮膚を取り出して、心筋細胞にしたものが出来、その細胞にいろんな刺激を与えて、薬の開発に役立てる。体内で起きていることを研究室で見ることができるのだ。
国谷「いかに早くベッドサイドに届けられるかですか?」
山中「実用化としては、全身に使うというより、薬に使って応用するというのが有効化と」
山中「病気のヒトは病気自体も辛いけど、誰も病気の治療を研究していないことも辛いというのがわかる。」
山中「今一番応用に関わっているのは糖尿病。」
国谷「副作用や薬効も見ることができる?」
山中「特に肝臓に及ぼす影響、その人本人にとって安全な治療ができる。」
国谷「まさにオーダーメイド治療なんですね。」
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慶応大学では精子と卵子を作り出すことにも成功した。
アメリカでは男性同士のカップルが二人の遺伝子を持つ子供ができることに期待を寄せる。
しかしこの問題は生殖医療がどこまで認められるかだ。
立花「どちらを救うかということが問題で、勝手に皮膚から精子や卵子が出来てしまうのは困る。」
山中「可能性としては髪の毛からもIPS細胞が出来るということも考えておかないといけない。ただ研究を止めてしまうことは得策ではないと思う。」
国谷「倫理的な問題を肯定していくには」
山中「早くから、どう対応していくかを、社会的に取り込んでいかないと大変なことになる。すごく怖いというか緊張しています。」
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IPS細胞では「キメラ」のような動物も出来る可能性がある。
実際にマウスとラットの細胞を合わせた動物ができた。マウスの体内にラットのすい臓を作るという実験で、将来は豚の体内でヒトの臓器が作れないかというものだ。
ヒトと動物のキメラはしかしまだ認められてはいない。
国谷「倫理的な問題が出てきますね。」
山中「非常に大きな問題があります。オトナの内臓の細胞を持ったマウスが出来上がったときには、’こんなことやっていいのか?’と自問した。」
立花「怖いから止めましょうというと、日本はプリミティブな国になってしまう。ヒトと動物の混合について研究はやるべきだと思う。」
山中「ねずみの細胞に留まった範囲での研究は進んでいる。」
立花「批判されることはものすごくあるけど、基礎研究のレベルではやっておくべきことがものすごくある。」
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またここでメーテルとテツローが登場。キメラだらけの星があるという話。
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IPS細胞の研究もまだまだ途上。
「山中ファクター」は暴走してがん細胞を作ることもある。
私達の受精卵はその危険を回避できている。今でもこの謎は解明されていない。
山中「4つの遺伝子で初期化ができるのも驚きだけど、まだ何故そうなのかがわからない。」
山中「プラナリアなどは切ってもすぐに再生する。人間の能力ももしかしたらそういった復活能力が潜んでいるのかも知れないと思う。」
国谷「私達の生命とはどういうものなのか?先生はどう感じていらっしゃいますか?」
山中「私達のカラダはすごい能力を秘めていて、それがまだ研究者にも見えていない。わかっていないことだらけで、むしろ実験や研究・治験をありのままに受け入れないといけないんじゃないかと。」
山中「今まではそんなのうまく行くはずないじゃないかと諦めていたものも出来るようになるんじゃいかと。」
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メーテルが登場し、銀河鉄道999が旅する。
そして山中教授は待つのが嫌だからと階段で上がっていく。
歩みを止める暇を惜しんで。