直したのは最大の問題点だった「レンズのグリスの固着」と、「ビューレンズの取り付けが上下逆になっている」部分。一番手こずったのはビューレンズの上下出し。レンズの取り付けを間違うと、「ビューレンズでピントが合っても、テイクレンズでピントが合わない」と言う事になるからだ。上下を合わせるのは一旦ビューレンズを組んだ状態で無限遠位置が上端に来るように調整した。問題はフランジバック合わせである。とりあえず、素人なりの思いつきで「ピントリングと前玉」を取り外し、その上でレンズ枠の前面の位置合わせで対処してみた。この方法が吉と出るか凶と出るかは現在入れてあるフィルムの撮影が済み、現像してみないと解らない。
もう一つの問題点、グリスの経年劣化による固着はホワイトガソリン(白ガス)と綿棒て取り除いた。綿棒に白ガスを含ませ、レンズに触れないように注意しながら、しかし確実にグリスを取り除いて行く。
・テイクレンズ側のグリスを除去中
上の写真は無限遠位置で最固定しているビューレンズと、グリス除去中のテイクレンズ。実際には、ビューレンズ側もテイクレンズと同じ状態にして面出ししている。
・テイクレンズの前玉をセット
綿棒でホワイトグリスを塗った後で前玉をセットする。グリスは、少ないと金属同士のカジリが発生するし、多いとレンズにグリスが流れ出してしまう。微妙なさじ加減が必要なので難しい。
ピント調整は、レンズをボディにセットしてビューレンズの無限遠を出す事で調整した。上下とも同じレンズを使っているので出来る芸当と言えるが、これも、ある意味掛けと言える方法である。
・グリスアップに使ったグリス。値段は399円也。
グリスはもっと小さいチューブかボトルで良かったのだが、コレより小さいサイズが売っていなかった。自転車にも使えるので写真の物を購入した。
・レンズの裏側
レンズをセットしてあるボードの裏側は写真のようになっている。左側がビューレンズだが、一度外した形跡が見られる。レンズを固定しているリングが塗装剥げしている。塗装剥げ部分は黒マジックで塗っておいた。
・ボディに取り付けたレンズユニット
クリーニングとグリスアップが済んだレンズをボディに組み付ければ修理は完了。RICOHFLEXのレンズはボディ前面のパネルごと外せる訳だが、それは上下2カ所ずつの合計4カ所のネジで停めてあるだけだからだ。とてもシンプルな構造である。しかし、それ故に素人でも簡単にいじれるため、一見きれいに見えて実はレンズの脱着がされている固体も多いらしい。かく言う私も素人修理している訳であるが...。
あと、このボディはファインダーをボディに固定している4本のネジの1本が不足していた。グラツキなどある訳ではないのでそのままにしても良かったのだが、手持ちで同じ太さ、ピッチのネジが有ったためそれを使った。元々のネジはマイナスの薄型ナベネジなのだが、代用品はスプリングワッシャー付きのプラスナベネジとなっている。それでも無いよりは安心感が違う。古いPCなど分解する際に、ネジなどは取っておくクセがあるのだが、今回それで助かったと言える。
・赤丸内のネジが代用品
グリスアップしたレンズは、到着したときの状態から見ると実にスムーズに動くようになった。前玉繰り出し式でピントを合わせるため、試写が済んでみないと完全とは言えないがそれでもこの時代のカメラのシンプルさと頑丈さを体感出来る。現代のカメラでは自分で修理するなどほとんど不可能。デジタルカメラならなおさら。電子化によって撮影は簡単になったが、道具としての愛着が湧くのはこう言った機械式でシンプルな、壊れにくいカメラのような気がするのは気のせいでは無いはずだ。
とりあえず、120フィルム1本を通して撮影して、修理が成功しているか確認しようと思っている。
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by TREview