現役自衛官セクハラ国賠訴訟第14回弁論期日(2026/04/16)
傍聴のお願いと勉強会のお知らせ

大変遅くなりましたが、第14回弁論期日と、それに続いて開催する勉強会の案内を送付申し上げます。今回の期日では久保田茉莉先生の軍隊の男女共同参画の観点で、原告に起こったことを分析します。また、蟻塚亮二先生による意見書の補充も致します。チラシのJPEG画像版を添付します。転送大歓迎です。
傍聴で、勉強会参加で、また情報拡散で、原告をぜひ応援してください。

◆◆2026年4月16日(木)現役自衛官セクハラ国賠訴訟第 第14回弁論期日 × 勉強会◆◆

◆第14回弁論期日 > 11:00~ 東京地方裁判所◆
10:30 集合 東京地方裁判所正面前(霞ヶ関駅出口すぐ)
10:45 入廷前行動 (横断幕を持って裁判所の前を歩きます)
11:00 裁判(弁論期日)103号法廷にて
※期日終了後、東京地裁裏手、弁護士会館1階にて簡単な報告集会を予定(当日ご案内いたします)。

◆議員と市民の勉強会 > 15:00~ 衆議院第二議員会館 地下1階 第4会議室◆
「自衛官の心と命を考える」――ハラスメント、事故、そして海外派遣――
15:00~17:30(※受付開始14:30。通行証を衆議院第二議員会館の一階玄関でお配りします。)

五ノ井里奈さんの告発を受け対策が出された後も続々と深刻なハラスメントが発生しておりメンタルを病む隊員たちも多くいます。そのような中、最近では、自衛隊をホルムズ海峡に派遣すべきだという声も聞きます。自衛官の心と命をどう考えるべきか。湾岸戦争後の機雷除去に当たった元自衛官らを取材した東京新聞・大野暢子さんのお話を聞きながら、議員、当事者と共に考えましょう。


・プログラム
1.裁判例の報告
自衛官セクハラ国賠訴訟の現状等
弁護団より
2.「機雷除去に当たった元自衛官が語る過酷」
東京新聞 大野暢子記者 報告
3.コメント「派遣のリアル」
元海自3佐・ジブチ派遣経験者 形川健一
4.議論の時間
発言者 現役自衛官、被害自衛官の家族、議員、弁護団メンバー他
※勉強会は、オンライン参加可能です。当会までメール(clover.jieikan@gmail.com)でお問合せください。
※会場参加・オンライン参加とも、どなたでもご参加いただけます。

自衛隊含め日本社会に蔓延する「若い」「女性」「経験が浅い」ならいじめて良いとする風潮に抗い「声を上げた人を罰する文化」を問い直し、個人の尊厳が守られる社会の実現を目指しています。ぜひ原告を応援に来てください。

弁護団:岡田 尚(神奈川弁護士会所属)/角田 由紀子(第二東京弁護士会所属)/佐藤 博文(札幌弁護士会 所属)/田渕 大輔(神奈川弁護士会所属)/武井
由起子(第一東京弁護士会所属)/金 正徳(神奈川弁護士会所属)

連絡先: 現役自衛官セクハラ国賠訴訟の支援 クローバーの会 clover.jieikan@gmail.com
・「ML入会希望:お名前」を記入の上メールを頂ければ、事後、裁判日時のご案内をいたします。
・X https://x.com/CloverJieikan

・Facebook https://www.facebook.com/profile.php?id=100091866836359
・カンパ歓迎 ゆうちょ銀行 記号10240 番号 51508671、他行からは 〇二八(ゼロニハチ)店 普通 5150867(タケイ ユキコ)



現役自衛官セクハラ国賠訴訟を気をかけてくださっているすべての皆様へ

第14回期日は、2026年4月16日(木)11時からです。場所は、東京地裁の第103号法廷です。手帳やカレンダーアプリにメモしていただけましたら幸いです。


第13回期日(12月18日木曜日)案内ができあがりました。転送も歓迎します。jpg版のチラシファイルを以下に掲示します。PDF版のチラシは 

にございますので、ご利用ください。

また、院内集会・シンポジウムにZoom で参加いただける場合の URL もすでに確定しておりますので、clover.jieikan@gmail.com
にお問い合わせください。折り返し 参加用 URL をお送りいたします。
(12/16追記 前回は、資料代送金の連絡をいただければ Zoom 開始前に PDF
で資料をお送りしました。今回、資料の印刷がギリギリになってしまう可能性があり、シンポジウムに間に合わない可能性があるので、前日までに完成しましたら、改めてご連絡申し上げます)

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現役自衛官セクハラ国賠訴訟第13回期日(2025/12/18)
傍聴のお願いとイベントのお知らせ


現役自衛官セクハラ国賠訴訟の第13回弁論期日は、東京地裁103号法廷にて、15時から開催されます。今回は、今後の証人尋問を見すえて、原告側がこの裁判の証人として出廷していただきたいと考えている、十三名の関係者のリストを提出します。


その後、16:30から、衆議院第二議員会館1階の多目的会議室で、原告のPTSDに関する意見書を書いてくださった精神科医の蟻塚亮二さんを迎え、他の自衛官のハラスメント裁判の当事者や弁護士と共に「自衛隊ハラスメントと心的外傷」をテーマに院内集会・シンポジウムを開催します。関東近郊の方はぜひリアルで、遠方のご関心ある方にはZoom にてご参加ください。

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現役自衛官セクハラ国賠訴訟
第13回 期日 × 院内集会 ・ シンポジウム
2025年12月18日(木)


【第13回期日 15:00~ 東京地方裁判所】
14:30   集合 東京地方裁判所正面前(霞ヶ関駅出口すぐ)
14:45   入廷前行動  横断幕を持ち裁判所の前を歩きます
15:00   裁判  (弁論期日)@ 103号法廷
15:40   報告集会(弁護士会館など、訴訟終了後適宜)

【集会・シンポジウム 16:30~ 衆議院第二議員会館】
16:10 受付開始 ※通行証を衆議院第二議員会館建物玄関でお配りします
16:30~18:45 衆議院第二議員会館 1階 多目的会議室

「自衛隊ハラスメントと心的外傷 ~原告自衛官と精神科医  蟻塚亮二先生と考える~」

ハラスメント被害が後をたたない自衛隊。対応をしてもらえずメンタル不調に苦しみ続ける自衛官。
自衛隊で発生しているハラスメントとそれに起因する精神疾患は一般社会とどう違うのか?
PTSDの第一人者であり自衛官のハラスメント裁判において医学的意見書を多数作成してきた蟻塚医師とともに個別事案を考え、当事者・担当弁護士とのクロストークにより実像を浮かび上がらせていく。

第1部 個別事案
担当弁護士による紹介・当事者心情・蟻塚医師よりコメント
第2部 クロストーク
蟻塚医師より「自衛隊ハラスメントによる心的外傷の特徴」
当事者、弁護団によるコメント

登壇者:
蟻塚亮二医師(精神科医)

現役自衛官(当事者)
佐藤博文弁護士(当裁判原告側代理人)、田渕大輔弁護士(当裁判原告側代理人・防衛大学校いじめ裁判原告側代理人)、種田和敏弁護士(幹部自衛官パワハラ訴訟原告側代理人)、武井由起子弁護士(当裁判原告側代理人)

※事前申込不要。どなたでもご参加いただけます。
※Zoom 参加可能。当会までメール(clover.jieikan@gmail.com)でお問合せください。

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自衛隊含め日本社会に蔓延する「若い」「女性」「経験が浅い」ならいじめて良いとする風潮に抗い「声を上げた人を罰する文化」を問い直し、個人の尊厳が守られる社会の実現を目指しています。ぜひ原告を応援に来てください!
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主催 : 現役自衛官セクハラ国賠訴訟の支援 クローバーの会
お問合せ:clover.jieikan@gmail.com
●「ML入会希望:お名前」を記入の上メールを頂ければ、事後、裁判日時のご案内をいたします。
● X、アメブロ、FBなどシェアやツィートで応援下さい。
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大変遅くなりましたが、2025年10月2日の第12回期日後に、原告の岩根理子さん(仮名)より届いた支援者様への礼状を公開します。

 

 

支援者の皆様へ
 

 いつもご支援いただきありがとうございます。原告の岩根理子です。今回の傍聴へも大変多くの皆様のご参加を頂き誠にありがとうございます。
今回、新たに感じたことがありました。それは、傍聴へ来てくださる皆様の存在が意見陳述を述べる原告の心のサポートになっているという事でした。私は裁判所という場所に慣れていません。正直、意見陳述は毎回どきどきします。しかしながら、だんだん傍聴席に来られる支援者の方々が「見守ってくれている。」と思えるようになりました。「私には仲間がいる。だから大丈夫。」と何度も心の中でつぶやく自分に気づかされました。
 

 私は自衛隊で、性的屈辱を味わいました。その後、その加害者の卑劣な行動を正当化するために更に長期に渡り、受けた行為のみならず、私の意見や考え方に対しても「否定」の連続でした。そのような生活が長くなると「他人から影響を受けたくない」と思うようになり、人との接触を避けるようになり、日常的な会話ですらあまりしたくなくなりました。那覇基地勤務の時は、別部署の隊員から「いつでも人を殺しそうな形相をしている隊員」と思われていたくらいでした。武井先生から「支援者を募りましょう」と提案されたときも、「何故、他人の支援が必要なのか」と咄嗟に防御思考が働いてしまった事を覚えています。
 

 その後、裁判の回数を重ね、裁判が終わり報告集会などで支援者の方々とぐっと距離が近くなる事や、他の訴訟や問題を抱えている方々との情報交換、これら交流が私の凝り固まった心を緩やかに溶かしていった気がします。
 

 そして、この国賠訴訟を通じて「社会に出て、人と繋がっている」という事を実感しています。「原告」という当事者であり、のんびりとした事は言っていられないのは重々承知の上ですが、「私、今、すごく価値のある経験を支援者の方々から頂いている。それって、幸せな事だな。」と感じるようになりました。そのことにより大きな安堵感が生まれました。これは私の考えなのですが、幼少期は家族愛をもらって育ちますが、社会に出てからは、様々な方と出会い、成長と共に「社会の一員である」と感じられる経験を多く持つ事が、その人の性格や考え方を育てる要素となるような気がします。


 私は、支援者の方からの「行動力のある女性だと思います。」、「勇気がある方だと思います。」、「私には何もできないけれど、応援しています。」という言葉をよく頂きます。しかし、実際に行動力があるのは支援者の皆様だと思います。私は「意見を持たない」組織の中で長年暮らしており、「無関心」という方々とずっと一緒に過ごしてきました。私の視点からすれば、自分の意見と考えをしっかりと持ってこの国賠訴訟をしっかり見ようとする支援者の方々の方が非常に行動的であり、問題を解決しようとする熱意を感じます。「何もできないけれど…」と言われますが、傍聴に来ていただく事、意見を持って頂く事が原告をサポートする事のみならず、原告の精神的社会復帰の支えとなっている事をここに明確に書き残したいと思います。それぐらい大きな力が支援者の皆様一人一人にあると私は思います。

 今回、久保田茉莉先生の「軍隊への男女共同参画」という本を読みましたが、私の国賠訴訟の中身、どうして卑劣な行為が平然と行われ、それが肯定されるのかという構図をわかりやすく書いてあり、当事者ながらにびっくりしました。軍隊や自衛隊といいますと、やはりテレビや組織のコマーシャルによって作り上げられたイメージで判断されてしまって、当事者としてそれは違うと感じるときがこれまでもありました。しかし、この本は本当に「なぜそのような事が起こるのか」という事が的確に書かれていると思います。被害者が生み出される構図、女性には女性の敵がいる事、またその女性(敵)はどのようにして形成されるのか等など。被害「女性」に焦点が当たっていますが、この本の内容は被害を受ける男性にも当てはまる本だとも思っています。私以外の国賠訴訟の解決にもきっとこの本は役に立つと思います。この本を熟読して、今後の裁判に活用できればと考えています。
 

 最後に、シンポジウムでもお話させて頂いたのですが、私は自分が所属している組織を「軍」と呼ばれる事に抵抗を感じます。そう感じない他の隊員もいるかもしれませんが、私は一人の自衛官として「軍」と呼ばれる事に抵抗があります。外国の兵士に「軍隊だろ?」と言われても、私どもは「軍隊じゃない。自衛隊」と言い直します。理由は、過去と同じ過ちを起こさない為に「軍」とは呼ばなくなった事、人を傷つけてはいけない事、人を守る事が第一だからです。また、私一個人の考えではありますが、「軍」になると、誰の制御も受けなくなってしまうように聞こえます。それは違います。日本は文民統制です。私達の主導権、決定権を握っているのは国民一人一人です。組織の中の幹部やトップではないです。支援者の方々や、シンポジウムに来てくれて物事に関心を持ってくれた方々に主導権や決定権があると私は思います。ですから、先ほども述べたように「何もできないけれど」ではなく、私より皆様の方が実際は大きな力を持っています。私はそう思います。文民統制、国民一人一人がこの組織がおかしな方向に進まないよう監視する力を持っています。それが裁判傍聴という行動となり、報告集会や各種イベントへの参加という形になっています。
 

 長々となりましたが、これからも私と一緒に戦ってください。
 

 よろしくお願い致します。

岩根 理子
 

第12回期日での、代理人陳述を公開いたします。

裁判では「陳述」と言って、法廷で口頭で、原告や代理人がその時の主張を整理したり自身の気持ちを訴えたりすることがあります。2025年10月2日に行われた、現役自衛官セクハラ国賠訴訟 第12回期日で、弁護士武井由起子が、その時、原告が提出した準備書面11について述べたことを以下紹介します(皆様にわかりやすいように若干修正しています)。

 

 前々回、原告は、ハラスメントによる心身不調の状態についての蟻塚医師の意見書を提出し、前回、被告である国がそれに対して航空幕僚幹部主席衛生官の医官丸田眞由子の意見書に基いて否定していて、今回の書面は、その主張に対する反論です。

 

その前提となる原告の心身の状態ですが、平成25年1月28日の加害隊員からのハラスメント行為(以下、「電話事件」)により、強い不眠やフラッシュバック、その後、防犯ビデオで撮られたような映像が繰り返し頭に浮かぶようになる、加害隊員とすれ違うたびに動悸や吐き気、過度にビクビクしたり集中力が低下したりし、その後、周囲や組織の二次加害により、将来の不安を強く感じたり、2024年頃から施設にいた不幸な男の子を保護する夢を繰り返し見る、自分の命を終わらせたいと感じる、その他、動脈硬化などの身体症状が発生しています。これに対し、蟻塚医師は、急性ストレス障害とPTSD、解離性障害、交感神経興奮状態による過覚醒、複雑性PTSD、そしてこれら精神症状による慢性的な心身不調と診断しました。そして、蟻塚医師は、平成25年の加害隊員から電話によるハラスメントの直後から解離性障害や過覚醒の症状が出ている、その後、この間の周囲や組織の不作為や二次加害のような作為を通じ更に重くなっている、現在も様々な症状に苦しみPTSDや解離性障害についても重症のレベルにあるとしています。

 

電話事件の概要は、「平成25年1月28日午後 2時頃、被告は、美保基地に届けるはずの物品が届いておらず、需品班の対応に遅れがあると考え、需品班の原告の内線番号に電話をかけ、原告が電話に出るや、「美保行きの荷物はどうなっているんだ、馬鹿野郎。」などと強い口調で叱責し、その電話とその後の2回目の電話の中で、「◯◯(当時の交際相手・隊員)とばっかりやってんじゃねえよ。」「やりまくってるからって業務おろそかにするんじゃねえよ。」などと、直接業務に関係のない、性的内容とわかる発言をした。」というものです(原告がこの裁判の前に加害隊員を訴えた民事訴訟において認定された判決からの引用)。

 

まず、被告の反論は、(1)電話事件に起因してPTSDを発症したとは認定できない(発症の否定)、(2)原告が現在もPTSD等が重症の状況にあるとは思われない(症状の否定)、(3)仮にそうであったとしても被告の対応との間に因果関係がない(因果関係の否定)ということです。3つの否定です。

 

その理論的な柱となる丸田医師の意見書は、電話事件がPTSD診断基準にあるストレス性の出来事と言うのは困難であり、このようなことで解離性症状となっているなら個別的要因の関与が大きい、つまり原告の生育歴などで特に容易に精神疾患になりやすい要素があると考えられるというものでした。


 原告は、まず、次の理由から丸田医師の意見書の信用性がないと考えます。

 

丸田医師は、今回提出した証拠(乙80)によれば、これは日本セラプレイ協会(子どもの心理教育療法)のニュースレターですが、専門が児童精神科と周産期メンタルヘルスだと挨拶しています。このことからは丸田医師は外傷性精神疾患を専門としているわけではありません。また、丸田医師は、意見書で現在までに数例のPTSDの症例を治療していると言っていますが、蟻塚医師は、何十年も青森、沖縄、福島などでPTSDをはじめとした豊富な臨床経験を持っており、その経験値は比べものになりません。

 

そして、そもそも、丸田医師は、航空幕僚幹部主席衛生官ですから、本来、原告を含めた航空自衛隊員の精神保健に関して責任を負っている立場のはずです。しかし、丸田医師は、原告とは何ら接点がなく、診察もしたこともなく、この裁判になって急にこのような意見書を出してきたのです。

 

 次に、3つの否定に反論します。

 

被告は、そもそも、電話事件は加害隊員に対する懲戒の調査において認定されておらず、そもそも客観的に明らかでないとしていますが、先ほどの判決の引用で述べたように、事後に、第三者である裁判所が認定できるようなことが、また、裁判所が認定してもなお、そして今だに、組織において、その事実がなかったものとして扱っていることは恐るべきことです。

 

そして、丸田医師は、電話事件のようなことはPTSD診断基準のストレス性の出来事とするのは困難だと言い、被告もそう主張しています。のみならず、被告は、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準について」という通達にしたがって考えても、電話事件は「業務による強い心理的負荷が認められる」という基準に該当しないとしています。この通達での強い負荷の例は「人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃」などがあり、電話事件は明らかにそれに該当すると思われるのですが、自衛隊では電話事件程度のことでは、PTSDや心理的負荷が強いとは扱われないということになります。

 

加えて、丸田医師は、原告がそのような発症をしたのであれば原告の個別的要因が大きいと言っていますが、そもそも自衛隊は、実力組織であって、殺傷能力のある武器を取り扱うこともあれば、隊員同士で極めて危険な訓練を行うこともあります。そのような自衛隊の採用に当たっては、容易に精神疾患になるような個別的要因がある応募者は排除されているはずであり、原告について、そのような個別的要因がなかったことは、原告を採用した航空自衛隊が一番よくわかっているはずです。そして、丸田医師は、主席衛生官として、航空自衛隊において心身健康な隊員を採用するという方針に関与していると思われますが、原告について何の躊躇もなく個別的要因の関与が大きいとするのは、自身の職責の否定でもあります。

 

 次に否定の2つ目の症状の否定について述べます。

 

被告は、PTSDなどの症状は、適切な治療を続けていれば徐々に回復していくと主張しますが、電話事件のような明らかなハラスメントであっても、組織は、懲戒の調査で認定できず、仮にそう認定されたとしても、PTSDの基準や心理的負荷が強いとは扱わないということなのですから、それならどうやって治療につながるのでしょうか。更に、被告、自衛隊には、精神疾患を患うと昇進できないといったような文化があり、さらに治療自体を遠ざけてしまっています。実際に、原告もそう思って長らく病院に行けなかったわけです。

 

被告は、蟻塚医師の意見書について、電話事件から初診まで10年間、原告の状況を直接把握していない等と言いますが、職場においてハラスメントに遭って心身の不調に至ってしまった原告を適切に医療につなげるといった被害者対応をするのは本来被告の役割のはずで、その役割を放棄し、被告に代わって原告をケアしている蟻塚医師に対して、どうしてそのようなことが言えるのでしょうか。

 

また、被告は、原告がそのような心身の状態にない根拠として、今年2等空曹に昇任しており、勤務に支障をきたすような健康状態にないとしていますが、原告には不調を悟られないよう必死で働かなければならない理由があります。


 否定の3つ目の因果関係の否定について述べます。

 

被告は、原告と加害隊員とを分離したり加害隊員を懲戒処分にするなど都度適切な対応を取っており、原告が主張するような「構造的暴力」による慢性的で反復的にトラウマとなるようなストレスを長時間かけられるといったようなことはなかったと言っています。

 

しかし、分離措置と言っても、主たる担い手のはずの加害隊員の上司であった○○班長、原告に代わって加害隊員の部署に行く業務を担った○○隊員と○○隊員、この3人が、3人とも、原告が加害隊員を訴えた前の訴訟において加害隊員からのセクハラはなかったとする内容の陳述書を作成して提出しています。セクハラを認めないような人たちが担った分離措置に何か意味はあったのでしょうか。分離措置と言えるようなものだったのでしょうか。

 

そして、加害隊員の懲戒処分も、電話事件の平成25年1月から丸6年が経過した平成31年1月のことで、処分の中で一番軽い戒告処分でした。被告は、今なお電話事件を否定していることからも明らかですが、その懲戒処分の対象となる事実には電話事件は含まれていません。

 

このように、ハラスメント被害の際に最も大事な迅速対応が全く取られず、かくも長期間、加害者が処分されず、被害者ケアがなされなかったことにより、原告は様々な嫌がらせを受け、そして、原告は現在に至っても被害者としてケアの対象とはなっていないわけですが、このことも含め、慢性的かつ反復的にトラウマとなるような出来事に暴露され続けてきたというのが、本件事案の実情です。


 被告国の、そして自衛隊の本件の訴訟における主張には驚かされることが多々ありましたが、昨今、自衛隊のハラスメント問題が社会を揺るがす事態に発展し、特別防衛監察が実施され有識者提言もなされてなお、裁判所で認定された電話事件をなかったこととして認めないとか、仮に電話事件があったとしても、これはPTSDに値しないとか強い心理的負荷に当たらないとか、それも一構成員が言うならともかく、主席衛生官の医師の意見書や、このように国からの主張として出てくるというのは驚愕すべき事態だと思います。

 

自衛隊がそんな組織である以上、今、この瞬間も、酷いハラスメントに遭って、真っ暗なトンネルを歩いているような隊員がたくさんいるのであろう、その苦しみを思います。

 

原告のように、最近、そのような方々がこのように国を相手どって裁判をすることが増えていますが、司法は、そういう方々を照らす光であるべきです。裁判所におかれては、その期待を裏切ることのないような審理、判断をお願いいたします。


以  上

第12回期日(2025年10月2日)での原告陳述を、この裁判になじみがない人にもおわかりいただけるよう一部改編して、公開いたします。


2025年10月2日 現役自衛官セクハラ国賠訴訟 第12回期日 原告陳述要旨

 組織は、いつなんどきでも、「否定」から入ります。加害隊員のセクハラも、〇2佐の公益通報調査でのハラスメントも、否定から始まりました。今回はPTSDの否定です。では、被告側は何なら肯定するのでしょうか。否定が黙殺へつながり被害を生み続けるという事を自覚して欲しいです。

 丸田医官の反論について私が言いたいことは、無責任なことはやめて頂きたいということです。今回、丸田医官がしたことは、インターネットで検索しただけの浅い知識で、ピルは避妊薬だ、だから私が避妊薬を服用しているのは事実だと断言した〇2佐と同じ事を法廷でしているように私は感じます。

丸田医官は、私の組織の医師です。しかし、私は丸田医官に診察してもらった事は一度もありません。蟻塚亮二医師には何度も診察して頂き、PTSDの診断のみならず、現在も通院できる環境の医師を紹介していただき、ケアしてもらっています。

蟻塚医師からの診断と治療を受けるまでは、このセクハラ事案は淡々と物理的に起こった事実の列挙だけでした。しかし、蟻塚医師は加害隊員のセクハラによって私の精神がどのように壊され、続くセカンドレイプ、つまり、就業環境上でのハラスメントがどのように私を蝕んでいったのかを一つ一つくみ取り、どれほど精神的にも追い詰められているかを可視化してくださった先生です。被告側は、組織としての被害者への対応は万全であったかのように主張していますが、被告の主張が事実であれば本来その役割は丸田医官が担うべきもののはずです。その本質的な役割を放棄して、薄っぺらい知識をひけらかしている姿は、同じ組織の人間として私が恥ずかしく感じるほどです。

 その丸田医官は、加害隊員からの電話程度ではPTSDにはならないなど私の精神的ダメージを否定しています。しかし、丸田医官が私の病状を否定したところで、何かが改善されるのでしょうか。私は、今でも、夜中に息を切らして目覚める事、電話越しの大声を聞くと当時が蘇り仕事に支障を来すこと、食いしばりから来る顎の疲れや肩こりが相変わらずひどいことがあります。また、身体的症状の他、仕事を調整する相手部署に私のハラスメントに関して隠蔽を行った者がいないか常に心配ですし、そういう隠蔽者が出張先にいる状態で発表する場合はドキドキしてしまうなど、常に気を張って働かなければならない状況は今も変わりません。

しかしながら、組織の医師がそんな状況では、被害者はどうやって救済されるのでしょうか。丸田医官にお伺いしたいです。自傷行為や自死が無い限り、PTSDとは診断されないのでしょうか。それは誰が決めた事なのでしょうか。なぜ貴方が診断もしていない私をそのように断言できるのでしょうか。

 私は、自傷行為や自死という選択をせず、「普通に生きたい」という強い思いを叶えるべく、また私は四六時中つきまとう恐怖と不安に向き合い解決するために、国家賠償請求という選択をしました。私は問題に対して面と向き合って解決をするという選択をしただけです。長く続くPTSDから自分を解放したいから、立ち向かうという選択をしただけです。

蟻塚医師とのカウンセリングの中でも一度そのように伝えた事があり、蟻塚医師は私の意思を尊重してくださいました。電話が突然鳴って、あの日、加害者からされた性的罵倒が脳裏に蘇っても、蟻塚医師がおっしゃったように、「貴方は誰からも攻撃される事はないし、平等に働く権利がある事、他人の利益のために、社会で犠牲になる必要はない。怯える必要は無い。」ということを信じ、安心できる生活を取り戻すために裁判という選択をしただけです。

丸田医官、私は貴方に自分の選択を否定される筋合いはありません。蝕まれ、弱っていく心に従い、鬱状態に陥っていくことは、ある意味、自然の流れに従っているように私には見えます。しかし、私は、ここで歯を食いしばって働かないといけないので、どんなに苦しくても、何もなかったかのように、周りに迷惑をかけないように働き、仕事柄、健康を維持することを本当に必死でやっています。そして、この法廷において、自分の「恐怖から逃れたい」という気持ちを押し殺してでも、裁判官に事実を伝え認めてもらう為にここに立っています。肉体的にも精神的にも追い詰められていても、自分の問題に立ち向かい解決に全力を注ぐ、それが「原告」という責任と立場だと私は考えています。組織が言うように、転属して普通に現在出勤している、2曹にも昇任しているから健全でありPTSDではない等ということは何の根拠にもなっていません。

 今回提出した法廷で尋問をしてもらいたい人については、弁護団の先生方とあれこれと相談をして、最小限の証言者を選定しました。

もっとも、私は、本当は、このセクハラ事案の当事者全員に出廷していただき、自身の行為について、今日まで謝罪をしないのであれば、その正当性を自らの言葉で証言して頂きたいです。私はこれら当事者には、逃げも隠れもせず、彼ら彼女ら全員に、自身の取った行動について社会的責任を負ってもらいたいと思います。

以 上
 

いつも裁判のご支援と、当会の活動へのご賛同ありがとうございます。

 

次回の期日は、10月2日(木)14時30分から、東京地裁103号法廷にて行います。期日後のイベント開催を含めて、詳細につきましては、後日ご案内致します。

 

なお、都合により変更される場合がありますから、その際は当ブログ・Facebook・メーリングリスト等でお知らせ致します。

 

 

日頃から、裁判と岩根理子さん(仮名、裁判原告)へのご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

皆さんの温かいご支援の下、本件の裁判は順調に進んでおり、7月10日(木)11時から「第11回期日」が行われます。今回の内容は「岩根さんの昇任の遅れについて」深く追及します。
 
当日のスケジュールですが、
・10時30分 東京地裁正面前に集合(東京メトロ霞ヶ関駅を出てスグ)
・10時45分 入廷前行動(横断幕をもって裁判所前を歩きます)
・11時00分 開廷(東京地裁103号法廷)
・12時30分(開場12時00分) 原告と支援者の懇親会(衆議院第一議員会館第3会議室、昼食等の持ち込み可能)
・13時30分 報告集会(会場は懇親会と同じ)
・14時30分 終了予定
という流れになります。
 
報告集会のオンライン参加をご希望の方は、当会メール clover.jieikan@gmail.com までご連絡ください。
 
裁判傍聴・懇親会・報告集会いずれも、どなた様もご参加いただけます。
 
また、繰り返しになりますが、以下の行為は絶対にしないでください。
・本件裁判と原告の岩根さん・弁護人・支援者等を誹謗中傷したり悪質なデマを流す行為
・原告の写真撮影(特に顔)と所属部隊・階級・生年月日等といった個人情報の聞き取りと、それらをネット媒体等に掲載したりチラシ等で流布する行為
これらを確認した場合は、弁護団と協議の上、法的手段を執ります。
 
自衛隊内部の人権侵犯は、一向に無くなりません。自衛隊は「ハラスメント加害者は手厚く守られて出世し、逆に被害者は更なる犠牲を被り排除される」という極めて異質な組織です。だから、自衛隊志願者や入隊者が減少し、定員の9割未満にまで陥るのです。どんな組織も、その基礎を成すのは「組織に属する個人」です。その個人を尊重しない組織は、敬遠されなければならないのです。自衛隊は、正にその筆頭と言えるでしょう。
 
本件の原告を含め、全国の自衛隊ハラスメント被害者は「ハラスメントを受けるのは、もう自分たちで最後にしてもらいたい」という一心で、裁判を戦っています。また「声を上げ、訴訟を起こしたら報復を受ける」と泣き寝入りする人も多数います。そうした方々に勇気を与えるため、岩根さんは頑張っているのです。
 
また、本ブログ管理人(元航空自衛官、10年間在籍)も「自衛隊ハラスメント被害者」として「自衛隊の人権侵犯は許さない」「自衛隊の真の姿を知ってもらいたい」と、本件裁判を支援しています。
 

被告の国と防衛省は、ハラスメント加害の事実を認め、被害者に謝罪せよ!!

 
防衛省・自衛隊は、隊員個人の基本的人権を尊重せよ!!
 
7月10日、多くの皆さんのご参加を、よろしくお願い致します。

先月「原告からのメッセージ」を紹介しましたが、今回、原告ご本人から追伸を頂戴しました。ご紹介します。


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今回、裁判へ行く前に、南彰(みなみ あきら)さんの「黙殺される教師の『性暴力』」という本を読
み直していました。最初は事件の流れを読み、今回の2 度目は被害者という立場で読めた気がします。被害者のお母さんからの視点で書かれたある事件ですが、物事の流れが私のケースと非常に似ていると感じました。

また今回、裁判傍聴をしてくれた女性が、私が意見陳述の中で「親に話せない」と言った点において、彼女自身もそう感じた事があったと話してくれました。私はまだ人の親になった事はありませ
んが、何があっても子を守るという親の愛情を自分自身でも他者の家族からも感じます。一方、子
も親に対して同じくらい強い感情を持っています。私はその女性に、「私は自身の性被害を親に知ら
れたくなかった。親に大きなショックを与えたくなかった。私の中で受け止めきれない問題を、親にも抱えさせたくないと思うと話せなかった。」と言ったところ、彼女も同じ思いで幼少期の出来事を生
涯親へ伝える事は無かったと言っていました。この南さんの本の主人公の子もそうだったのではないかなと思います。これは、性被害のみならず、他の被害についても同じだと思います。お母さんの
視点で書かれているので、「もっと早く気づいていれば」と書かれていますが、子として、「親に同じ
ショック(ダメージ)を与えたくない」と咄嗟の防御が働いていたのではないかと思いました。

「何故すぐ助けを求めなかったの?」と、私ら被害者は言われます。しかし、自分自身が受け止め
きれない事以上に、自分のもっとも身近い人達に「大きなショックを与えたくない。」、「それを抱えて
生きていって欲しくない」と反射的に感じてしまいます。それらを自分の体から「言葉」として伝え出すという行為は、息ができないくらい苦しくなるものです。自分が打たれた武器で、違う誰かを攻撃してしまうような嫌悪感です。だから、他者、特に親に伝えづらいのだと思います。ですから親に伝えたイコール相当な勇気を振り絞って伝えているという事です。そう考えると、加害者は被害者本人の人生を壊すだけでなく、その背後にいる家族や大切な人たちの人生をも狂わせてしまうと言えます。その加害者が、一人の被害者にさえ反省の弁を述べないことを見ると腹立たしくてたまりません。

私は、裁判の意見陳述の中で、「私達もセクハラなんて我慢してきたんだ。」と言ってきた女上司に対して「あなた方が放置してきたから私が被害にあう環境ができた。」という考えを言った事がありました。この本を手にとり一番はじめに目に入った一文が、「泣き寝入りや二次被害を生みやすい構造が、加害者をのさばらせている土壌になっている」でした。この本は、まさに性被害と日本の裁判の現状が書かれている一冊です。私の裁判においても、被告である国の主張は「今、セクハラは起こっていない。セクハラはあったが、ちゃんと対処したので現状起こっていない。だから被害がない。」と言っており、まさに加害者をのさばらせていると感じます。このような社会を皆さんと一緒に変えていけたらと願っています。

 

2025年5 月8日
岩根 理子
※こちらは仮名になります