clover chronicles Ⅱ -12ページ目

clover chronicles Ⅱ

b-flower・Livingstone Daisy 八野英史の音楽年代記 クローバークロニクル2

 
『My Wandering Days Are Over』Belle & Sebastian
 
わずか3日間でレコーディングされた(ホンマか!?)という
96年のデビューアルバム『Tigermilk』から。
 
 ご存知のとおり、僕の放浪時代は終わった
 ってことは僕は退屈な奴になったってことか?
 教えてくれ
 独り言を聞くのは、もう飽き飽きだよ
 マイケルとか、あの連中の世話を焼くのはもうくたびれたよ
 (対訳:山下えりかさん)
 
ベルセバは圧倒的に最初の3枚が好きと言っちゃう僕は、ファンとしてはたぶん良いファンではないんだろうけど、普通そういう場合は「今のベルセバは好きじゃないんだよな」みたいになりがち。
でも今もリリースがあるたびにちゃんと手に入れて聴くちゃんとしたファンなんです。これってやっぱり熱心なファンということになりますよね。
日本盤を手に入れ、対訳も読んでみると、とてもいい詩なんだけど、かといって心をかきむしられるってほどでもない。
セールス的にも大成功しているので、僕ら聴き手が支えなきゃって使命感も不要だし。でもなんかずっとこっち側に居る。
「熱狂」がない分、いつまでも好きなんでしょうか。かなりの頻度で聴いてしまいます。
他にあんまりないんですよね、こういう存在のバンド。
 
 
 
 
 
Primitive Painters / Felt
 
85年リリースのアルバム『Ignite The Seven Cannons And Set Sail For The Sun』から。
コクトー・ツインズのロビン・ガスリーがプロデュース、この曲にはエリザベス・フレイザーもボーカル参加してます。
なので、少し耽美的、4AD寄り(レーベルはCherry Red)で、本人たちはどうだったのかは知らないのですが、僕は「相性がいいな」と思っていました。
フェルトの代表曲のひとつですよね。
 
そういや、これも日本盤で買い直してるな。2枚持ちシリーズ。レコードはどこ行ったんやろ。
 
  人生のことなんて何も心配してないよ
  人は敗北主義だと言うけど
  僕が ”プリミティブ ペインター” になってしまって残念かい
  船は水のない海に浮いてる?
  ギャラリーに集まっているのは ”イメージ” の種馬なのさ 
  (訳詩:辻畑鉄也さん)
 
フェルトはb-flowerの初期にライブでカバーしてましたが、湯田くんがローレンス節が苦手だったので、ちょっとメロディアスにして歌ったりしてました。
 
その後、ローレンス節には bのアルバム『Grocery Andromeda』の「めばえ」という曲で挑戦しております。ローレンスのファンに間違いなくシバかれそうな仕上がり(汗)
 
 
 
 
 
 
Walter And John / Ben Watt with Robert Wyatt
EP『summer into winter』
 
 " ウォルターとジョンは初めて会った7歳の頃から友達
 庭にテントを張った時には瞬きするのも惜しくてぜんぜん眠れなかった
 ウォルターとジョンはいつも近くにいて 心の通じた兄弟のようだったんだよ"
 
冷たい冬の夜に聴きたくなったのはBen Watt with Robert Wyattの「Walter And John」。
僕がよく聴いてるベン・ワットのCD『north marine Drive』は日本盤(おっ、ライナーは伊藤英嗣さん)で、ボーナストラックで、with ロバート・ワイアットのEP『summer into winter』がボーナストラックで5曲入ってるもの。
なので、いつの間にかこのEPまで自分の中では『north marine Drive』の元々の収録曲であるかのような気になっていたわ。
 
ギターの凍りつくような音のリフ(フレーズ)のせいで、真冬の歌なのだと信じきっていたら、そうでもなかった。
この思い込みも、どうやら最終曲の「A Girl In Winter」というタイトルに視覚的に引っ張られてのもののよう(笑)。
なんて曖昧な僕。
でもこのいい加減さが想像力につながるんですよ。
頭の中でどんどん冬のイメージが出来上がっていくんですよね。
 
 
 
 
よかった、岡部の誕生日に間に合った!
ベーロが遺したクレヨン画の習作に僕とサカナさんで手を加え、気持ちを込めて仕上げました。
どうです?さすがオカベーロ画伯でしょ!
皆さん、大変ご心配をおかけしてしまって申し訳ありません。

悲しみは簡単に癒えるはずもありませんが、岡部くんの急逝についてのSNS上での皆さん(ファンの方々や、彼が仕事していた劇団の方々、在籍していたバンドやユニットのメンバーの方々)の言葉を読ませて頂いて、「やっぱり岡部は岡部だったんだな。どこでも誰とでも親友のように接し、全ての友人やファンの方に心の底から愛されていたんだな」と再確認しています。(彼は生前、他の現場のことは僕らには全く語らなかったので、他の活動をほとんど知らないんです。)

90年代半ばから、僕はb-flowerのライブのメンバー紹介の際に必ず「b-flowerの屋台骨を支える男オカベーロ、岡部亘!」という風に彼を紹介していました。
音楽的な部分だけでなく、精神的な面でも僕もメンバーも常に彼に頼っていました。彼はb-flowerという『舟』の帆を支えるマストでした。
今、僕らはそのマストを突然失い、流れついた見知らぬ港で途方に暮れています。
果たしてこれをまだ『舟』と呼んでもよいのか…。もしかして、ここが僕らの最後の港になってしまうのだろうか…と。

まだ全く心の整理がついていません。
ただこのまま時を止め、悲しみに暮れ続けるわけにはいきません。
一番無念に感じているはずの岡部の為にも、とにかく今できることをやって行かないとと思っています。

『メロディフェア』と言う楽曲が手元に遺っています。
サカナさんと僕と岡部の3人のバンドLivingstone Daisyで作夏に仕上げたカバー曲(原曲 Bee Gees)です。
3人がそれぞれ代わる代わるメインボーカルをとっている静かだけど楽しいカバーです。この作品を近々発表できればと考えています。

事態を信じられず、この言葉をまだ彼に言えてませんでした。
ベーロ、どうぞ安からに眠って下さい。
なんとか、なんとかみんなで踏ん張ってみるわ…

八野英史