いまさらですが、この間のH-ⅡBロケット打ち上げ(2012年7月21日)を見に行ってきました。

打ち上げを見に行ったのはもちろん初めてで、色々とどうなることかと思ったのですが、無事に見ることが出来ましたので簡単に報告です。

今回は厳選したフォトと共に。

CLOUDNAUT-雲の旅人-

種子島宇宙センターは広い。車でも端から端まで10分は掛かり、その中でも見晴らしが良く発射台に近いロケットの丘展望所という場所があるのだが、そこは結構観光客がいたのでそこからほど近い場所から。
発射前日の夕方、夜の機体移動を待つ間に、二本の飛行機雲が流れた。
まるで発射したロケットの軌跡みたいで、この時は本当の軌跡も見れるはずだと思ったのだが・・・。
ちなみに、岬に見える二本ひと組の鉄塔が二組見えるが、それが射点で、岬の突端から第一、第二となっており、H-ⅡBは第二射点から発射する。
夕方5時、この時点ではロケットはまだ射点左側の白く背の高い建物(VAB組立棟)に入っている。



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前日、夜の8時頃。同地点にて。
7:30頃よりロケットがVAB組立棟から第二射点へ移動開始し、30分で移動完了した。
機体移動に関して言うと、コルキットという手作りの望遠鏡で移動中の地面を覗くと、移動しているロケットの周りに人が何人も歩いているのが見えた。特に慌てている様子もなく、予定通り移動は行えた様だ。
近いとはいえ2km位あるので、双眼鏡の倍率では人までは確認出来ない。ロケットの機体移動とは言っても、遠目には音もなく動いているだけなので、単純に見ていて刺激がある訳ではないから、携帯出来る望遠鏡がある人は、試してみると面白いかも知れない。頑張れば望遠鏡を通して携帯で機体のエンブレム等を撮ることも出来る。



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打ち上げ前夜長谷公園にて。
ここはロケット打ち上げを見るには一番近くて見晴らしの良い場所になる(公式には)。
近いといっても6km弱あるが、公式の場所ではJAXAの管制の声も入るので打ち上げる瞬間、打ち上げ後の展開も分かり、臨場感が違うので初心者にはおススメ。
この時は夜10:30位だったが、既に公園の前の方に陣取りテントを張る人や車中泊する人が結構いた。
天気は雲が結構流れていて、着いた時はこの状態だったが徐々に雲に覆われてしまった。でも芝生が濡れていたので既に一雨あった様だった。同じ種子島でも場所によって天候が全然違うというのは、種子島に居る間によく感じた事だった。
そして、雲間から見える星空も半端ないという事もよく分かった。ここまでの空が普通の公園から見えるという経験は周囲が暗い離島でないと味わえないと思った。


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当日、発射直後、長谷公園から。
朝から長谷公園で場所取りをしていたが、2時間前位から一気に人が混みだし、三脚など使用出来る状態ではなくなってしまった。しかも15分前位から雨が降り出し、最悪のコンディションに。
自分も、カメラを手持ちに変え、でも肉眼でも見たかったので目から遠ざけてスタンバイ。
射点上空はよりによって打ち上げる瞬間に最も雲が垂れ込め、軌跡を追うなど絶望的な状態。
数時間前から雷鳴は聞こえていた。降り出す雨。それでも止まらないカウントダウン。
こんな天候で打ち上げが成功するのか、不安になる。いや、JAXAがOKと言っているのだから、間違いは無い。ロケットを無用なリスクに晒すなどするはずは無いからだ。
カウントダウンが分単位から秒単位に変更される。もう待ったなしの状態でいよいよ会場全体が立ち上がり、そわそわし始める。
打ち上げる。データで雷雲が見られない事を確認の上で、実際は真っ黒な雲に向かって打ち上げる。それはリスクではないと分かっていれば、怖くないのだろうか?
怖くないのだ。それが実績を積んだという事なんだ。
エンジンに着火し、黄金色の輝きが閃いたその瞬間、ロケットがやけに大きく見えた気がした。


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つかの間、厚い雲に突っ込み、見えなくなってしまったロケット。
数秒後にゴゴゴゴゴ、バリッ、バリバリッという轟音が響き渡った。
見えなくなったロケットの代わりに、この音で会場は歓声を上げた。
そして、管制の第一段分離、第二段分離、という声を頼りに想像を膨らませて空を見る。問題なく高度を上げていっている様だ。
やがて、HTV3号機、予定軌道への導入を確認、とアナウンスされた所で、会場に残っている人々から大きな拍手が湧き起こった。

とかく、ロケットの打ち上げには延期は付き物、と言われ、事実予定通り打ち上がった時の方が少なかった。もちろん、天候による延期はやむを得ない部分があるとは言え、予定通りに打ち上げる事で技術力の高さをストレートに表現できるのは強いアピールになるのだから、本当はできるだけ予定を崩したくないはずだ。
そういう意味では今回の打ち上げはJAXAあるいはロケット関係者の実績に裏打ちされた自信と技術力の高さを感じたし、いい打ち上げだったと思う。
天気が良ければ空の高いところまで見えただろうけど、天気が悪かったら悪かったで違う部分が見えて来て、行って良かったと思った。
翌日、起きるとちょうど朝日が上ったところだった。
急いで外の景色を見に行く。

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見上げるとやはり快晴の空。
そして、ご来光を上空で見ようという色とりどりの気球との不思議な眺め。
気球にも乗りたかったな。


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前日の星の撮影スポット辺りから。
ちょうどこの反対側を撮影した。


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ホテルのレストランと中庭。
美しい庭園と断崖・・・何となくラピュタの一場面の様な。


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洞窟ホテルの廊下。
このような雰囲気で部屋も統一されており、珍しいのだが不思議と落ち着く。


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別の場所からウチヒサールを臨む。
カッパドキアの至る所がこの様に剥き出しの岩肌を見せつけている。
カッパドキア。
この不毛の大地で、その風景と一緒に星景写真が撮れてしまったりしたら、それこそ一生の思い出になるかも知れない。
高原で、内陸深くにあれば光害も少なく、今までにない好条件かも知れない・・・と、下手は下手なりに妄想し、カッパドキアで星の写真を撮るというのが今回のトルコ旅行の、実は個人的に一番の目的だったのである。

しかし、夕食が終了後、いつもはなんのイベントもないのに、その日に限って色々あった。
夕食の際、トルコの地酒の話で盛り上がり、若者グループで飲み会を開く事になった。ラクというその酒は、アルコール度数45°という半端ない数字と、透明な液体で割ると白く濁るという不思議な酒だった。味としてはウイスキーを濃くしたようなクセがあり、(薬品の様、と形容されることがある)女子が普通に飲むには結構工夫しないと美味しいとは言えないだろう。
各自ポテトチップと割る水を持参し中庭に集合。
満天の星が綺麗だが、他に誰もおらず、何となく寂しい。
お互い少しずつ自分の話をしたが、巡回している警備員らしき人影を発見し、記念撮影をすると割とあっけなく飲み会は終了してしまった。解放され嬉しい気持ちとそれほど話込めなかった残念な気持ちが入り混じる。なにせ相手は二人とも女子。

しかし、あまり時間が無かったのには自分にも訳があり、その前、食事直後にハマムを体験していたからだ。
ハマムとは洗う人が居てくれるサウナで、トルコの名物風呂である。
まず普通のサウナで体を温め、その後別の部屋に移動し、温まっている石床に寝ると洗い手の人が来てくれ、最初はアカスリ、そして特殊なせっけんを使って泡立てて洗ってくれるのだが、この泡がめちゃモコモコして、全く崩れないので面白い感触を味わえる。
オプションでその後オイルマッサージもあるが、結構値段が張るため今回は止めといた。
最後はザバザバお湯を掛けられ、終了。隣にプールのようなお風呂があり、そこで余韻を楽しむ。
洞窟ホテルのため、ハマムも洞窟として作られており、古代から行われていた雰囲気を楽しめた。もちろん、現在も1週間に1度位現地の人は通うんだそうである。
ハマムも一度体験したかったが、ここのハマムが一番いいと言うことでチェックイン時に予約してしまったのである。
そのため、飲み会が1時間程あとに繰り下がってしまったのだった。

というわけで、様々なイベントを終え、撮影に出向くことにした。
おかげで既に24時近い。薄明が終わった頃なので丁度良かった。
事前に添乗員には自分の行動を伝えてあったので、不安は無かったが、異国の夜道はやはり怖い。
暗い夜空、岩の断崖、犬の遠吠え、道端のスペースに駐車してある車に乗り込んだまま何やら話している人たち・・・。
安全だから大丈夫、と言われた事を反芻していく。

それにしても、星の数が多い。
地平線まで星の数が減らない。
天の川も、その濃淡が分かる。
5分ほど歩いたところで、谷に入っていく道を見つける。
その道の先は勿論暗闇。
しかし、街灯がやけに明るく、暗い場所へ行かないとうまく撮れないと思ったのと、岸壁を写野に入れたいと思っていたので頑張って下ってみる。
少し下ったところで、展望スペースの様に開けた場所があり、そこにカメラを設置し撮影した。


CLOUDNAUT-雲の旅人-

取り敢えず、天の川も何とか写ってくれた。街灯が暗ければ、正直もっと感度を上げられたのだが、その街灯のおかげで大地が、谷がくっきりと浮かび上がった。
普通なら合成しないとこんなには写らないから、これはこれで良かったかな?
と思うことにした。


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やがて、月が上ってきた。空も少し明るくなり、撮影はタイムアウトとなった。


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帰りの道すがら、月の出を確認した。

全く、今回の旅は太陽と月がベストタイミングで出てきてくれる。