CLOUDNAUT-雲の旅人-

古都コンヤを出て、次の目的地は宿泊地でもあるカッパドキアだ。
当然ながら相当な距離があるので、途中に休憩を挟む事になる。
その休憩所が上の店だ。

内陸部に入っていくと、物価が安くなり、ミネラルウォーターなんかも都市部の半額近くなる。そして雰囲気ものどかになっていく。リゾート然とした沿海部の雰囲気も良いが、慣れてくるとありのままの内陸部の雰囲気が新鮮に感じられる。
この店も雑然としていて、土産物がごちゃっと積み上げて置かれていたり、小汚い(失礼)雰囲気で、個人的にはワクワク度が一気に上がったのである。
実は沿海部では宝石店や革製品等の免税店で気が滅入っていた(貧乏ですから・・)ので、ようやく出番が来た!という感じだった。


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店内の気になったものの一つ。
これはフォトアルバムなのだが、表紙がめっちゃ凝っている。
まるで魔道書、ここだけ魔法使いの専門店の様なのだ。
しかも無造作に置かれ、ホコリもかぶっているのだから、雰囲気満点だ。
かなり気になったが、値段が分からなかったので思い切って諦めた。
こんな感じで色々なものが置かれていた。

コンヤから4時間ほど走っただろうか・・・ようやく、カッパドキアのウチヒサールという場所にたどり着く。<GoogleMap >
個人的にはトルコはカッパドキアとイスタンブールが一番の見所だったので、気持ちが高まってきていた。
カッパドキアは高原地帯に広がる岩石地帯で、自然の風化等によって様々な奇岩がそびえる景勝地である。その景観は、有り体に言えば別の惑星に来た様な不思議な景色と言われる。
また、歴史的にも、イスラム教に弾圧されていたキリスト教徒が、その迫害から逃れるためにこの地へ移り住み、柔らかかった岩石をくりぬいて洞窟に住居や教会を作り隠れ住んだと言われている。
そのため、奇岩に住居の跡が残り、その景観に一層の神秘を与えている。
また、カッパドキアの雰囲気を生かすため、ホテルやレストランも洞窟型にしている所が多い。

今回、泊まる所は、そんな洞窟ホテルの一つだった。この洞窟ホテルに泊まれるというのも魅力の一つだ。
ここのホテルは、洞窟ホテル、とは言っても、窓がないわけでも、天井が低い訳でもない。
元々は岸壁の斜面だったのを、削ったり掘ったりする事で出来たため、玄関は一階にあるが、地下に下っても窓やバルコニーがあり、地下二階の中庭(!)からはウチヒサールの渓谷が一望出来るという素晴らしい所だった。
しかも、洞窟なので雰囲気が落ち着いている。こういう凝っていて落ち着いているホテルは日本人好みだと思った。周りの人からもやっと安らげるとか、ここは良いと上々の反応の様子。

到着して早速、レストランで夕食をとる。
レストランもまた渓谷側が一望出来るようになっていて、奥にはベランダがあり外にも出れる様になっていた。
いい時間だったが、この時ばかりは目の前の食事も忘れてその眺めに見とれた。
夕刻の空にウチヒサールの景色が美しかった。


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パムッカレから車でだいぶ(笑)東へ進み、メブラーナ博物館へやって来た。
メブラーナ博物館は、コンヤという町にある。<GoogleMap >
コンヤとはセルジューク・トルコ時代の首都で、芸術や宗教においても中心地であった。現在ではその名残か、大きな町だがのどかな雰囲気と、比較的信仰熱心な方が多いようだ。何となく、日本で言うところの京都の様な、古都の風情と言ったら良いだろうか・・・。コンヤの街歩きはしていないので写真は無いが。


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ゲートをくぐると、花と人で賑やかな庭に迎えられた。奥に見えるモスクも、尖塔がトルコ石の青色で、花の庭と相まってメルヘンなイメージだ。
しかしここは聖廟で、メブラーナという人のお墓なのである。


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メブラーナとは"我が師"という意味で、本名は勿論あるのだが、ちょっと長いので割愛する。
彼はその名もメヴレヴィー教団(イスラム教の一派)の創始者で、別名旋舞教団とも言われ、"セマ"という儀式を行う事で有名らしい。"セマ"とは、スカートを履いてその場でひたすら回り続ける、という儀式で、この世で回転しない物は無い、回転することによって神の世界へと近づける、という思想で、延々3時間ほど回るのだという。現在でもメブラーナの誕生日にはセマの儀式を実演しているという。
確かに、天文学に置き換えると地球は銀河系を公転している太陽を公転しており、
そこには衛生である月も回っており、それぞれが更に自転している。地上にいるだけで秒速500m近くの超高速で回っているのだから、自分たちはいつの間にか"セマ"していると言えるかもしれない。

なんて妄想はおいといて・・・今回はその儀式な勿論見れないが、日曜日という事で人が凄かった。

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3枚目の写真の小さな門から中に入り、モスクの正面に来る。
つまり、ゲートからぐるりと回って来た訳だが、どうも正門では無かったみたいだ。入場者が多いから裏からにしたのだろう。


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館内は撮影禁止だった。すごく大きい訳ではないが、金色の装飾が施されていたり、メブラーナの大きな墓、従者の墓、学生の墓などがあり、それぞれ墓の上に大きなターバンが載っていてその色や大きさで位が違っていたり、コーランの写経本やムハンマドのヒゲの入った箱が展示(蓋が閉まっており、ヒゲの確認は出来ない)されていたり、と立派な内容だった。

偶像崇拝が禁止されているイスラム教では、その代わりに文字を使っての表現が発達したという。モスクでもアラビア文字で唯一神アラー、預言者ムハンマドの名が書かれていることが多い。また、アラーの綴りがチューリップに似ている事から、チューリップがアラーのモチーフとして陶器などに描かれている事も多い。ちなみにムハンマド
のモチーフは星だ。


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モスクの反対側には、やはり当時の衣装や楽器や本など、様々な物が展示してある。
それにしても、花が多い。
特に、こういう場所に花というのはよく映える。色ではなく、死に対する生の象徴の様なイメージが、高貴に感じさせる。


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お土産屋で売っていた、トルコ国旗のアラビア飾り文字バージョン。
何て書いてあるか分からないが、なかなか素敵だ。
今見るとこれ、買ってくれば良かったかも。


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長距離もなんのその、で駆け抜けてきたトルコ旅。さあ朝、宿を出て、今度の観光先は・・・何と驚きの15分(知っていたけど)、しかも出発してすぐにその白い何かが見えてきた。

入場ゲートをくぐってしばらく歩いていると、いきなり目の前が真っ白にひらけた。

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異世界へスリップしたのかと思わせる神秘的景色。
パムッカレの石灰棚と言われる世界遺産である。

地熱で湧いた温水が石灰の地面を溶かしては固め、溶かしては固めを繰り返し、この様な地形が誕生したと言われている。まるで人の手で作り出した巨大な芸術作品の様でもある。

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先ほどの画像の反対側から、靴を脱いで石灰棚を歩くことが出来る。
今でも温水が流れ出ている、生きた世界遺産なのだ。
しかし、最近は水量が不安定になっており、ネットでよく載っている画像の様に一面に水を湛えた姿は見れなくなっていて、場合によっては石灰棚への入場を断られることもあるらしい。
今回は無事入場を果たせたので良しとしよう。


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確かに石灰棚の上のほうは水がほとんど来ておらず、あっても数日前からの濁った水溜り状態になっている。水の無い所は反対にガッチリ固まり、足裏をかなり刺激される。思ったより事態は深刻な様だ。


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とりあえず、時間の許す限り奥の方へ下ってみる。
温水は人工?と思われる水路をいい塩梅で流れている。その先を追っかけてみた。
棚、というだけあって、景色は良いのだが結構断崖絶壁である。滑ったら無事では済まなそうだ。


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下っていくと、ようやく透明感のある白と水色、湛えた温水に包まれ、それっぽくなってきた。

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それにしても、ここだけ真っ白というのは不思議だ。古代、ヒエラポリスと言う温泉郷として栄えていたと言うが、この景観を(昔はもっと綺麗だっただろうから)眺めながら療養すれば、大地の色と形さえ変えてしまう温泉の力・・それは説得力あっただろうね。

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これも天然物・・・信じられる?