カッパドキア。
この不毛の大地で、その風景と一緒に星景写真が撮れてしまったりしたら、それこそ一生の思い出になるかも知れない。
高原で、内陸深くにあれば光害も少なく、今までにない好条件かも知れない・・・と、下手は下手なりに妄想し、カッパドキアで星の写真を撮るというのが今回のトルコ旅行の、実は個人的に一番の目的だったのである。

しかし、夕食が終了後、いつもはなんのイベントもないのに、その日に限って色々あった。
夕食の際、トルコの地酒の話で盛り上がり、若者グループで飲み会を開く事になった。ラクというその酒は、アルコール度数45°という半端ない数字と、透明な液体で割ると白く濁るという不思議な酒だった。味としてはウイスキーを濃くしたようなクセがあり、(薬品の様、と形容されることがある)女子が普通に飲むには結構工夫しないと美味しいとは言えないだろう。
各自ポテトチップと割る水を持参し中庭に集合。
満天の星が綺麗だが、他に誰もおらず、何となく寂しい。
お互い少しずつ自分の話をしたが、巡回している警備員らしき人影を発見し、記念撮影をすると割とあっけなく飲み会は終了してしまった。解放され嬉しい気持ちとそれほど話込めなかった残念な気持ちが入り混じる。なにせ相手は二人とも女子。

しかし、あまり時間が無かったのには自分にも訳があり、その前、食事直後にハマムを体験していたからだ。
ハマムとは洗う人が居てくれるサウナで、トルコの名物風呂である。
まず普通のサウナで体を温め、その後別の部屋に移動し、温まっている石床に寝ると洗い手の人が来てくれ、最初はアカスリ、そして特殊なせっけんを使って泡立てて洗ってくれるのだが、この泡がめちゃモコモコして、全く崩れないので面白い感触を味わえる。
オプションでその後オイルマッサージもあるが、結構値段が張るため今回は止めといた。
最後はザバザバお湯を掛けられ、終了。隣にプールのようなお風呂があり、そこで余韻を楽しむ。
洞窟ホテルのため、ハマムも洞窟として作られており、古代から行われていた雰囲気を楽しめた。もちろん、現在も1週間に1度位現地の人は通うんだそうである。
ハマムも一度体験したかったが、ここのハマムが一番いいと言うことでチェックイン時に予約してしまったのである。
そのため、飲み会が1時間程あとに繰り下がってしまったのだった。

というわけで、様々なイベントを終え、撮影に出向くことにした。
おかげで既に24時近い。薄明が終わった頃なので丁度良かった。
事前に添乗員には自分の行動を伝えてあったので、不安は無かったが、異国の夜道はやはり怖い。
暗い夜空、岩の断崖、犬の遠吠え、道端のスペースに駐車してある車に乗り込んだまま何やら話している人たち・・・。
安全だから大丈夫、と言われた事を反芻していく。

それにしても、星の数が多い。
地平線まで星の数が減らない。
天の川も、その濃淡が分かる。
5分ほど歩いたところで、谷に入っていく道を見つける。
その道の先は勿論暗闇。
しかし、街灯がやけに明るく、暗い場所へ行かないとうまく撮れないと思ったのと、岸壁を写野に入れたいと思っていたので頑張って下ってみる。
少し下ったところで、展望スペースの様に開けた場所があり、そこにカメラを設置し撮影した。


CLOUDNAUT-雲の旅人-

取り敢えず、天の川も何とか写ってくれた。街灯が暗ければ、正直もっと感度を上げられたのだが、その街灯のおかげで大地が、谷がくっきりと浮かび上がった。
普通なら合成しないとこんなには写らないから、これはこれで良かったかな?
と思うことにした。


CLOUDNAUT-雲の旅人-

やがて、月が上ってきた。空も少し明るくなり、撮影はタイムアウトとなった。


CLOUDNAUT-雲の旅人-

帰りの道すがら、月の出を確認した。

全く、今回の旅は太陽と月がベストタイミングで出てきてくれる。