骨折の記録その4
さて、右足にギプス。
松葉杖を使ってみた。
数歩歩くには、問題ない。
これが、病院を出て駐車場まで行くとなると、問題ありありだった。
松葉杖を舐めていた。イメージで簡単なものだと思いこんでいた。
実際使ってみると、とんでもなく自分が重い。
松葉杖は脇を乗せて使うものだと思っていたら、違うそうだ。
脇の下に挟んで使うと。
脇には大事な神経などがあり、脇を乗せてしまうとその神経を痛める可能性があるから、決して脇で乗らないで下で挟んでくださいと言われた。
握るグリップに体重がかかる感じだ。
これが重い。重いから痛い。
もっと簡単に移動できるものだと思っていた。
年齢も半世紀近いから、もちろん10代20代とは体力も違う。
学生時代にどこかで見た松葉杖の子をイメージしていたのかもしれない。
現実は数十メートル歩いただけで、手が痛いし息も上がる。
この息切れはのちに、救急搬送されることになるのだが、それはまた次のテーマで。
車の乗り降りにも苦労した。
我が家の車は比較的低いスポーツタイプ。助手席に乗るのは足から入る。しゃがむのもひと苦労だし、松葉杖を手放すタイミングも初めはわからずシドロモドロ。
片足では、少し膝を曲げるとか上下運動が難しい。これは明らかに加齢や筋力不足が原因。かと言って今から鍛えると言ってももう遅い。
家についてはいいが、玄関の数段の階段の登り方に戸惑った。
一番大変だったのは家の階段だ。
片足では上がれない。膝をついてハイハイのようにあがるのだが、膝をつくとすぐあざになり、数段でもう痛い。
しばらくはタオル片手に1段上がるごとに膝にタオルを当て進んでいた。
これは後にAmazonでちょうどよい膝当てを手に入れ改善された。
階段は上りだけではない。
下りもひと苦労だ。
下りは座りながら降りるスタイルだった。
まずは座りためにしゃがむ。
片足で、しゃがむ。
うぉ~とうなりながら。
キツいスクワット状態。
階段はこんな状態だから、なるべく使わないよう過ごすことになった。
その日は、帰宅後ソファで足を高くして休んだ。
折れた右足がじんじん痛んだので、処方された痛み止めでしのいだ
骨折の記録その3
骨折の記録その3
家の中で裸足で転んだのが良くなかった。裸足はあまりに無防備だった。
いつも履いているスリッパをなぜ履かなかったのか悔やまれた。
翌日、午前中から整形外科へ向かう。
すでに病院は混雑していた。
夫は、車の中で仕事をしている。
一人で待合室へ向かう。
忘れられているのかな、と心配になる頃にやっと診察に 呼ばれた。
結果は、骨折。
第5中足骨を縦に。
まるで割り箸のように。
スパッと。
さらに小指の付け根あたりは粉砕もしているようだ。
ギプス確定。
リハビリ室に行くよう言われた。
ギプスをいよいよつけるのね と思っていたら、まずは骨のズレを直します、と。
これ、子供の頃腕を骨折したときにやったことがある。恐ろしく痛い上にされるほうはなんの手応えもない地獄の時間だ。
ベッドに横になり、足を抱えられる。
暴れるほど痛いんだろうな〜と察した。
すると、施術するのは医師ではない、まだ初々しい女の子。カラコンが印象的だ。
おまけに施術するのを怖がっているのがわかる。
『◯◯さん、お手本見せて下さい』
と先輩であろう人に何度も交代を促していた。
先輩が施術開始を優しく促すも、確認やら質問していてなかなか始まらない。
それを聞いて、腹をくくった。
よし、新人さんの練習台になってやろう、と。
施術が始まると、案の定恐ろしく痛い。
なにせ触るだけでも痛い折れてる骨を、麻酔なしにこねくり回されているのだから。
先輩の指導を受けながら、一生懸命頑張る新人さん。
しかしいつまで経っても終わらない。
地獄の時間が終わらない。
流石に痛みに我慢ができなくなってきた。発狂寸前までこねくり回され、それは間違いなく拷問だった。
気がつけば、痛い〜!いつまで続くの!
と訴えていた。
普段、人に文句をほとんど言わないけど
このときばかりは言わずにはいられなかった。言わなきゃいつまででもこねくり回される恐怖すら覚えたからだ。
その後、もちろん骨のズレを直す施術は終わるのだけど。
すぐさま、やはり医師ではないリハビリ室のスタッフにギプスをつけてもらった。
折れたのは足の甲だけど、ふくらはぎの筋肉と連動して甲も動いてしまうのでギプスはふくらはぎからつま先までつけますね、と。
かかと付きとかの歩けるタイプのギプスではない。
折れた右足は着地不可のお達し。
包帯も外してはならないと。
当然、靴やスリッパは入らない。ギプス用のそれはそれはダサいサンダルを片方、購入することになった。
松葉杖の使い方を教わり、上手上手と褒められ、調子に乗る。
最後にもう一度レントゲンを取り、骨のズレが直ったか医師がチェックしてくれた。
素人目にはなんにも変わってないし、医師からもズレに対して感想は無かった。
ま、問題あったらなんか言われるでしょうからなんにも言われないということは問題無かったとして、良しとした。
松葉杖は病院からの貸出のため、保証金一万円が必要だった。
カード払いができないと言われ、現金が足らず車にいる夫に現金を持ってきてもらう。
さあ、ギプスと松葉杖の生活が始まった。
骨折の記録その2
2023年に骨折した記録その2
急いで出たインターホン。迂闊に足を捻り全体重が右足にかかった状態で崩れるように転んだ。
次第に腫れていく右足。
足の裏まで腫れているのがわかる。
このときすでに17時を過ぎていたので、病院ももう間に合わない。
それに、とても一人で行ける状態ではない。息子たちは家の中ではとても頼りになるが、外出は拒まれる。
それにもしかしたら明日には腫れも引いて歩けるようになるんじゃないかと淡い期待もあった。
夜、夫が帰宅すると『捻挫じゃないかな?』と言いながらも次の日午前中は仕事の調整をしてくれて、整形外科へ連れて行ってくれることになった。
もしかしたら骨折している可能性も捨てきれず、ギプスでもつけられたら入浴もままならないと思い、痛い足をそっと動かしながらもシャワーを浴び明日の病院に備えた。
足は寝る時も痛くて、寝返りどころか体を動かすこともできず、あまり眠れなかった。