ORANGEの備忘記録 -30ページ目

携帯を預けた日

その日、再び夫と子供達がお見舞いに来てくれた。

心配していた遠足も無事終わり、とても楽しかったと。

キレイな海の見える小高い山を登ったそうだ。
そこは退院後に一緒に登りに行ったが驚く程しんどかった。ただ、そこから見えた景色は本当に素晴らしい!

いいお別れ遠足になったことだろう。

夜には義母が家の事を助ける為に、遠方から来て下さるという。

いつも絶対にNOと言わない義母だから、頼りにしてしまう。だからお願いするのは本当に申し訳なかった。

長男の小学校の事は、さほど手がかからないが、幼稚園が大変だ。毎日予定が違い、持ち物も違う。お迎え時間もまちまちだ。

幼稚園は、役割も多く大変だった。

役員もしていたので、他の人に代わってもらった。恥ずかしくて、自分が入院中とは言えず、「怪我をしてしまって…、ちょっとお願いします」と言う勝手な言い分でも、幼稚園のママさん達は、心配してくれ役員の代行など、お願い事を快く引き受けて下さった。本当にありがたい。

ありがたいと思う気持ちに付随してお願いするたび、全うできなかった事がとても悔しかった。

これから幼稚園の送り迎えをしていただく義母が混乱しないよう、済ませられることはメールで連絡しまくった。

子育て中の1人がダウンすると、本当に大勢の大人にいろいろお願いし、予定を組み替え、代行してもらわないといけない。

自分の気の緩みで怪我をしたことを悔やんで反省した。

子供達はこのあと、駅までばあばをお迎えに行くんだと楽しみにしていた。

母の入院の不安を大好きなばあばが来てくれることで、紛らわせる事が出来るような気がしていた。

夫はこの時、私の携帯をスマホに変更すると言って、携帯を持って帰った。
それから5日間、私の通信手段、外部との接触は途絶えた…。

その時は、どのみち動けないし、検査やなにやらと意外と1日やる事があったし、DVD鑑賞もしたい。
携帯がなくても平気だと思っていた。

後に、凄く不安な事が起こるだなんて想像できなかった…。

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処置室の妖精

今日は、ギプスを巻いてもらう日だ。

処置室にベッドごと連れて行ってもらう。

胴体にギプスを巻くという想像が出来なかった。
起き上がれないのに一体どうやって?

ギプス自体は幼少期に骨折し、1度経験がある。
鮮明に覚えている。
ただし、何十年も前だ。医学の進歩と共に今からつくギプスは想像出来なかった。

すると、となりに置いてある処置用のベッドに移ると言う。

首だけチラリと動かして見ると、銅の部分がないベッド!
頭と、下半身しか置くところがないように見えた。

想像では、その穴から、ニュルンと体が滑り落ちるんじゃないかと不安になり、どうやってそのベッドに移るのか、わからない!

その処置室にいるベテラン看護師さん達、とってもおしゃべりで、何だか処置室の陽気な妖精?私には笑う余裕はなかったが。

その陽気な妖精達が、寝たきりの私からコルセットを外して、体を拭いてくれた。
次に、ギプスが直接肌に付かないようにチューブトップのようなネットのようなものを何人がかりかで、着せてくれた。

すると、真剣な口調で、「ギプスはどうしても痒くなるけど、かけないから、細工をしてあげる」と、ネットの下へ直接肌に触るようガーゼの長い紐状の物を入れてくれた。
その両端を結ぶとリング状になった。

「痒い時は、このガーゼをクルクル動かして、掻けるよ。胴体も一周出来るからね」

痒いのは本当に辛いから、夏じゃなくて良かったほうだ、このガーゼをつける前は、みんな本当に大変だったと、教えてくれた。

そういった、経験からくる看護もとてもありがたかった。

さて、いよいよその胴体のないベッドに移る時がきた。

まずはその場でうつ伏せになる。これだけでも私は大仕事だ。

移るのは、医師と妖精達がやってくれた。重たい私を持ち上げる気合いの言葉は「せぇの、どっこいしょぉ!」

処置用ベッドに移してもらったものの、私は怖くて、腕に変な力が入ったままだ。だって胴は何もないのだから。

手は顎の下に収めるよう指示され、軽いパニックになって
「えっえっ!?」と慌てていると、

落ちたりしないから大丈夫と。

そんな感覚になっている事もお見通しだった。

おそるおそる手を顎の下に置くと、確かに落ちやしない。当たり前だ。落ちるわけがない。落ちるような所に誰がわざわざ移動させるか。

見た目がちょっと見慣れず、変にニュルンと落ちる想像をしたのが悪かった。

でも、やはり骨折してまだ日が浅い。
少しでも腰が反る感覚が怖かった。

医師は少し腰が反ったような状態で固定する、と言った。

仕方ない。怖い気持ちは、グッとこらえ、ギプスを巻いてもらった。

脇の下から、腰骨の上まで覆ってあった。

特に腰骨や脇の下は、少しでも当たるようなら直ぐに言って欲しいとギプスを巻いてくれた医師に言われた。

「少しくらいへーき」と思っていると、いつの間にか炎症がおきて、治りにくいからだそうだ。

その後、数回、ギプスの当たるところは削ってもらった。




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入院初日

午後になると、夫が子供達を連れて、いろいろ入院の支度を持ってきてくれた。

ボックスティッシュにウェットティッシュ。
飲み物も飲めないので、ペットボトルにキャップのように付けられるストロー、。うん、どれも必需品だ。

昨日、骨折してから、とにかく地元まで戻って来ることが先決で、いざ入院の支度だなんて夫に指示する余裕もなかった。
だから、よく気が利くなぁと感心した。

それから、退屈しのぎにとポータブルDVDプレイヤーと「ONE PIECE」のDVDをたくさん。

しかしながら、まだ発熱でしんどい私は、それを楽しむ余裕になかった。

夫と一緒に子供達も来ていた。
昨日は遅くまで食事もとれなかったのに、今日は入院準備で彼らも夫にくっついて来てくれた。
さすがに今朝はゆっくり起きたようだ。

住まいの近くに小さなコンビニもあるし、早朝から開いている彼らのお気に入りのパン屋さんもあるから、朝ご飯には困らない。

今、一番気掛かりなのは、翌日の次男の遠足だ。卒園前の思い出の遠足。

これは、夫が休んで対応してくれるとの事だった。申し訳ない。

しかし、夫もそれ以上は休めない。その後の生活は実家に頼るしかなかった。

幸いに、義母が駆けつけてくれるという。本当にありがたい。

面会時間もそこそこに、彼らは帰った。
明日の慣れない準備がある。

しばらくすると、痛みと熱でどうにもしんどくなり、ナースコールした。
痛み止めを飲ませてもらい、吐き気をもよおす程苦しいコルセットを一瞬だけ外してもらった。

翌日には、コルセットは外し、ギプス
をつけるそうだ。
ギプスのほうが、今のコルセットよりだいぶ楽になるから、もう少しの辛抱と看護師さんに励まされた。

お薬も効いてきて、少し安らかな気分になった。








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