こんにちは、培養部門です。
今回は子宮筋腫について説明します。
不妊症の原因のひとつに子宮筋腫があります。子宮筋腫とは、子宮を構成している筋肉でできた良性腫瘍のことで、自覚症状がない場合も多く、健康診断や婦人科がん検診などで偶然指摘されることもしばしばあります。原因は明らかにされていないですが、女性ホルモンによる影響が大きいとされています。症状としては、月経痛がひどい、月経量が多い、貧血症状などが挙げられます。治療を必要としない場合もありますが、不妊、流産の原因になりうる場合は治療が必要です。
子宮筋腫があるからと言って必ず不妊症になるということはありません。子宮筋腫のある場所や大きさ、種類によっては自然妊娠が可能です。子宮筋腫があると診断された方は定期的に医師の診察を受けていただくことが大切です。
子宮筋腫が子宮内膜を圧迫し、子宮内膜に変形がみられる場合は、妊娠不成立や流産の原因になりうる可能性があるため、子宮筋腫を摘出する外科的手術を必要とする場合があります。子宮筋腫の手術を受けた後は、子宮を修復するために一定期間( 3~6ヶ月 )の避妊が必要になりますが、妊娠率は向上いたします。
不妊治療中の子宮筋腫を有する患者様を対象とした子宮筋腫摘出後の妊娠率についての論文では、子宮筋腫を摘出する前に反復で妊娠不成立である患者様を含めた54人のうち、63%の方が子宮筋腫の摘出後は妊娠されたと報告されています。子宮筋腫が原因でなかなか妊娠に至らない患者様には子宮筋腫の摘出は有用な方法であると考えられます。
月経痛が辛い方や、月経量について不安がある方は、ぜひ当院にご相談ください。
参考文献:
日本婦人科腫瘍学会HP
原周一郎ら,当院における腹腔鏡下子宮筋腫核出の不妊治療成功率に与える影響についての検討,日産婦内視鏡学会,第35号1巻,2019April
採卵された方や不妊治療卒業メッセージとしてたくさんの方からメッセージをいただいております。
是非、ご覧いただければ幸いです。
お知らせ
当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。
PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。
↓詳しくはこちらをご覧いただければ幸いです。
※PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。
PRP療法とは再生医療の一つです。
様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。
子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。
PGT-A、PRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院の不妊外来診察を受診ください。
文責:培養部門
〔生殖医療専門医〕古井憲司