こんにちは培養部門です。

 

不妊治療が保険適応となりました。よって、どの施設においても治療の費用は保険点数が決まっているため一律ではあります。しかし、治療の成績はクリニックによって異なります。

その理由は、医師や培養士の技術レベルはもちろんのこと、使用している機器や治療に対する考え方に違いがあるからです。

不妊治療を行うクリニックによって治療成績が異なる

 

特に顕微授精はクリニックの考え方、設備、そして培養士の技術に大きく影響される技術です。

当院の顕微授精の特徴

 

採卵から顕微授精を行うまでの時間の違いも治療成績に影響すると言われています。

採卵から顕微授精を行う時間間隔を調整して、採卵後何時間に顕微授精を行うとベストなタイミングであるのか治療成績を比較した論文があります。

 

 

受精率は採卵から顕微授精の時間が経過したほうが上昇する傾向にあったが、Day3利用率やDay5胚利用率は採卵後2時間から3時間で顕微授精をしたグループで高い傾向にあった。( 胚利用率:妊娠の可能性ある胚の割合 )

論文によると妊娠率に差がないという観点から、採卵から顕微授精のタイミングを厳密に管理する必要はないかもしれないと記されておりますが、これまでの知見と合わせて考えると、妊娠の可能性のある胚を一つでも多く得るには、採卵後2時間から3時間の顕微授精がベストなタイミングである可能性が高いと言えます。

当院は、患者様の治療歴にもよりますが、採卵後2時間で顕微授精を行っています。

 

治療を行うクリニックによって、機器や培養液も違います。

自施設の機器や培養液の特性を理解しているか多く論文や学会による正しい知識の収集ができているか治療成績を向上させるためには非常に重要です。

クリニックママはさらに良い治療を心掛けて情報収集、情報発信をしてまいります。

 

参考:L T M Vandenberghe et al. Expanding the time interval between ovulation triggering and oocyte injection: does it affect the embryological and clinical outcome?Human Reproduction, Volume 36, Issue 3, March 2021, Pages 614–623.

 

クリニックママのホームページ

 

不妊治療卒業メッセージとしてたくさんの方からメッセージをいただいております。

是非、ご覧いただければ幸いです。

不妊治療卒業メッセージ

 

お知らせ

 

当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。

PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。

 

詳しくはこちらをご覧いただければ幸いです。

PGT-A 染色体異数性検査 )の要件が変わりました

 

PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。

 

当院でPRP療法を行うことができます。

PRP療法とは再生医療の一つです。

様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。

子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。

 

PGT-APRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院の不妊外来診察を受診ください。

 

文責:培養部門

 

 〔生殖医療専門医〕古井憲司