こんにちは、培養部門です。

 

今回は移植時の子宮内膜について記された論文を説明します。

凍結融解胚移植の際は、エストラジオールを補充することで子宮内膜が厚くなり、子宮内膜が妊娠しやすい状態に近づきます。

子宮内膜が十分な厚さになりましたら、プロゲステロンを投与し、通常でしたら5日目に、ERA検査後でしたら適した時期に移植を行います。

この論文では、移植当日の子宮内膜が薄くなっていても( 緊密化していても )、妊娠率には影響しない、むしろ向上したと記されています。

緊密化していることはプロゲステロンが子宮内膜に良く作用していると捉えることができます。しかしながら、子宮内膜の厚さは胚移植の妊娠率に重要な要因の一つです。

この論文にも、プロゲステロン投与直前の子宮内膜が8㎜以上であれば、緊密化していても妊娠率が向上することが記されているのですが、プロゲステロン投与直前の子宮内膜が8㎜に満たない場合は、緊密化してもしていなくても20%前後の低い妊娠率でありました。

 

子宮内膜厚は子宮形状や測定する角度によって若干ですが変動することがあります。

プロゲステロン投与直前の子宮内膜に十分な厚みがあれば、移植当日の子宮内膜が若干薄くなっていても問題ないと考えます。もちろん子宮内膜が厚くなっていても問題はございません。

 

クリニックママのホームページ

 

不妊治療卒業メッセージとしてたくさんの方からメッセージをいただいております。

是非、ご覧いただければ幸いです。

不妊治療卒業メッセージ

 

お知らせ

 

当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。

PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。

 

PGT-A対象者

・直近の胚移植で2回以上連続して臨床的妊娠が成立していない方

・直近の妊娠で臨床的流産を2回以上反復している方

・夫婦いずれかにリプロダクション(生殖)に影響する染色体構造異常を有する方

 

PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。

 

当院でPRP療法を行うことができます。

PRP療法とは再生医療の一つです。

様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。

子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。

 

PGT-APRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院理事長または院長の外来診察を受診ください。

 

文責:培養部門

 

 〔生殖医療専門医〕古井憲司