こんにちは、培養部門です。
今回は、高プロラクチン血症について説明します。
プロラクチンとは、日本語では乳腺刺激ホルモンと呼ばれており、妊娠中から産褥期(さんじょくき:出産後、体が妊娠前の状態に戻るまでの期間)に多く分泌するホルモンです。乳汁の分泌を促すことや、排卵を抑制する働きがあります。
妊娠中から産褥期に赤ちゃんや母親にとって効果的に働くホルモンですが、妊娠前に体のプロラクチン濃度が高いと排卵に必要なホルモンの分泌が阻害される可能性が高くなります。つまり、妊娠しにくい状態になります。妊娠前に体のプロラクチン濃度が高い状態を高プロラクチン血症と言います。
原因として、普段使用している薬剤によるもの、脳下垂体腫瘍によるもの、過去の妊娠や分娩に起因するものと様々ですが、原因がはっきりしない原因不明の場合が多いとされています。
原因不明の高プロラクチン血症でも多くの場合は、お薬で体のプロラクチン濃度を下げることができ、妊娠から出産への可能性を高めることができます。
検査には月経中に採血する必要があり、当院の血液検査でプロラクチン濃度を調べることができます。
しかしながら、不妊原因は高プロラクチン血症のみとは限りません。同じタイミングで卵巣の状態や子宮の状態、パートナーの精液などの検査を行うことが重要です。
検査結果をもとに、たくさんの治療方法の中から一人ひとりに合った効果的な治療方法を提案させていただきます。年齢に関わらず、早めの検査が重要です。
不妊治療卒業メッセージとしてたくさんの方からメッセージをいただいております。
是非、ご覧いただければ幸いです。
お知らせ
当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。
PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。
・直近の胚移植で2回以上連続して臨床的妊娠が成立していない方
・直近の妊娠で臨床的流産を2回以上反復している方
・夫婦いずれかにリプロダクション(生殖)に影響する染色体構造異常を有する方
※PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。
PRP療法とは再生医療の一つです。
様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。
子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。
PGT-A、PRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院理事長または院長の外来診察を受診ください。
文責:培養部門
〔生殖医療専門医〕古井憲司