こんにちは、培養室です。
今回は、当院にて早発卵巣不全(POI)と診断された方で妊娠、出産できた患者様をご紹介します。
前回説明しましたが、早発卵巣不全(POI)は40歳未満の女性で卵巣が正常に機能しなくなり、定期的に排卵しなくなることを言います。卵巣内の卵胞数および卵子数が著しく少なく、自然妊娠することが難しい状態にあります。
しかし、排卵誘発を行って採卵し、受精させ移植を行えば妊娠、出産することが可能です。
こちらが実際の Case report です。
2018年 : 1回目の採卵はロング法にて排卵誘発を行い、顕微授精を行いました。 1個の卵子を採卵することができ、1個の卵子が受精しましたが胚の発育不全により培養中止。
2018年 :2回目の採卵はショート法にて排卵誘発を行い、顕微授精を行いました。 1個の卵子を採卵することができ、1個の卵子が受精しました。 1個の受精卵は胚盤胞まで発育し、凍結保存を行いました。
2018年 :3回目の採卵はショート法にて排卵誘発を行い、顕微授精を行いました。 1個の卵子を採卵することができ、1個の卵子が受精しました。 1個の受精卵は胚盤胞まで発育し、凍結保存を行いました。
凍結することができた胚盤胞を用いた融解胚移植の結果です。
2018年 : 1回目の融解胚移植にて妊娠判定陰性。
2018年 : 2回目の融解胚移植にて妊娠、出産。
このように、早発卵巣不全(POI)であっても適切な排卵誘発方法や治療を行うことで妊娠、出産をすることができます。
将来を見据えて、自分の身体の状態を調べることが非常に重要です。
前回のCase reportはこちら
お知らせ
当院はPGT-A実施施設として日本産科婦人科学会に承認されています。
PGT-Aを行うことによって、複数回の妊娠不成立や流産を繰り返す方に妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。
・直近の胚移植で2回以上連続して臨床的妊娠が成立していない方
・直近の妊娠で臨床的流産を2回以上反復している方
・夫婦いずれかにリプロダクション(生殖)に影響する染色体構造異常を有する方
※PGT-A対象者の方で当院に胚盤胞を凍結保存している場合、採卵を行わずに保存してある胚盤胞を用いてPGT-Aをすることができます。
PRP療法とは再生医療の一つです。
様々な医療分野でPRP治療は行われており、不妊治療分野ではPRP療法を行うと子宮内膜が厚くなるという報告が専門の学会から報告されています。
子宮内膜が厚くなると、移植した胚の妊娠率、出産率が向上します。
PGT-A、PRP療法をご希望の方、ご興味がある方は当院理事長または院長の外来診察を受診ください。
文責:培養室
〔理事長〕古井憲司