CLEOPATRA Ⅷ  -32ページ目

ロヒール・ファン・デル・ウェイデン


あぁぁぁ寒い。


こんな寒い夜は美術にでも触れましょう。




ロヒール・ファン・デル・ウェイデン「十字架降下」


この画家については絵が好きというわけではなく、名前の響きが好きなのだ。


ということはさておき、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンはヤン・ファン・エイクと同じ時間に生きたネーデルラントの画家。


この絵画はベルギーのルーヴァンの聖堂に飾られた祭壇画だった。15世紀、この絵が飾られた時代のネーデルラントは経済的に裕福で、北方ルネサンスというイタリアルネサンスとは違ったより生き生きとした描写を極めた動きがみられた時代だった。


貧しい者も、富める者もこの時代はみな絵画を所有していた時代。小さなポケットサイズの絵画も流行するほどである。なぜこんなに絵画が人々にとって身近であったかというと、それは祈りのためだった。ベットの近くに立てかけて、本当にポケットに入れて・・など祈念画と呼ばれるそれは、このように売れっ子画家たちのタッチをまねたものが出回っていた。当時絵画は板に描かれるのが常であったが、祈念画のように安価なものはキャンバスに描かれていた。今でこそキャンバスが主流であるがこうして安価で持ち運びにも便利であることからキャンバス画は主流となっていく。


当時ネーデルラントの売れっ子画家の絵画は注文によっていた。注文主は一人ではなく、何らかの組合や団体であったことが多くこの絵画もルーヴァンの射手組合の注文であった。


この絵画を見て何を感じるか。


イエスの死による悲しみと、混乱。それが目前にあるかのように感じられないだろうか。

死せるイエスから流れ落ちる血、表情の描写、イエスと同じ大勢で倒れこむ聖母マリア、力のこもったポーズをとるマグダラノマリア。描写ではファン・エイクには劣るものの、血、涙の描写は意図的にリアルに描かれており、また、一人一人のポーズの取り方が言うまでもなく目を引く。

この絵を前にした人々は祈るというより、マリアたちと深い悲しみを共有したのではないだろうか。




ヘンリー8世③

ヘンリー8世②