M.M.選定アルバムランキング’69~’79を聴いてみる 15位~11位 | 偽クレモンのブログ

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〇15位 クリムゾン・キングの宮殿/キング・クリムゾン

キング・クリムゾンは、1968年にロンドンで結成されたプログレッシブ・ロックの象徴的バンド。その1stアルバム。キンクリ第一期(1968~1974)は私の中高時代の洋楽最重要アイテムの1つで、小コミュでのシェア・バイイングの対象だった。私の担当アルバムは「アイランド」と「太陽と戦慄」。図らず、この2枚がキンクリの私的1,2フィニュッシュとなる幸運。以下の私的キンクリ・ランキングは、「リザード」、「ポセイドンの目覚め」、「レッド」「クリムゾンキングの宮殿」「暗黒の世界」と続く。そうなのだ。M.M.でキンクリ最上位に選定されたこのアルバムの私的評価は相対的に低い。もちろんロックアルバムの中では上位の方だが。

 

私の評価が低い理由は、中心メンバーであるロバート・フリップ自らが語り落している。曰く’このアルバムは中学生を騙して感動させるのに最適な音楽だ(大意)’。中坊の頃にこのエピソードを読んだ時は’げっ!なんて奴!’とは思ったが、同時に腑に落ちまくった。とは言っても、私も最初は騙されかけた。キンクリ初体験は小コミュ外のオケハザマ君から借りたベスト盤「新世代への掲示」だったが、その中の本アルバム表題曲’クリムゾン・キングの宮殿’を家具調ステレオで聴いた際、サビの♪コート・オブ・ザ・クリムゾン・キ~~ン♪で全身に鳥肌が立った。しかし耳年増だった私は後に、あ、ここが中坊がコロっと騙されるポイントだったか!と気づくのであった。後、’エピタフ’に騙されている奴も多かったが、私には最初から通用しなかった。

 

なんかケチつけてるが、繰り返すが、ロックアルバムの中では上位である。このアルバムから1曲選ぶと体調・気候に関わらずこれになる。渋谷陽一氏もキンクリと言えばラジオでこれしか掛けなかったと記憶する。邦題は’21世紀の精神異常者’。2年前のニセク檸檬のアルバムには’2021年のモラトリアム人間’と敬意を表して銘打った。

King Crimson - 21st Century Schizoid Man (Including "Mirrors") (youtube.com)

この曲はA面1曲目。何も知らない中学生は針を落として直ぐ、脳みそをグチャグチャにされて鳥肌の立つ暇もないって寸法だ。ロバート・フリップの目測はそうなのだろう。しかし残念なことに、私は事前にラジオでこの曲を聴いてしまい、そこで既に脳をかき回された後だった。もちろん大出力のステレオで聴けば一入以上だが、それでもラジオで聴かなきゃよかったと後悔したものだ。

後に、この曲のライブテイクを何種類か聴いたが、実にライブ向けの曲で、結果、テイクとしてはスタジオ盤が最下位である。私は本来、スタジオの緻密な音の’積み重ねと移動’が好きな向きだが、この曲に限ってはライブ感が命である・・・と思っていたが、しかし、久しぶりに聴いてみて感づいたのは、もしスタジオテイクがインプロヴィゼイションの要素ゼロで、スタジオで緻密に構築された産物だったとしたら?ライブとは別の曲として聴くべきで、単に私の聴き方が不足していたのでは?他の曲も同様に聴きこみ不足かもしれん。もいっぺん、中坊に戻って通して聴いて騙されてみようかな。

 

〇14位 マーキー・ムーン/テレヴィジョン

これがこんな上位に食い込むとは意外。たぶんパンク・ニューウェーブ勢の最上位だろうな。テレヴィジョンは1973年にニューヨークで結成され、1977年アルバムデビューしたロックバンド。その1stアルバム。

私がテレヴィジョンの存在は知ったのは中坊末期、パンクがM.L.誌で紹介された時だ。ニューヨークパンクの括りでトーキングヘッズ等と共に写真でのみ紹介されていた。M.L.故、文章は刺身のつまほども存在感なかったと察せられる。音に触れたのはそれから数年後、渋谷陽一氏のラジオによる。’アメリカのロックでこんな湿り気のある音は目づらしい(大意)’と紹介されたのは、収録曲の’エレヴェイション’だった。米はカラっとして、英は(いい意味で)湿り気がある、というのが当時の通例だった。私は気に入ってレコードを購入。思えば、パンク・ニューウェーブとして紹介されたバンドで、一番最初に入手したレコードだった。ではA面1曲目を。

Television - See No Evil (youtube.com)

良い。いろいろ観念的なことを語られるバンドだが、私にとっては変態的ギターバンドである。ある種不安定とも感じる左右のギター・アンサンブルがたまらない魅力だ。リチャード・ロイドの変態ギター・リフがバンドサウンドの要で、アルバム通して聴き手を落ち着かせない。それが賞味期限の長さに直結していると感じる。今聴いてもまったく陳腐化していない。トム・ヴァーラインのギターソロも実に乙。他の曲も全て乙。

 

〇13位 トランスフォーマー/ルー・リード

ルー・リード(1941~2013)はブルックリン出身のシンガー・ソングライター、ギタリスト。1965年に出現したヴェルヴェット・アンダーグランド(以下V.U.)の主力として、一部のマニア・評論家等に対しては名を馳せた。しかし一般的には無名で、V.U.の1stアルバムは初回プレス3万枚しか売れなかったとのこと。しかし後にブライアン・イーノはこう言った。’V.U.の1stを買ったのたった3万人だったが、その3万人は全員バンドを始めた’。あぁ、これこそパンクの精神である。ロックをぶち壊すのがパンクではない。選ばれない人々が新しい何かを生み出すのがパンクじゃ!

閑話休題。’トランスフォーマー’は1972年にリリースされた2ndソロアルバム。ルー・リードにとって初めて’売れた’アルバムとなった。私が手に入れたのは’80年前後で、いまでも愛聴している。1曲選ぶとなると、これか・・渋谷陽一氏もラジオでルー・リードと言えばこれしか掛けなかった。でも名曲だから仕方ない。私もへそ曲がりなので、世間で評判高い曲は避ける傾向にあるが、この曲は抵抗できない。

Lou Reed - Walk on the Wild Side (Official Audio) (youtube.com)

良い。イントロのベースラインを考えた時点でもう優勝である。これはウッドベースとエレキベースのハーモニーである。こりゃ見事なやったもん勝ちで、後で同アイデアをどんなにフレーズを変えて演ったって、あ、ワイルドサイドをパクってる!と言われるのが落ちである。にしても、極シンプルで聴かせる曲。実はそれが一番難しい。そして色あせない。何より、ルー・リードは所謂、米っぽくない。奥さんのなったローリー・アンダーソン氏も懇意となるまではルーを英国人と思っていたそうな。

 

〇12位 明日なき暴走/ブルース・スプリングスティーン

これこそ意外だなぁ。M.M.でこんなに評価されるのか・・・私は金輪際まとも関わったことがない。聴かず嫌いではない。

ブルース・スプリングティーンは、1949年ニュージャージー出身のシンガー、ソングライター。1975年にリリースされた3rdアルバム。気が進まないが、聴いてみる。

Born to Run (youtube.com)

レビューに書いてあった本人の談。ディランのような歌詞、フィル・スペクターのようなサウンド、ディアン・エディのようなギター、ロイ・オービソンのような歌と目指した・・・・めっちゃ腑に落ちた。私に合うはずがなかった。彼の目指すもの全てが嫌いだった。なるほど!

 

〇11位 彩エイジャ/スティーリー・ダン

スティーリー・ダンは1972年からニューヨークを拠点に活動を始めた、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーによるデュオ。とはいってもフォーク二人組ではなく、多彩で多才なゲストを予備、米ブラックミュージックをベースにしながら、ヒネリまくりネジリまくった高度なアンサンブルを構築する。そして、グラミー賞を受賞する懐の広さと、マニアを虜にする変態性を兼ねた。稀有なバンドである。音楽を志す者は程度の差はあれ一度は通り過ぎるているではないか?と思われるほどの、ミュージシャンズミュージシャンの前頭筆頭である。エイジャは1977年リリースの6thアルバム。私も持っている。最近は聴いてなかった。ちょっと長いけど表題曲を。

Black Cow (youtube.com)

良い。普通ならこの手は私の苦手とするところだが、あまりの品質の高さにねじ伏せられる感あり。ヘビメタでもJAZZでもそういうことが稀にある。ドラムはジジメタルジャケットの棟梁をも虜にしたスティーブ・ガット、ベースはチャック・レイニー、サックスはウェイン・ショーター。腕っこきのアンサンブルである。謎のコード展開の曲調と、地味な超絶技巧の演奏との、不可思議なコラボ。このアルバムは全米3位まで上がりバンドで一番のセールスを上げたアルバムとなった。まだまだ米のリスナーにも聴く耳があったころの話だ。ちなみにジャケットは日本の誇るスーパーモデル、山口小夜子さんだ。

 

今週はこれまで、今日は冬らしい日ですが、年末が暖かくなるみたいで、ガッカリだな。年末年始は寒くないと年を越した気にならねぇよ。