M.M.誌年間ベストアルバムを無理くり聴いてみる 1989年 弐 | 偽クレモンのブログ

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〇日本のロック・ポップス それから/JAGATARA

はい、持ってます。JAGATARAは1979年から活動する日本のロック・バンド。当初はヴォーカルの江戸アケミの過激なステージパフォーマンスばかり珍しがられて色物扱いされており、音楽の評価が付いていってなかった。私も銭湯に置いてあったアサヒグラフで、額に剃刀を当てて流血したアケミの写真を観て、取るに足らないバンドだと決めつけてフォローしなかった。が、その後、過激なパフォーマンスを止め、ホーン、コーラスを加えた大所帯でアフロビートに傾倒し、真っ当なバンドとして一目置かれるようになる。私も発見が遅れたことを後悔した。このアルバムは4thにしてメジャーデビュー盤。このアルバムの音は見つけられなかったので、収録曲のライブVerでどうぞ。

JAGATARA-TSUNAGATTA SEKAI - YouTube

良い。ライヴはなおよい。フェラ・クティのアフロビートを手本にしているのは間違えないが、日本人の肉体に落とし込んでいるところが目出度い。素晴らしいグルーブの洗練された演奏と、不器用だが強いヴォーカルのコントラストも良い。リズムギターに特に注聴してほしい。

このアルバムをリリースした1年後、江戸アケミは自宅の浴槽で溺死。バンドは解散。江戸アケミ没後30年の2020年に、残ったメンバーに新メンバーを加え、JAGATARA2020として限定的に復活した。

 

〇歌謡曲 愛がとまらない~Turn it into love/Wink

WINKは1988年から1996年まで活動したアイドルデュオ・・・って書くまでもないか?で、どうやら歌謡曲部門のみ、シングル盤の選定のようだ。ま、そりゃそうか・・?これは3rdシングル。では、どうぞ。

愛が止まらない ~Turn it Into Love~ / Wink【Official Music Video】 - YouTube

この頃、WINKは快進撃をしていた。歌謡界はプロの作家性を失いつつある時期だった。この曲は聴いた通り、所謂デジタルビート。プログラムすれば人がいなくても再生できる類だ。これは当時のロック・ポップス界で発明された手法であり、歌謡的な作家性とは無縁な音。この頃は新鮮に聞こえたのかもしれんが、今となっては薄っぺらい。スクリッティ・ポリッティの功罪。

 

〇ソウル/R&B/ブルース RaW/アリスン・ウィリアムス

知らない。アリスン・ウィリアムズは1962年、ニューヨーク生まれのシンガー。その1stアルバム。その後、1992年に1枚、2004年に1枚、合計3枚しかリリースしてない。アデルみたいなことになったのか?では、聴いてみる。

Alyson Williams - Just Call My Name - YouTube

いや~、もう反りが合わない、というしかない。もし声がものすごく好きだったら、サウンドを無視して浸れるかもしれんが、残念ながらそうでもない。

 

〇ラップ 3フィート・ハイ・アンド・ライジング/デ・ラ・ソウル

名前は知ってる。デ・ラ・ソウルは1988年にニューヨックで結成されたユニット。現在も活動しているらしい。その1stアルバム。じゃ、聴いてみよ。

De La Soul - Freedom Of Speak (We Got Three Minutes) - YouTube

聴ける。アリスンより全然面白い。たぶん、彼らが’60年代、’70年代を下敷き、というか料理しているからだろう。他の曲もいろいろ聴いてみたが、どれもコンパクトで音にユーモアがあり良かった。地下鉄通勤で聴いたら気持ちよさそうだ。

 

〇レゲエ Style&Fashion/パパ・サン

知らない。パパ・サンは1966年キングストン生まれのレゲエシンガー。それ以上の情報なし。

Papa San - Style & Fashion - YouTube

ダンスホール寄り?といえばいいんですか?これだったらボブ・マーリィのほうが随分と好きだ。

 

〇ラテン ジュ・ウヴェ/マラヴォワ

持ってる。一時期、日曜の朝は必ずこれを掛けてた。マラヴォワは1969年にマルチニークで結成された公務員バンド。マルチニークとは、眠っているナポレオンが枕元にある夜食用のチーズの匂いに気づき言った、’勘弁してくれジョセフィーヌ、今夜は疲れているんだ・・’・・・という小話で有名なジョセフィーヌの、生誕の地であるフランス領だ。

マラヴォワは、マルチニークの伝統的な音楽を、キューバのチャランガというスタイルに落とし込んで優雅な演奏を聴かせる素晴らしいバンド。チャランガはヴァイオリンが肝である。メンバーは公務員だけに(?)流動的だが、’90前後は絶頂期。では、どうぞ。

Malavoi - Cyclone - YouTube

この曲はマルチニークの伝統とは無関係で、キューバのチャ・チャ・チャを下敷きにした曲。チャ・チャ・チャと聞くと寛平ちゃんの’ちゃ、ちゃマンボ、ちゃちゃマンボ’が浮かぶ人も多いと思うが、そうではなくて、キューバのソンを下敷きしてバイオリンアンサンブルを加えてポップに仕立てたアンサンブルだ。古ではオルケスタ・アラゴーンが名高い。マラヴォワもアラゴーンを手本にしているに違いない。実の優雅でかつ力強く、大衆性もある懐深い逸品。この頃、ブティック等でもこのアルバム収録曲がよくかかっていた。この時のヴォーカリストが交通事故?か何かで亡くなり、一時勢いが失せたようだが、その後も続いているようだ。情報はバブル崩壊とともに、めっきり入ってこなくなった。

 

〇アフリカ コヤン/サリフ・ケイタ

もってる。が、サリフは苦手なのであった。完成度が高すぎる。ユーモアがない。ピーター・ゲイブリエルと同じ匂いを感じる。

サリフ・ケイタは1949年、マリ出身のシンガー、ソングライター。アフロの伝統をモダンに構築したインターナショナルポップを確立し、この時期、世界的に評価された。来日公演では、先のJAGATARAが前座を務め、その時、江戸アケミ氏は、’偉大なサリフの前に、少しだけ私たちに時間をください’と言って演奏を始めた・・・うぅ、泣ける。

あ、さて、このアルバムはメジャー2枚目。では、どうぞ。

Fe-So - YouTube

このアルバムで一番好きな曲を選定した。というか、後の曲はダメなのであった。この曲は一番マリを感じる。程よい西欧とのチャンプルー加減。あとの曲はインターナショナルを意識し過ぎ、というか、迷走していると、個人的には思う。プロデューサが阿保だったんだと思う。

 

〇インターナショナルポップ 愛しきベイルート/フェイルーズ

しっかし、ラテンとアフロとインターナショナルポップと、所謂ワールドミュージック3本立てとは!時代を反映している。2000年代なんかワールドミュージック1本化の年もあったな、確か。

で、持ってます。フェイルーズは1935年、レバノンはベイルート生まれのシンガー。アラブ圏で最も知られている大歌手の一人(この、最も~1人、の用法は間違えではない!。一番最高!、も間違えではない!)。このアルバムは、悲惨な内戦が続いていた当時のベイルートを愛と悲しみで歌い上げたコンセプトアルバム。サウンドは、フェイルーズを知っていた人ならビッツラするほど、西欧のポップスの手法を大幅に取り入れたもの。私はこのアルバムをそれほど好きではない。中途半端なインストが数曲入っており、それが激詰まらないから。どうもフェイルーズの息子がプロデュースしているらしいが、やっぱり世襲はダメだよフェイルーズさん。。リンクするのはタイトル曲。このアルバムの歌もの中一番詰まらないが、これしか見当たらないので仕方ない。

FAIRUZ _ LE BEIRUT - YouTube

しっとりとした歌声は味わえるが、アラブ臭が希薄。

フェイルーズのアルバムは数枚もっていて、一番好きなのは、1950年代のベスト盤で、なかむらとうよう師の最後の仕事と思われる’アーリー・ピリオド・オブ・フェイルーズ’だ。アラブ臭濃厚だがサウンドは洗練され、通作仕様の曲も多数含まれて、実に素晴らしい。今も購入可能なので、アラブが好きな人はぜひ。

 

1989年は以上。知っているアルバムが多すぎて、いまいちだった。