音楽について グッときたカバー5曲 | 偽クレモンのブログ

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他人が既に発表済の曲を取り上げるカバー曲。まんまコピーしてもいいが、それじゃ能が無い。とは言え、ヘタに変えてオリジナルを台無しにするのは人で無し。多くの歌手・バンドが手軽に演る(ように聴こえる)が、実は難しいのがカバー曲。じゃ、数十年間音楽を聴いてきてグっときたカバーを5曲取り上げたい。ベスト5というわけではない。ちょっと前にキンクス括りで同じことやったが、ま、気にしない。

 

まずは、ポストパンクの時代に現れた夫婦コンビ(活動中は入籍していなかった)エブリシング・バット・ザ・ガール(以下ETBG)の’ナイト・アンド・デイ’。ETBGは♂ベン・ワットと♀トレイシー・ソーンという元々個別に活動していた才能ある二人が心身共に合体したディオ。デビュー当初はネオアコの旗手的存在で、アコースティックなサウンドにジャズやブルースや英フォークや、様々な味付けをした楽曲をリリースし、私も好きだったので4thアルバムまでは持っている。

一方、’ナイト.アンド.デイ’は、20世紀初頭の米の作曲家、コール・ポーターの作。ミュージカル用に書き下ろされた曲で、劇中ではフレッド・アステアが唄い踊る。その後に様々な人がカバー・リリースしている。ビリー・ホリディとか、フランク・シナトラとか。所謂スタンダードナンバーの類で、本来カバーもへったくれもないのだが、ETBGのテイクは、これぞカバーの鏡!ともいうべき出来なので取り上げる。

ETBGのテイクは、チェリー・レッド・レーベルの企画モノとしてリリースされた。私が初めて聴いたのは渋谷陽一氏のラジオ。この曲を聴いたエルヴィス・コステロは狂喜乱舞した、というエピソードを添えてオンエアーされた。では、どうぞ。

Night and Day - YouTube

 

良い。オリジナルのリズムはブンチャ、ブンチャという古のハネる二拍子。ほとんどのカバー曲がそのリズムを踏襲していたのに対し、ボサ・ノーヴァのバチーダ風リズムを採用したのは大いに乙。ベン・ワット偉い!私もこの曲1発でファンになったのであった。で、先に書いたようにしばらくフォローしたが、次第に大仰なダンスバンドに移行したので止めた。らう~ふ師匠に言わせると、全てトレイシー・ソーンのせい。トレイシー・ソーンは下げ○○じゃ!とのこと。が、しかし、ベン・ワットも2000年にETBGの活動停止後はダンス音楽まっしぐら。どちらもどっちもだったのやもしれん。

では、オリジナルを。1934年の「コンチネンタル」の1シーン。この映画がフレッド・アステアの出世作。当然のことながら、ダンスも素晴らしい。

Cole Porter´s Day and Night by Fred Astaire & Ginger Rogers - YouTube

 

続きまして、ご存知セックス・ピストルズの、’ステッピング・ストーン’。ピストルズの説明は無用ノ介。’ステッピング・ストーン’はモンキーズのテイクがオリジナルだと思っていたが、そうじゃなかった。作者はトミー・ボイス&ボビー・ハート。彼らがモンキーズの多くの楽曲を手掛けているのは割と有名だが、この曲は別のアーティストに提供済で、モンキーズはカバーの体だった。

ピストルズのテイクは、唯一の正規アルバムにもシングルにもなっていない。ピストルズ解散後に制作されたドキュメント映画「ザ・グレート・ロックンロール・スウィンドル」のサントラ盤に収録されている。ジョン・ライドンはレコーディングに参加しておらず、以前のデモテープに残っていた彼のヴォーカルに、オケを付けて作成された模様。では、どうぞ。

Sex Pistols-Stepping Stone - YouTube

 

良い。ヴォーカル不在でオケ編集という不自由な環境の中、見事なプロの仕事。ピストルズの音は、並べてこんなプロの音である。ロックを全然ぶち壊してなくて、ロックとしてカッコいい。

ザ・モンキーズがオリジナルじゃないと判ったところで、楽曲作者のビデオをリンクする。なんと、ボイス&ハートは、モンキーズのメンバー決定のオーディションに応募して落選した二人だそうな。知らなかった。しかしサウンド面のスタッフとして採用され優れた楽曲を連発。後にデュオとしてデビューしている。知らなかった!

Boyce & Hart I'm gonna blow you a kiss in the wind - YouTube

 

見た感じ、モンキーズのメンバーとそう変わらんが・・・しゃべりがダメだったのかな?しかし、この楽曲は・・モンキーズ提供曲で才能を使い果たしたのか?それと、曲の途中に薄ら寒い小コントを差し込まれるという屈辱的な構成なのだが、そのコントの右側女性は「奥様は魔女」のエリザベス・モンゴメリーではないだろうか?TV老害の方々は確認願います。

 

続きまして、猟奇に走ります。ポストパンクのダークサイド、バウハウスの’ローズガーデン・フューネラル・オブ・ソアーズ’。

バウハウスは1979年にデビューした英のバンド。バンド名はドイツの建築・芸術活動から取っている。彼らは所謂ゴシックロックの祖と言われているが、渋谷陽一氏曰く、カバー曲の方が良い。同~感(谷岡ヤスジ風に)。’テレグラム・サム’’ジギー・スターダスト’等、カッコいいカバーが多い。今回はヴェルベット・アンダーグラウンドのオリジナルメンバー、ジョン・ケイルのソロ作品のカバー。どうぞ。

Bauhaus - Rosegarden Funeral of Sores - YouTube

 

良い。当初、バウハウスのオリジナルだと思っていた。それほどフィットしている。が、後でオリジナルを聴いてビッツラした。バウハウス破れたり。オリジナルの方が遥かに猟奇である。

John Cale Rosegarden Funeral Of Sores (1979) - YouTube

 

良い。バウハウスがゴシックの祖と言われながらも、大成はしていない感があるのは、この猟奇さが足りなかったからだと思い知らされる。バウハウスの音は猟奇よりもカッコよさが立っているんだな。

 

続きまして、ポストパンクの個人的最重要バンド、ザ・レインコーツの’ランニング・アウェイ’。オリジナルは、私はご存知、今や広くご存知ではないかもしれんが、スライ&ファミリーストン。私の米4大好きなブラックアーティストの一組。

カバー曲はどうしてもオリジナルとの優劣を付けてしまいがちだが、このテイクに限っては優劣を付ける気がない。どちらもどうしようもなく好きだから。

まずはレインコーツ。レインコーツは1979年にレコードデビューした英の女性バンド。2ndアルバム’オディ・シェイプ’は、無人島に持っていけるレコードが5枚だとしても必ず隠し持って行く所存だ。ソニック・ユースのキム姉御の言葉。’彼女らは並外れた音楽を演奏する普通の人々’。’ランニング・アウェイ’は、1回目の解散間近にリリースされたシングル。では、どうぞ。

The Raincoats ''Running Away'' - YouTube

 

良い。これを聴くと大阪留学中の下宿の臭いや、なんだか何もかもが上手く行かず燻った心持ちがフラッシュバックする。意味のないようであるような、やっぱりないような4年間だったなぁ。

では、オリジナル。スライ&ザ・ファミリーストンは、先に4大ブラック云々と書いたが、バンドとしては人種性別混合バンド。

1967年にデビューして1980年代まで活動していた。私が知ったのは遅れに遅れ、レインコーツを知ったのと同時期。いい意味で米ブラックミュージック臭が少なく、それが私の琴線に触れた理由。この曲は中でも特に米ブラック臭が希薄。レインコーツがカバーしたのもナツトクである。

SLY & THE FAMILY STONE - RUNNING AWAY - YouTube

良い。熱くないところが非常に乙。

 

〆は、またか!と言われそうだが、これは定期的にリンクしたい。人間椅子の’針の山’の、2000前後のライブテイク。異星人に’ロックトハナニカ?’と問われたらまず、このビデオを見せる。オリジナルはバッジーの’ブレッド・ファン’だが、もはや人間椅子のオリジナルと言ってもよい程に消化・昇華されている。そしてこのロック的演奏力の凄み。オリジナルはリンクしない。では、どうぞ。また明日。

人間椅子 針の山 - YouTube