2012年は「保険会社に健全な外圧を」
新しい年も「必要最小限の保険活用」を提唱したい。
2012年1月1日以降に締結される生命保険の契約について、新しい「生命保険料控除」制度が適用されることから、あらためて考えています。
新制度では「介護医療保険料」控除の枠が新設され、従来の一般生命保険料と個人年金保険料の所得税控除枠は、最高5万円から4万円になりますが、制度全体の適用限度額は10万円から12万円に引き上げられます(住民税控除額の合計は7万円と変わりません。詳しくは、生命保険協会のホームページ<http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/tax_q16.html>ご参照)。
私が1995年に保険業界に転職した際に受けた研修では、生命保険料控除について、「遺族保障や年金など、本来、社会保障制度によって支えられるべき分野において、民間の保険を利用して自助努力する人たちを、税制面で優遇するもの」だと教えられました。
今回の制度変更についても、生命保険協会のホームページに、「社会保障制度を補完する商品開発の進展等を踏まえ、保険契約者の自助努力を支援する観点から、生命保険料控除制度が改正されます」とあります。制度の趣旨は、一貫しているようです。
ただ、私には、現在の生命保険が、税制面での支援を受けるにふさわしい商品と言えるだろうか? という疑問があります。コストとパフォーマンスの両方がわからない不思議な金融商品だからです。
例えば、私が大手生保に在籍していた頃、営業現場では「個人年金保険」について説明する際、「税制面でのメリットを加味すると、定期預金などより有利です」といった一言を添えるように指導されました。
一方で、加入後、長期にわたり元本割れが続く事実については、「『預金と保険は違うから』と流していい」いうことでした。
いい加減なものだ、と感じる向きもあるかもしれません。しかし、営業現場に元本割れが続く理由を正しく説明できる者がいなかったのも事実です。今でもいないでしょう。
保険会社の人たちの給与や営業担当者の報酬等を考えると、保険料の全額が積み立てに回るわけではないことはわかるものの、詳細は社内でも明らかにされていないのですから当然です。
やはり、所得税控除が認められている「確定拠出型年金」では、金融機関が徴収する手数料が全て開示されているので、利用者は、より低コストでの運用ができる銀行や証券会社を選択することが可能になっています。
保険だけ、お客様が商品を活用する際にかかるコストが開示されないのは、なぜでしょうか?
コストだけではありません。保険ではパフォーマンス、つまり保険金支払いの実態もよくわかりません。新たな控除枠が認められた介護保険・医療保険にしても、商品や特約ごとの支払い実績を具体的に把握することは、ほとんど不可能です。
透明性を欠いたまま、よくぞ社会保障制度の一端を担う役割を認められているものだと感じます。保険業界には特別な「政治力」でもあるのでしょうか。
ここまで書いてきたところは、すでに様々な媒体で繰り返し語ってきたことです。しかし、納得できる回答を業界関係者から頂いたことはありません。
そこで、2012年は、お客様に「健全な外圧」を保険会社にかけていただきたいと思います。
やり方は簡単です。コストもパフォーマンスも明らかにされないまま、公的な役割を認められている金融商品の利用は、必要最小限にとどめていただく、それだけです。透明性に欠けるものと関わらないのは、金融商品と付き合う上での基本だからです。
それは、お客様の手元資金を確実に増やすことにつながるはずです。具体的な方法や考え方については、引き続き、本連載で取り上げていきます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2012年1月1日以降に締結される生命保険の契約について、新しい「生命保険料控除」制度が適用されることから、あらためて考えています。
新制度では「介護医療保険料」控除の枠が新設され、従来の一般生命保険料と個人年金保険料の所得税控除枠は、最高5万円から4万円になりますが、制度全体の適用限度額は10万円から12万円に引き上げられます(住民税控除額の合計は7万円と変わりません。詳しくは、生命保険協会のホームページ<http://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/tax/tax_q16.html>ご参照)。
私が1995年に保険業界に転職した際に受けた研修では、生命保険料控除について、「遺族保障や年金など、本来、社会保障制度によって支えられるべき分野において、民間の保険を利用して自助努力する人たちを、税制面で優遇するもの」だと教えられました。
今回の制度変更についても、生命保険協会のホームページに、「社会保障制度を補完する商品開発の進展等を踏まえ、保険契約者の自助努力を支援する観点から、生命保険料控除制度が改正されます」とあります。制度の趣旨は、一貫しているようです。
ただ、私には、現在の生命保険が、税制面での支援を受けるにふさわしい商品と言えるだろうか? という疑問があります。コストとパフォーマンスの両方がわからない不思議な金融商品だからです。
例えば、私が大手生保に在籍していた頃、営業現場では「個人年金保険」について説明する際、「税制面でのメリットを加味すると、定期預金などより有利です」といった一言を添えるように指導されました。
一方で、加入後、長期にわたり元本割れが続く事実については、「『預金と保険は違うから』と流していい」いうことでした。
いい加減なものだ、と感じる向きもあるかもしれません。しかし、営業現場に元本割れが続く理由を正しく説明できる者がいなかったのも事実です。今でもいないでしょう。
保険会社の人たちの給与や営業担当者の報酬等を考えると、保険料の全額が積み立てに回るわけではないことはわかるものの、詳細は社内でも明らかにされていないのですから当然です。
やはり、所得税控除が認められている「確定拠出型年金」では、金融機関が徴収する手数料が全て開示されているので、利用者は、より低コストでの運用ができる銀行や証券会社を選択することが可能になっています。
保険だけ、お客様が商品を活用する際にかかるコストが開示されないのは、なぜでしょうか?
コストだけではありません。保険ではパフォーマンス、つまり保険金支払いの実態もよくわかりません。新たな控除枠が認められた介護保険・医療保険にしても、商品や特約ごとの支払い実績を具体的に把握することは、ほとんど不可能です。
透明性を欠いたまま、よくぞ社会保障制度の一端を担う役割を認められているものだと感じます。保険業界には特別な「政治力」でもあるのでしょうか。
ここまで書いてきたところは、すでに様々な媒体で繰り返し語ってきたことです。しかし、納得できる回答を業界関係者から頂いたことはありません。
そこで、2012年は、お客様に「健全な外圧」を保険会社にかけていただきたいと思います。
やり方は簡単です。コストもパフォーマンスも明らかにされないまま、公的な役割を認められている金融商品の利用は、必要最小限にとどめていただく、それだけです。透明性に欠けるものと関わらないのは、金融商品と付き合う上での基本だからです。
それは、お客様の手元資金を確実に増やすことにつながるはずです。具体的な方法や考え方については、引き続き、本連載で取り上げていきます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
国家予算と補助金
「補助金」というものは、おおよそ2年前ぐらいから「これをやるべきだ」という議論が行われ、検討され、前の年の7月ぐらいから予算作りが始まり、年末までに予算原案ができ、3月に国会で認められるという手続きを経ますので、「約3年前に官僚が納得するようになった事業」ということになります。
もともと発展性のある事業というのは、万人が納得するものではありません。万人が納得するためには「今の考え」にそっていなければならないので、計画を立てて実施する頃には古くなってしまうからです。
「大型工業団地」、「大型レジャーランド」など官がやった事業はぺんぺん草が生えるものばかり、国家の事業で成功したのは6%だけと言われるゆえんがここにあります。でも、それが国家だけなら「税金のムダ使い」だけですが、「補助金」という形で民間を道連れにすると、日本全体がムダな仕事に巻き込まれることを意味しています。
だから、補助金というと自動車でも家電でも、せいぜい「省エネ」ぐらい、エネルギーでは太陽電池など古いものだけに振り回されることになるのです。国家規模で「やらなければならない」というものは日本を滅ぼすということなので、国家予算は縮小し、補助金を全廃する以外に日本に明るい未来はないでしょう。
新年にあたって「補助金を排斥すること」で世論が一致すれば、子供たちに立派な日本を引き継げるのですが・・・
中部大学武田邦彦
(平成24年1月3日)
もともと発展性のある事業というのは、万人が納得するものではありません。万人が納得するためには「今の考え」にそっていなければならないので、計画を立てて実施する頃には古くなってしまうからです。
「大型工業団地」、「大型レジャーランド」など官がやった事業はぺんぺん草が生えるものばかり、国家の事業で成功したのは6%だけと言われるゆえんがここにあります。でも、それが国家だけなら「税金のムダ使い」だけですが、「補助金」という形で民間を道連れにすると、日本全体がムダな仕事に巻き込まれることを意味しています。
だから、補助金というと自動車でも家電でも、せいぜい「省エネ」ぐらい、エネルギーでは太陽電池など古いものだけに振り回されることになるのです。国家規模で「やらなければならない」というものは日本を滅ぼすということなので、国家予算は縮小し、補助金を全廃する以外に日本に明るい未来はないでしょう。
新年にあたって「補助金を排斥すること」で世論が一致すれば、子供たちに立派な日本を引き継げるのですが・・・
中部大学武田邦彦
(平成24年1月3日)
江東区 コンクリートのために野宿者を強制排除の構え
tanakaryusaku
江東区の竪川河川敷公園でテント暮らしを続けてきた野宿者たちが、早ければ今月下旬にも行政によって強制排除される可能性が出てきた。
15年間もの生活実態があるにもかかわらず、江東区は「立ち退け」というのである。アパートなどの代替住宅の提示もなしにだ。生存権さえ奪う暴挙に批判が集まりそうである。
墨田川の流れを汲む竪川は、古くは江戸堀と呼ばれて水運を支え庶民の生活に役立ってきた。経済成長を謳歌した昭和後期(1971年)に首都高速7号線が開通すると、高架下の一部は暗渠化された。
堤防は残り暗渠の上に顔をのぞかせる格好となり、ここに零細業者は物置を設け、野宿者はテントを張った。共有地として機能していたのである。50~60張りのブルーテントが“軒を連ね”、野宿者50余人が暮らしていた。
数年前から江東区は竪川河川敷公園として再開発に乗り出す。遊歩道、フットサル場、カヌー乗り場を建設するため、ブルーテントの排除にかかった。
野宿者のうち10余人は2010年10月、江東区の指示により明治通りに架かる五之橋下に追いやられた。
橋下には約15張りのテントが口の字方に並ぶ。中央部には狭いながらも広場があり、コミュニティーが成り立っている。そこは生活の匂いがする。10余人の野宿者は空き缶・古紙回収で生計を立てており、行政にとやかく言われるような覚えはないのだ。
江東区は自らで野宿者たちを五之橋下に追いやっておきながら、河川敷公園拡張のために、彼らを再び追立てようというのである。
野宿者は「(竪川河川敷きに)15年も住み生活実態がある」として排除命令には応じない構えだ。これに対して江東区は強制執行に乗り出そうとしている。
立ち退きの強制執行は早ければ今月下旬にも行われる可能性がある。警察隊やガードマンが出動し、緊迫する事態となることも予想される。
「役所があっち(五之橋下)に行けと言ったから行った。今度はそこも『出てけ』という。責任はどうなってんだ。我々は工事が始まる前からここにいる」。仲間からの人望も厚い佐藤直行さん(仮名・52歳)は、一歩も譲らぬ構えだ。佐藤さんは20年間務めた横浜の港湾関係の会社をリストラされ路上に弾き出された。
区民が望みもしない河川敷公園の建設で潤うのはゼネコンと政治家と官僚だけである。経済無策の犠牲とも言える野宿者たちが、強欲資本主義とその手先によって再び犠牲者になろうとしている。
民主党が09年の政権奪取選挙でマニフェストに掲げていた「コンクリートから人へ」は、全くのウソだったのである。
江東区の竪川河川敷公園でテント暮らしを続けてきた野宿者たちが、早ければ今月下旬にも行政によって強制排除される可能性が出てきた。
15年間もの生活実態があるにもかかわらず、江東区は「立ち退け」というのである。アパートなどの代替住宅の提示もなしにだ。生存権さえ奪う暴挙に批判が集まりそうである。
墨田川の流れを汲む竪川は、古くは江戸堀と呼ばれて水運を支え庶民の生活に役立ってきた。経済成長を謳歌した昭和後期(1971年)に首都高速7号線が開通すると、高架下の一部は暗渠化された。
堤防は残り暗渠の上に顔をのぞかせる格好となり、ここに零細業者は物置を設け、野宿者はテントを張った。共有地として機能していたのである。50~60張りのブルーテントが“軒を連ね”、野宿者50余人が暮らしていた。
数年前から江東区は竪川河川敷公園として再開発に乗り出す。遊歩道、フットサル場、カヌー乗り場を建設するため、ブルーテントの排除にかかった。
野宿者のうち10余人は2010年10月、江東区の指示により明治通りに架かる五之橋下に追いやられた。
橋下には約15張りのテントが口の字方に並ぶ。中央部には狭いながらも広場があり、コミュニティーが成り立っている。そこは生活の匂いがする。10余人の野宿者は空き缶・古紙回収で生計を立てており、行政にとやかく言われるような覚えはないのだ。
江東区は自らで野宿者たちを五之橋下に追いやっておきながら、河川敷公園拡張のために、彼らを再び追立てようというのである。
野宿者は「(竪川河川敷きに)15年も住み生活実態がある」として排除命令には応じない構えだ。これに対して江東区は強制執行に乗り出そうとしている。
立ち退きの強制執行は早ければ今月下旬にも行われる可能性がある。警察隊やガードマンが出動し、緊迫する事態となることも予想される。
「役所があっち(五之橋下)に行けと言ったから行った。今度はそこも『出てけ』という。責任はどうなってんだ。我々は工事が始まる前からここにいる」。仲間からの人望も厚い佐藤直行さん(仮名・52歳)は、一歩も譲らぬ構えだ。佐藤さんは20年間務めた横浜の港湾関係の会社をリストラされ路上に弾き出された。
区民が望みもしない河川敷公園の建設で潤うのはゼネコンと政治家と官僚だけである。経済無策の犠牲とも言える野宿者たちが、強欲資本主義とその手先によって再び犠牲者になろうとしている。
民主党が09年の政権奪取選挙でマニフェストに掲げていた「コンクリートから人へ」は、全くのウソだったのである。